妄想と戯言2

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平和な休日(ガロ金)

2024-04-27 06:11:00 | 漫画
下ネタ、下品な会話注意です!






怪人も出ない休日なんてのは、平和そのものだった。

その日も特に予定なんて無く。
俺の住むアパートに集まって、金属バットの妹の習い事が終わるまで束の間の逢瀬というやつを楽しんでいた。
昼間っからヤることやって、一緒にシャワーを浴びながら2回戦にもつれ込んで、そしてヤッたあと特有のコイツの緩んだ空気を壊さないようにと甲斐甲斐しく甘やかしている時。
お互いに寝そべりながら、俺の腹に頭を乗せてダラダラと微睡んでいた金属バットが不意に、腹へった、と呟いた。艶のある黒髪を梳いていた手を止めて、確かに空腹感がいつもより大きい事に気づく。

「そういや昼メシ食ってねーな」
「いま何時だ?」

言われ、ちょうど頭上に脱ぎ捨てられていた金属バットのボンタンから携帯を取り出して時間を確認すると、14時とデジタル表記された時刻が目に入る。

「14時」
「うげ、俺ら4時間もヤッてたのか・・・どーりで腹減るわけだ」

うげっておまえ。
人の腹筋を枕代わりにしといて何だその言い草は、と呆れる。そもそも連絡寄越したのはテメェだし、そーいう目的も込みだったろ。

「・・・言っとくが、風呂場で誘ったのはテメェだからな」

何となく俺のせいだと言われている気がして、腹の上の頭をポンポンと叩きながら分からせるように言ってやる。すると、ぴくりと肩を反応させた後にジトリとした視線を寄越して睨んできやがった。この野郎、と俺も意味深に眉尻を上げて挑発する。

事実、一度は落ち着いた熱がぶり返した原因はこの男の「足りねぇ」の一言から始まったんだ。好きなヤツに催促されて断る理由があるか?つまり、俺は悪くねぇ。

「顔、赤いぜ」
「っ、へーへー悪ぅございましたぁ!二度と誘わねぇよ!くそ!」
「照れてんなよ、誘うなとは言ってねーだろ!」
「ああ?照れてねーし!そもそも一回目のが時間かかってんだから、勝手におっぱじめたテメェのほうに責任あンだろ」
「なんの責任だよ、おまえだってノリノリだったクセによ!」
「るせぇ!いつもネチッこくしやがって、さっさと挿れろってんだ!あと遅漏!」
「遅漏は関係ねぇだろ!つか遅漏じゃねーし!そこまで言うんなら次はテキトーに慣らして突っ込んで欲しいって事だよな?ええ?」
「ハァ?ちがっ・・・いや、そうだけど、意味がちげぇ!」
「そーかそーか、バッド君は痛くされるのが好きなのかぁ!おまえ次はマジで覚悟しとけよ!」
「だぁから、ちげぇって!」
「マゾのバッド君!」
「てめっ・・殺すぞ!!」

声を荒げた金属バットが、これでもかってくらいの勢いで俺の腹から起き上がる。油断していた腹筋越しの衝撃のせいで、うげっなんて変な声が洩れた。
下ろされた前髪をうっとーしそうにかき上げた金属バットが、そのままの勢いで俺のスウェットの胸ぐらを掴んできて、売り言葉に買い言葉よろしくお互いにメンチを切り合う。

「表でろコラァ!」
「おーおー!いいぜやってやる!」
「覚悟しろむっつり遅漏野郎!!!」
「痛いのが好きだからってワザと負けンなよドマゾ野郎!!」
「ッッ、ブチのめす!!!」

二人して立ち上がり、俺もヤツのスウェットを掴み返して、さていっちょゴングでも鳴らしてやろうかって時だった。

グーーー、キュルル

「・・・」
「・・・」

動いたせいでお互いの腹の虫が盛大に鳴き始めて、そこでピタリと動きも口論も止まる。グーグーうるさい腹を撫でて、毒気を抜かれた顔の金属バットがため息を吐く。

「・・・なにかねーの?」
「・・米ならある」
「・・にぎり飯でもするか?」
「あ、塩はねーぞ」
「・・・」
「・・・」
「・・・ハァ、もうメンドくせぇわ。外で食おうぜ」
「いいけどよ・・おまえ妹の迎えは?」
「16時」

猶予は1時間とちょっとってところか。
名残惜しいが、まあ、妹絡みじゃ仕方ない。

「だったら15時半には解散しねーとな」
「は?」
「あ?」
「うちで晩飯食ってかねーの?」

至極当たり前の顔で、不思議そうに首を傾げている。そして外で食べるって事だけはコイツの中で確定したらしく、着ていた上下のスウェットをさっさと脱ぎ始めた。あまりにもあっけらかんとした様子に、嬉しいんだか気恥ずかしいんだか、よく分からない気持ちが込み上げた。まあ結局は、嬉しいが勝つんだが。

「・・・食う」
「おう」

軽く息を吐いて、俺も履いていたスウェットを脱いでテキトーなジーンズを引っ張り出す。

「何作るんだよ?」
「あー、野菜使い切りてーんだよなぁ」
「野菜」

ボンタンのベルトを締めながら思案顔で、んーだの、あーだの、一人で唸っている。凝った料理をするワケじゃないだろうが、それでも少なからず妹や俺の為に悩んでいるのだろう。
積み重なっている洗濯済みの衣服の山から白いシャツを選びながら、俺も申し訳程度に献立を考えてみる。もちろん、自炊なんてほとんどしねーから単純な煮込み料理くらいしか思い浮かばないんだが。

そこでふと、そういや最近夜は肌寒いって事を思い出して、とある料理が思い浮かんだ。金属バットを見ればちょうど赤いハイネックから、思案顔のまま顔を出している。それと同時に、あ、と閃いたような声をあげていた。それに続いてなんとなく、思い描いていた料理を口に出してみる。

「「鍋でもするか」」

パチクリとお互いに目を合わせる。

「・・・4人で?」
「4人で、だな」

じゃあゼンコ迎え行く前に買い出しだな!と意気込んだ金属バットは、最後に落ちていた学ランに腕を通していく。
シャワーを浴びたせいでサラサラと揺れて落ち着かない前髪を、耳にかけるその仕草は割と好きだって事は秘密だ。

ジーンズの尻ポケットに財布と携帯を突っ込む。先に準備が出来たらしい金属バットが玄関へ向かって、下駄箱の天板に置かれた部屋の鍵に手を伸ばしている。その背中に、タレオに連絡しとかねーとな、と声をかけた。

「買い物、ついて来たがるんじゃねーの?今呼べよ。あ、その前にどっかで腹ごしらえな」

薄っぺらい靴を踵に引っ掛けながら先に玄関を出た黒髪が振り返ったと同時に、鍵を渡される。素直にそれを受け取って俺も玄関を潜った。

「おまえ何食いたい?」
「あ?あー・・・中華とか?」
「お、いいな!ジジイおすすめの美味い中華屋知ってるぜ」
「決まりだな」

ガチャリ。
施錠された事を確認して、振り返る。

「よし」
「行くか」

俺の後に続く金属バット。
まあ、平和な休日なんてこんなもんだよな、とジジイに教わった店へ向かった。







ちなみに中華屋でのこと。
お互いにラーメンを食べてる時、少し顔を赤らめた金属バットがぎこちなく目を泳がせながら

「・・・まじで次ヤるとき痛くすンの?」

とか聞いてくるもんだから、俺は食べていたチャーシューを喉に詰まらせてムセまくった。鼻にも入った気がする。ツンとした嫌な感覚を鼻の奥で拾いながら、目の前の男を凝視する。

「ゲホッ、な、なんて?!」
「いやだから、痛くすンのかって・・」
「ばか、あんなん言葉のアヤだろ!」
「だ、だよな・・・」
「当たり前だろ!」
「へ、変なこと聞いたわ・・忘れろ!」

どこか不安気だった顔がパッと明るくなって、勢いよくラーメンを啜り出す。俺はポカンとその様子を見つめる。無駄に咽せて、しかも味わう事もなく飲み込んだチャーシューが悔やまれてならない。

その日から俺は、自分のチャーシューを嬉々として頬張る目の前の男に、マジで覚悟しとけよ!なんて悶々とした闘志を燃やし続ける事になるのだった。







下品な言い合いしているガロ金が書きたかっただけです!



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