すべてのオタクは小説家になれる!大内明日香,若桜木虔イーグルパブリシングこのアイテムの詳細を見る |
始めに断っておきますと、この本の内容は大部分が本格的な小説を書く前の心構
えに費やされており、文章のテクニックうんぬんの技術論はないこと。
そして私はタイトルの一本釣り(つまり衝動買い)で購入してしまったというこ
と。
以上の2点をふまえた上で内容のご紹介をしたいと思います。この手の本は一般
的に恐ろしく評価が低いものですが、ヌルい知識しか持たない小説初心者の私には
なかなか新鮮に読めたということも付け加えておきましょう。
ビジネス書紹介と同じ形式で書きますね。まずは目次の気になったタイトルのピ
ックアップから。
目次(抜粋)
・ 「オリジナリティ」は重要ではありません
・ オリジナリティに代わりになる「あるもの」
・ 「オタクが小説家に向いている」三つの要因
・ 才能という言葉は忘れましょう
・ まずは「知識マップ」を作ろう!
・ 小説は才能で書くものではなく、「筋肉」で書くものです
・ 読者とはどんな人たちなのか
・ 「サービス精神を持て」
・ 「一冊の本には一テーマのみにする」
・ 「小説のウリは外輪ウケでなくてはならない」
・ 一つの作品を徹底研究してみよう
・ 設定説明自体をエンターテイメントにする
・ 書き続ければ、小説家になれるのです
どれか一つでもピンとくるものがあれば、この本は買いです。ただ私の場合は、
一冊の本から得るものが一つあればいい派なので、残念ですが過剰な期待は禁物で
しょう。「売れる」という目標に向って「おもしろいものだけを書く」という展開
になっていますので、「まずは読者に読んでもらうんだ」ということが学習できま
す。
つまり、「書きたいもの」と「読ませるもの」は別物であるという思想ですね。
これについては私は賛否はいたしません。
と言いますのも、結局はこういう論理はいたちごっこになってしまうような気が
するからです。詳しくは省きますが、断定的な物言いは反発を生んでしまいますの
で、一つの考え方、自分の見聞を広めるためのエッセンスと割り切るべきでしょ
う。
ただ、実際に「小説をそれとなく書き始めてる方」には、ある種の方向性が見え
てくると思います。この本ではこだわりは自分を苦しめると表現していますが、何
も捨てろとは言っていません。こだわりを持つ土俵を間違えてると指摘しているの
です。
これについては実際に読んで確かめてみた方がいいでしょう。要は「商業化せ
よ」ということなのだと思います。
私も小説を書く上で大事にしている部分もありますが、それを捨てて別の土俵で
戦い続けることができるものが生き残れる、とまあそういう解釈でいいと思いま
す。
条件付ですが、私はこの案に賛成です。さっきの「賛否しない」と矛盾してしま
いますが、どちらかと言うと、
「売れたもの勝ち」
という考え方だからです。コロコロ考えが変わるような薄い信念では読者がついて
こない、作品も薄くなるという意見や、時代に乗り切れなかった、対応できなかっ
た実力者は残念ながら消えていく、という意見もあるかもしれません。
が、双方をまとめますと、結局は「売れたもの勝ち」だというのが、私の持論で
す。もっと辛らつな意見や厳しい指摘もあると思いますが、現在連載されている作
家さんのほとんどが「人気がある」=「売れている」という公式で成り立っている
と思いますので、どう解釈しても結局はそういうことなのかもしれません。
何が追い風となり、何が落とし穴になるかなんて、いつの時代もわかりません
からね。
スーパーピックアップ
ここで私がこの本を読んで気に入った文をご紹介しますね。
「小説作法をいくら読んでも、小説家にはなれません。車雑誌をいくら読んでも車
の運転が上手くならないのと同じです」
「重要なことは、「現在、うまく書けるか」ということではないのです」
「「書き続けられるか」ということが、重要なのです」
「大事なことは、書く、ただそれだけのことなんです」
どの本でもこういう内容の一文が紹介されるものですが、逆に私はこういう文が
一行でも入ってる本にとても安心感をおぼえます。
いわゆる行動論敵なものですね。「生きるとは、呼吸をすることではない」というあれ
です。全然違うかもしれません。
この考え方については激しく賛成です。実際に行ってみないとわからないことがあま
りにも多い。実戦は訓練の何倍にも相当すると言いますが、正にその通りだと思い
ます。私はこの本を読んで、構想段階の小説の修正にすぐ着手しました。できるこ
とは何でもやっておきたいですからね。
ダメだったら止めればいい。小説は何度だって書き直しができる。書いてみてか
ら結論を出せばいい。
では最期に、この本の一文を抜粋して、紹介を終えたいと思います。
「オリジナリティあふれた小説、というだけであれば、簡単に思いつく」
「オリジナリティがなくても、小説家になれるのです」
「小説家になるためには、「オリジナリティ神話」は捨てたほうがいいのです」
「ただ好きなことを書くだけでは商品にならない」
「なにしろ、プロというのはそれだけで食べていく「ビジネスマン」なわけです」
以上です。ありがとうございました。
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