中曽根康弘首相がアイデアを得たように政府は日本プロジェクト産業協議会の報告書を有効活用すべし

2010年06月29日 19時39分37秒 | 政治
◆「第3の道」を歩もうとしている菅直人首相は、公共事業を主力とする「第1の道」と
市場原理主義に基づく「第2の道」を基本的に否定しているけれど、「第1の道」と「第2の道」が、海外のなでも米国からの圧力を受けて日本の巨額の資産が収奪されるなかで、辛うじて、日本経済を下支えして、底割れしないように大きな貢献をしてきた事実は、高く評価しなくてはならない。とくに公共事業を主力とする「第1の道」の力を決して侮るべきではない。菅首相がいくら「第3の道」により経済回復と景気浮揚を図ろうとも、鉄鋼業界と建設業界という基幹産業を主力とする「第1の道」を凌駕することはできないからである。
◆私の持論である「景気を押し上げる5つの基礎的条件」に従えば、景気浮揚には、「カネと土地」が大きく動きことが不可欠である。戦後65年の歴史を振り返ってみても、「カネと土地」が大きく動かした国家最高指導は、吉田茂、池田勇人、中曽根康弘の3人の首相しかいなかった。このうち、中曽根康弘首相が就任して直ぐに探し求めたのは、「カネと土地」を動かすためのアイデアを含んだ調査報告書やレポートであった。最初に目つけたのが、大平正芳首相が在任中に新設した24の懇談会が残した報告書だった。しかし、このなかに、中曽根首相が求めるものはなく、いろいろリサーチしているうちに、社団法人日本プロジェクト産業協議会(略称・JAPIC)がまとめた「社会資本整備について」と題する報告書と、野村総研がこの時点より10年も前にまとめていた「都市再開発」と題するレポートであった。これらを参考に中曽根首相は、「都市再開発」に乗り出し、大蔵省理財局に「国公有地有効利用」をテーマとする研究会を立ち上げたのである。国家財政がピンチの最中にあったので、「都市再開発」資金は、民間の余剰資金に求め、「民間活力の活用」と銘打った。資金を動かす役目は、野村証券、住友銀行など金融証券機関に委ね、土地を動かす役目は、鹿島建設、三井不動産、住友不動産に任せた。建設に不可欠なのは、鉄鋼であり、その中心に位置している新日本製鉄が加わった。これらのメンバーが景気押し上げの仕掛人となったのである。
◆しかし、忘れてはならないのが、社団法人日本プロジェクト産業協議会の果たした役目である。「社会資本整備について」と題する報告書がなかったなら、さすがの中曽根首相も「カネと土地」を大きく動かすことはできなかったに違いない。この意味で、これからの経済回復と景気浮揚を推し進めようとするなら、いかなる政権であろうとも、社団法人日本プロジェクト産業協議会の持つ知恵やノウハウは、しっかり活用する必要がある。
◆社団法人日本プロジェクト産業協議会(三村明夫会長=新日本製鐵代表取締役会長、東京都中央区日本橋茅場町3-2-10 鉄鋼会館6階)は昭和54年11月、任意団体として発足し、昭和58年4月、国土庁、通商産業省、運輸省、建設省の4省庁の共管による社団法人に改組。平成13年1月、省庁再編により経済産業省、国土交通省の2省の共管に変更。平成16年11月、25周年を迎えて、今日に至っている。
日本は現在、少子高齢化、地域間格差、地球温暖化など数多くの課題に直面している。こうした課題に立ち向かうべく、新ビジョンとして「日本創生」を打ち出して定款を改正し、「地域の活性化」、「環境の保全」、「産業の国際競争力の強化」といった近年の国家的課題の解決を新たな目的と定め、これまでに数多くのレポートをまとめている。これらのなかに、時の政権が「日本創生」に活用できるレポートが含まれており、たな晒しにしておくのは、実にもったいない話である。
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菅直人首相、ブレーンの小野善康大阪大学教授が説く「第三の道」では、景気浮揚の力は弱い

2010年06月28日 22時28分21秒 | 政治
◆西郷隆盛翁の「租税を薄くして民を裕にするには、即ち国力を養成する也」という言葉を再び取り上げてみよう。
菅直人首相は、財政再建策と景気政策とを組み合わせた「第三の道」を標榜している。「第一の道」は、公共事業中心の経済政策、「第二の道」は、「行き過ぎた市場原理主義」といし否定し、これらとはまったく歩もうとしている。「第三の道」を理論づけているのが、プレーンの一人である小野善康大阪大学教授(2月26日付けで内閣府参与に就任)という。 精緻な数学モデルを特徴する経済理論家で知られている。金融政策を使わない財政に重点を置くオーソドックスなケインジアンに近い。増税して公共投資をしても経済効果があるとするケインズ・タイプの「均衡乗数」を武器に理論展開する。これにすっかり虜になった菅首相は、「増税しても使い方を間違わなければ景気は良くなる」と言い張っている。しかし、この経済理論は、かなり現実離れしていると言わざるを得ない。所得階層の低い人たちの生活を圧迫するという強い副作用があるからである。
◆先行すべきは、西郷隆盛翁が言うように「国力を養成すること」である。しかるに、菅首相は、公共事業中心の経済政策や「市場原理主義」を排除して、医療、介護、福祉、それに環境、観光によって経済成長を図ろうとしている。
しかし、この「第三の道」理論は、大きな間違いを冒している。「第一の道」である公共事業中心の経済政策と、「第二の道」である「市場原理主義」が経済成長に有効な機能を果たしてこなかったのは、それら自体に原因があったからではない。海外からの圧力によるダメージが余りにも大きく、効果が目立たなくなり、無力に感じられたにすぎず、それでも経済・景気の下支えとして立派に機能を果たしていたことを見逃すべきではない。止めていたらもっと危機的状態に陥っていたと知るべきである。
◆海外からの圧力とは、米国からの圧力である。
第1は、米国レーガン大統領-中曽根康弘首相時代に、低金利政策を要求されたうえ、貿易黒字減らしを求められる。これに応ずるべく、「プラザ合意」によって始められた外国為替市場操作とその結果である急激な円高が起こした日本から米国への巨額資金の還流。日本繊維産魚の経営者が「血の犠牲」を担わされる。
第2は、米国レーガン大統領-竹下登首相時代に、再び黒字減らしを要求され、日本が導入に応じた日経平均株価TOPIXを先物で売買する「裁定取引」(デリバティブのはしり)にサーキットブレーカーがセットされておらず、約40兆円が米国に流出。日本人投資家の多くが、バクチ経済の犠牲となる。
第3は、バブル経済崩壊後の大不況下、米国クリントン大統領-細川護煕、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の各首相時代に、超低金利政策を求められ、さらに金融・証券・保険市場を開放する日本版金融ビッグバンの断行を求められる。その極め付けが、ペイオフであった。東邦生命がGEキャピタルに、山一証券がメリルリンチに、日本長期信用銀行がリップルウッドホールディング(ゴールドマンサックスの子会社)に奪い取られている。
第4は、米国ブッシュ大統領―小泉純一郎首相時代に、郵政民営化が図られ、350兆円資産が、シティグループやゴールドマンサックスに狙われて、投資市場を介して奪い取られる。
第5は、米国の不動産投資基金(リート)が東京都心一等地の不良資産を大量に買い占めて、再建し売却して、巨利を得て次の儲け口を求めて立ち去る。
第6は、2008年9月15日のサブプライムローン破たんによるリーマンショックの影響により、日本の金融機関は、みずほグループ以外は、細切れのサブプライムローンを組み込んだ証券をほとんど買っていなかったにもかかわらず、世界的な信用不安がメーカーにも及び、深刻な打撃を受ける。
 第7は、米国シティグループ立て直しに必要な公的資金の調達の必要から、米国は、菅直人政権に消費税アップを要求、5兆円~10兆円の上納を強要してきているという。
◆日本は、景気浮揚のためにも財政出動と金融出動という二つの手段を放棄するわけにはいかないのである。そもそも「第三の道」のみでは、景気浮揚の力は弱い。
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ボロ隠し、逃げ専門、ずるいアジテーター菅直人首相が逃げ足速く、またまた逃げた

2010年06月27日 21時30分36秒 | 政治
◆またも逃げた菅直人首相。なんとトロントで開かれている主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で消費税率アップについても一言触れなかったという。読売新聞が6月27日付け朝刊で報じている。日本の報道各社が参院選情報調査の結果について、「民主党劣勢」などと報じたことをトロントで知り、その元凶が自ら「消費税率アップ」と発言したことにあると知って尻込みし、これ以上の悪影響を避けたい意向とみられている。
◆菅首相の逃げ足の速さは、今回ばかりではない。政治とカネ問題では、小沢一郎前幹事長から裏切るように逃げ、鳩山由紀夫前首相が沖縄普天間飛行場移設問題では、苦労している最中、副総理の立場にありながら、「関与していない」と無関係を装い、鳩山前首相と小沢前幹事長のダブル辞任により民主党と菅政権の支持率急騰の最中、「消費税率アップ」を公言していながら、初の所信表明演説では、国民世論の反発を気にして「消費税率アップ」の言葉を一切言わずに、早々と逃げの姿勢を示した。
◆さらに、情けないのは、鳩山前首相が朝、夕の番記者のぶら下がり会見で行った発言のブレが積み重なり、それが元で国民批判を浴び、退陣に追い込まれたと思い込み、ぶら下がり会見を取り止めると内閣記者会に通告し、事実上、番記者から逃亡、国民に向けての「窓」を閉ざしてしまった。
◆そればかりか、国際政治家となる折角の檜舞台で、「消費税率アップ」発言により大見得を張ろうと大いに意気込んでトロントに出向いたものの、日本国内での立場が悪くなると計算するや、俄に沈黙を守り、保身の構えである。何とも逃げ足の早い首相である。これでは、帰国後、どんなに言い訳しても、国民には納得されないだろう。これは、「ウソツキ」よりももっと悪質である。ボロ隠し、逃げ専門、ずるいアジテーター菅直人首相が、攻撃には弱いという、まさに弱点を曝け出している。
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菅民主党苦戦! いまや暴君に成り果てた菅直人首相は、西郷隆盛翁の遺訓に耳を傾けよ

2010年06月26日 17時42分11秒 | 政治
◆朝日、読売など新聞各紙が6月26日の朝刊で参院選挙序盤情勢について行った世論調査の結果を一斉に発表、民主党が地方の選挙区で苦戦しており、菅直人首相が勝敗ラインとしている「54議席以上」獲得は、難しい情勢にあると報じている。自民党は、50議席以上、注目のみんなの党は、10議席以上獲得の勢いといい、菅民主党の苦戦は、菅首相の「消費税アップ」発言が元凶とみられる。菅民主党敗北という結果になれば、菅首相、枝野幸男幹事長らの責任問題となるばかりか政権運営は困難を極めることになる。
◆小沢一郎前幹事長が25日、参院選候補の応援に訪れた青森県平川市での会合で、興味ある発言をしている。「参院で過半数を取ることによって、今までの仕組みを変えるのが、私の願い。そういうレールを敷いたら、私の役割は終わり。後は次の世代の人にバトンタッチしていきたい。最後のご奉公のつもりで、死にものぐるいでがんばる」 この発言に対して、読売新聞の記者は、「世代交代を進める考えを示した」(6月26日の朝刊4面=政治面)とのコメントで締めている。
◆しかし、小沢前幹事長の発言を反対解釈するとどうなるか。「参院で過半数を取ることができなかったら私の役割は終わらない」という意味になる。参院選挙序盤情勢について行った世論調査の結果通りになった場合、小沢前幹事長は「3年後の参院選での勝負」を目指すことになるだろう。それまでに総選挙が行われなければ、「衆参ダブル選挙」という可能性が大となる。
◆小沢前幹事長は、菅首相の「消費税アップ」発言が参院選の結果に与える影響を憂慮しているという。ひょっとしたら「勝てない」と予想しているのであろう。国民に重い負担を強いる増税については、為政者は、極めて慎重でなければならない。菅首相が官(財務官僚)に丸め込まれては、真の為政者とは言えず、単なる「暴君」にすぎなくなる。テレビ東京の番組「週刊ニュース新書」(現「田勢康弘の週刊ニュース新書」)でホストを務める愛猫家・田勢康弘氏が、西郷隆盛翁の名言を紹介して番組の最後を見事に締めくくっていた。
「租税を薄くして民を裕(ゆたか)にするには、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損して下を虐げぬもの也。能く古今の事迹を身よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知小慧の俗吏を用い巧みに聚斂して一時の欠乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐げるゆえ、人民は苦悩に堪え兼ね、聚斂を逃んと、自然譎詐狡猾に趣き、上下互に欺き、官民敵讐と成り、終に分崩離拆に至るにあらずや」(財団法人荘内南洲会刊「南洲翁遺訓」―十三より)


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「以国家興亡為己任 置個人生死於度外」の覚悟ある「国士」が希少な今、財団法人協和協会の使命は大きい

2010年06月25日 15時37分39秒 | 政治
◆このほど財団法人協和協会(半田晴久理事長、清原淳平専務理事兼事務局長)から講演の依頼があり、快諾した。日時は、6月30日(水)正午から2時半まで、会場は衆議院第一議員会館別棟一階第一会議室、講題は、「民主党政変 政界大再編」で、拙著最新刊(ごま書房新社刊)の題名と同じである。
◆財団法人協和協会は、岸信介元総理大臣が昭和49年に設立した大変由緒ある財団法人(総理府所管=現在、総務省所管)である。設立の趣旨は「各界の志ある指導者・経験者が、党派・利害・打算を超えて、真に国家的見地から、我が国立国の基礎をなす諸課題を検討して、世の中に貢献しよう」というもの。第二代会長は、福田赳夫元総理大臣、第三代会長は、桜内義雄元衆議院議長、第四代会長は、塩川正十郎元財務大臣。その後、江口一雄元衆議院議員が会長代行を務めている。
◆設立趣旨から日露戦争で有名な乃木希典陸軍大将が最晩年に残した「素行会」が思い浮かぶ。日本の将来を案じて、当時の指導層から華族、軍人、高級官僚、学者ら約300人をメンバーに選び、道を誤ることのないよう秘密裏に備えていた。素行とは、江戸時代に兵学者・古学者で知られた山鹿素行の名前である。孫子の兵法などを教えた。長州明倫館の軍学教授となった吉田松陰の軍学も山鹿素行の教えを基本にしていた。長州藩の支藩である長府藩の藩士であった乃木大将も、山鹿素行を尊敬していたのである。しかし、大日本帝国は大東亜戦争に敗北し、滅亡したので、「素行会」が十分に機能したとは言いがたい結末となった。乃木大将の思いは、結果的には裏切られたとも言える。
◆岸信介元総理大臣の家系も、長州藩士である。国を思う気概において、乃木大将と相通ずるものを強く感じる。その精神は、岸信介元総理大臣の書「以国家興亡為己任 置個人生死於度外」(国家の興亡を以って己の任と為し個人の生死を度外に置く)に表わされており、財団法人協和協会の基本精神として今日まで連綿として継がれ、かつ戦後64年を経て、日本の真の独立が求められているなかで、ますます強い光を放っている。残念なのは、政治家、財界人、高級官僚などの指導層に「国士」がほとんど見当たらなくなっていることである。それだけに日本の前途を再び誤らせないためにも、財団法人協和協会の果たす使命と役割は、極めて大きい。
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参院選で業界団体の大半が中立化、菅民主党と谷垣自民党のどちらが本当の勝ち馬になるか静観している

2010年06月24日 12時09分39秒 | 政治
◆参院選挙が6月24日公示され、17日間の選挙運動期間を経て、7月11日投開票される点。争は、すでに周知のように「消費税アップの是非」となり、「沖縄普天間基地の辺野古移設」は、争点にはならない。選挙結果によっては、菅直人首相は引責辞任に追い込まれる。また、結果如何にかかわらず、民主党は、9月の代表選挙を前に、最大派閥の小沢派と菅首相らの反(非)小沢グループとが壮絶な権力闘争を繰り広げて分裂し、やはり分裂する自民党を巻き込んで政界大再編へとダイナミックに動くことになる。
◆朝日新聞の6月24日付け朝刊は、大変面白い記事を1面から2、3、4、5、39面にわたって掲載している。1面は「業界 地方は中立化」「民主支持 広がらず 中央方針と食い違いも」というタイトルを付けて、日本歯科医師会、日本医師会、農協グループ、土地改良組合、建設業協会、トラック協会、商工会の政治団体の政党支持状況を調査してまとめている。
◆これら業界団体は、従来、自民党支持基盤であった。民主党の小沢一郎前幹事長が、幹事長室に「陳情の一元化」までして、「自民党はがし」を進めていた。これに対して、自民党は、検察権力やマスコミを前面に立てて、「政治とカネ」をめぐり小沢前幹事長を執拗に攻撃し、ついに鳩山由紀夫前首相ともどもダブル辞任に追い込むことに成功した。この結果、小沢前幹事長は、業界団体の「自民党はがし」を徹底できず、なおかつ、菅首相、枝野幸男幹事長らは、「自民党はがし」にまったく関心もやる気もなく、それどころか、政策調査会を復活させて、陳情のルートを複雑化させ、業界団体への威嚇力を低下させてしまったのである。これが参院選挙の比例代表区の勝敗に影響し、業界団体の地方組織の大半が「中立方針」を相次いで打ち出したため、ある意味で民主党の圧勝を遠ざけ事態を招いてるいるとも言える。
◆業界団体は、民主党が長期安定政権を維持できるだけの政権担当能力を持っているのか、自民党が次期総選挙で政権復帰するのか、はたまた、政界大再編が起こるのか、しばらくこの「合戦」を静観し、最後に「本当の勝ち馬」に乗ろうとしているとも言える。つまりは、少なくとも菅首相がこれまでに示してきた勝敗ライン「54議席」が危うくなっていると感じているということである。これらの情勢からみて、今回の参院選挙は、岐路に立っている日本がこれからどちらの方向を選択していくのかをある程度定める重要な選挙になる。
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福田博幸氏の最新刊に思いがけず碩学・佐藤慎一郎先生に再会する思い

2010年06月24日 11時49分12秒 | 政治
◆日新報道(遠藤留治社長)から福田博幸氏の最新刊「中国の日本乗っ取り工作の実態」と題する著作が届いた。早速、拝読した。「まえがき」のなかで、「恩師である故・佐藤慎一郎先生には・・・」という記述に思わず、懐かしい人に何年かぶりにめぐり合ったような感動を覚えた。と同時に佐藤慎一郎先生に対して私と同じような感情を抱いている人がいることを知り、驚きであった。まずは、「まえがき」の肝要部分を引用させてもらおう。
◆「中国の文化大革命当時、マスコミや多くの学者達は、こぞって中国の文革を絶讃していた。そのような世相の中で、恩師である故・佐藤慎一郎先生は、毎年、香港へ出かけ、大陸から鮫の泳ぐ揚子江へ飛び込み、命がけで大陸を逃れて香港へ泳ぎ着いた難民達からコツコツと大陸の実態を聴きとり、調査をしていた。学生だった私は、日本のマスコミ報道とは全く異なる中国大陸の悲惨な実情を、つぶさに聴かされたものだ。
 その後、卒業と同時に放送局へ入社、駆け出し記者として、マスコミへのサイドで、田中内閣の誕生、日中国交締結を体験することとなったが、その一方で、故.佐藤慎一郎先生から、報道されない真相について、こと細かに解説してもらったことを覚えている。
 だが、その頃のマスコミ界は、左翼思想全盛期で、中国批判は勿論、中国の手先となっていた左派系労組批判さえも許されない職場環境にあった。
 中国の対日諜報工作は、この三〇年間、着々と進行してきた。多くの疑問を感じてきた現象も、短期的な視野では解明できなくても、歳月を経て、長期的視野でみると、不思議なほど、工作の足跡がはっきりと見えてくるものだ。
 それにしても日本人は、余りにも現実の中国について"無知"であり、中国を支配している中国共産党の諜報工作に対して"無防備"すぎる。」
◆佐藤慎一郎先生は、明治38年3月、東京に生まれ 、青森県師範2部卒、満州国大同学院勤務などを経て、戦後は、拓殖大学海外事情研究所に勤務し、昭和51年3月に定年退職してからは、自民党本部はじめ、全国各地で講演活動をされた。漢学及び中国情報の古今希なる碩学であった。
 私は、佐藤慎一郎先生の晩年、友人の紹介で知己を得て、東京都北区飛鳥山の旧渋沢栄一邸で開かれた佐藤慎一郎先生の講義を拝聴したり、杉並の先生の自宅を訪問して、奥様のおもてなしを受けながら、ご高説に耳を傾けたりした。また、蔵書のなかから大切にされていた書籍を拝読したりもした。そのなかから、伊藤肇氏が「帝王学」をテーマにした書籍、しかも、佐藤慎一郎先生に贈呈したサイン入りの書籍を拝借するなど、楽しいひと時を過ごすことがことができた。その後、日中関係について、改めてお話しを聞きに、伺いたいと思っていた。だが、雑事に紛れて、ついにその機会を得ないまま時が無為に過ぎているうちに、佐藤慎一郎先生は、他界されてしまった。手元には先生を慕うファンたちが発刊した「佐藤慎一郎選集」があるのみである。
◆しかし、福田博幸氏の最新刊「中国の日本乗っ取り工作の実態」には、佐藤慎一郎先生から聞き逃した数多くの情報がふんだんに記述されており、これからの日中関係を考えるうえで、大いに役立つ秀作である。
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菅直人政権は、「消費税アップ」で支持率急低下を招き、小沢一郎前幹事長に大逆襲、反転攻勢の口実を与える

2010年06月23日 01時52分42秒 | 政治
◆菅直人首相は、首相番記者との朝のぶら下がり会見を禁止している。鳩山由紀夫前首相が記者から同じテーマの質問を受ける都度、微妙に言い方を変えていたため、「ブレる首相」のレッテルを貼られて、国民から信用を失い、支持率低下を招き、自滅したことを見て、前車の轍を踏みたくないと警戒したのが原因らしい。
◆確かに、番記者につぶやいた発言で、自分の首を絞める結果になった首相は、鳩山前首相ばかりではない。私の経験で言えば、福田赳夫首相が大平正芳幹事長とが争った総裁選挙の予備選挙の際、内閣調査室長が「福田優勢」という情報を福田首相に報告し、これを真に受けた福田首相が、番記者とのやりとりのなかで、「予備選挙で2位以下になった候補者は、本選挙に出るべきではない」と発言した。ところが、党員党友が全員参加する予備選挙の結果、大平幹事長がトップに立ち、福田首相は2位になっていた。このため、自ら発言したことに反することができない「禁反言」の罠にかかり、福田首相は、本選挙に出馬できず、退陣して大平幹事長に政権を移譲せざるを得なかった。こうした前例を想起すれば、菅首相が「うっかり発言」「不容易発言」などをしないように警戒するのは、理解できるけれども、若い番記者たちは、菅首相を引っかけてしまおうと、意地悪質問をじっくり仕込んで、記者会見のチャンスを狙ってくるであろう。また、番記者たちとの良好関係が築かれなければ、森喜朗元首相時代のような不穏な関係になり、わざと激怒させるような質問を仕掛けてくる可能性は大である。菅首相の朝のぶら下がり会見禁止が、却って裏目に出ることも十分に予想できる。
◆菅首相は、消費税アップを公約し、かつ参院選挙の「勝敗ライン」について聞かれ、前々回得た「54議席を目標とし、これに積み上げていく」と記者会見で発言している。ところが、著名な政治情勢調査機関の予測では、「1人区29のうち、民主党は18議席」という。これは、3年前の前回参院選挙では、民主党が獲得した「23議席」からは、5議席減となる。比率で言えば、7%の減である。この数字を全体の傾向として使うと、「54議席」という数字が弾き出される。辛うじてセーフということになるけれど、情勢はそう甘くはない。「消費税アップ」を嫌う有権者が増えていけば、菅内閣の支持率がさらに減少し、獲得議席も、「50議席前後」にならないとも限らない。とくに複数区に2人以上立候補させようとしている小沢一郎前幹事長が設定した現在の選挙戦術が完璧に成功する保証はない。もちろん、選挙結果の責任は、菅首相と枝野幸男幹事長が負わされる。
◆消費税の扱いに関して、小沢前幹事長は、「消費税アップに反対」の立場を堅持しているので、菅首相や仙谷由人官房長官、玄葉光一郎公務員制度改革担当相、枝野幸男幹事長らが、結託して勝手に「消費税アップ」を決め、マニフェストに書き込んだことを、「自分との決別宣言」と捉えている。従って、小沢離れして、脱小沢色を鮮明にした挙句に、消費税アップが国民有権者の反発を呼び、参院選挙に敗北したのであれば、それはすべて菅首相らの自業自得と考えている。このときこそ、小沢前幹事長が、まさしく「大逆襲」あるいは「反撃に出る時」、つまりは「反転攻勢の時」と考えているようである。
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中国の元切り上げは中国版「プラザ合意」に等しく、アメリカは中国からカネを吸い上げていく

2010年06月22日 02時23分40秒 | 政治
◆中国の共産党1党独裁・北京政府が6月21日、ようやく渋々ながら元のちょっぴり切り上げを決めた。正確には、中国の中央銀行である中国人民銀行が、人民元の対ドル相場の基準値を、先週末18日から横ばいの1ドル=6・8275元に設定した。表面的には、平成20年夏から始めた対ドル相場固定を約2年ぶりに解除するということであった。しかし、固定相場を一気に変動相場に切り替えるものではないので、中途半端な人民元の切り上げとは言うものの、中国経済が強くなるに連れて否応なく、変動相場制へと誘導されていくのは、資本主義経済のなかで生きていくうえでのいわば必然であり、今後は、一国も早く変動相場制に移行すべきことは言うまでもない。いつまでも「発展途上国である」などど甘えてはいられない。
◆中国の元の切り上げについては、アメリカのブッシュ政権が2期目の3年目ごろから、中国北京政府に要求し始めていた。イラク戦争の事実上の敗北により、財政赤字と貿易味のいわゆる「双子の赤字」に再び悩まされていたブッシュ大統領は、親友であるスノー財務長官のクビを切り、より有能な人材を財務長官に据えようと腐心していた。だが、ブッシュ大統領は、政権の最大の支持者であるデイビッド・ロックフェラー側の人脈ではなく、同族でありながらライバルのジョン・D・ロックフェラー4世がオーナーであるゴールドマンサックスのトップであったヘンリー・ポールソンCEOに白羽の矢を当てた。ヘンリー・ポールソンCEOが、江沢民前国家主席や胡錦濤国家主席らとの緊密な関係を築いているのを知り、これを利用しよとしたのである。
◆そこで、ブッシュ大統領は、ヘンリー・ポールソンを財務長官に就任させて、対中国金融攻撃に着手した。手始めに対中国の貿易赤字の解消に力を入れた。その政策の極めつけが「元の切り上げ」であった。日本は、中曽根康弘首相時代、1ドル=234円を100円台に強引に移行させた。そのための妙案として練り上げられたのが、日米英仏独5カ国による「プラザ合意」であった。日本は、輸出で儲けた利益の一部をアメリカに還流することが求められた。中曽根首相は、これに応じてしまったのであった。愛知県、福井県、石川県などの輸出産業は、次々に壊滅した。
◆アメリカは、この「プラザ合意」を参考にして、本格的な参院対策に乗り出していた。だが、中国北京政府は、毎年、ワシントと北京で交互に米中経済対話を行うたびに、ヘンリー・ポールソンから、「元切り上げ」を求められて、その都度煙に巻いて誤魔化していた。たとえば、ヘンリー・ポールソンのカウンターパートである呉犠通商担当相が、長時間にわたり演説を続けていた。何としても、中国から資金がアメリカに流出するのを防ごうと頑張ったのである。しかし、オバマ大統領に政権が変わっても、ありとあらゆる手練手管を駆使してきた。ディビッド・ロックフェラーの孫のような存在であるティモシー・ガイトナー財務長官は、中国に米国債を買わせ続けてきたにもかかわらず、中途半端ながら、ついに元の切り上げに踏み切らざるを獲なくてなったのである。
◆もう一つ、中国北京政府は平成20年秋のリーマンショック以来、アメリカ経済の再生を賭けて国債を大量に買わされる立場に立たされた。その原資は、世界一の外貨準備金2兆4471億ドル(日本は1兆427億ドル)だった。中国は平成22年2月現在、米国債7554億ドルを買っている。ちなみに日本は7688億ドル買っており、世界トップである。オバマ政権は、中国にもっと多く米国債を買わせようとしているのだが、アメリカの属国である日本のようには言うことを聞かず、それどころか、平気で売り飛ばしてしまう。この点、日本は、これまで米国債を売ろうとすると逆襲されるので、売ることはできないでいる。アメリカおよびIMF(国際通貨基金)は、従順なるね日本に対してまた矛先を向けて、消費税アップを迫り、米国債の買い増しを強要してきているのである。菅直人首相は、この脅しに屈して、言いなりになろうとしている。
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菅直人政権が消費税をアップしても、素人政権では日本の経済・景気を回復するのは不可能である

2010年06月20日 22時04分00秒 | 政治
◆竹下登政権時の平成元年4月1日に日本に消費税が導入されて以来、22年になる。だが、自民党政府は、消費税を導入し当初の税率は3%により税の増収を図ろうとしたけれど、、日本の経済・景気はよくならず、反対に、昭和57年10月から始まった大勢上昇相場を現出していた花見酒経済は瞬く間に崩壊してしまい、バブル経済(泡、詐欺経済)の汚名をつけられて文字通り泡として、弾けてしまい雲散霧消してしまった。
◆大蔵官僚たちは、株価と土地価格の高騰による景気回復を期待したものの、それは机上の空論に終わり、経済・景気は回復するどころか、悪化の一途を辿った。そこで橋本龍太郎政権は、平成9年、消費税を4%に引き上げ、消費税率の引き上げに併せて地方消費税(消費税の25%)が導入され、(国税の)消費税分の4%に地方消費税分である1%(0.04×0.25=0.01)を合計して「消費税等」の税率が5%とした。だが、これも焼け石に水どころか景気の足を引っ張り、財政まで悪化の度を深めた。その後、大蔵省から財務省に看板を塗り替えた財務官僚は、消費税アップの画策に狂奔するも、実現できず今日に至り、「財政破綻」を声高に喧伝し、「このままではギリシャのようになるぞ」と国民を恐喝し、そのうえ菅直人首相や仙石由人官房長官、玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政策調査会長)ら民主党首脳陣が経済財政の素人であるのを逆手に取り、これらをたぶらかして、消費税10%時代を現出しようとしている。菅首相は「官僚はバカですよね」と批判したのを忘れて、いまや恥ずかしげもなく、「官はバカ」を天下にさらけ出している。
◆要するに、官首相が提唱している「経済回復」は、「財政再建=消費税アップ」によっては、実現できないことは、消費税導入から22年の歴史が証明している。菅首相らは、財務官僚がバカのひとつ覚えのように信じている「株価と土地の上昇による経済・財政の再生」という「神話」にすっかり化かされている。国家の主な収入=税収は平成2年度の60.1兆円をピークに減少し続けて、平成22年度は37・4兆円とほぼ半減しており、、消費税導入以前の方が、税収がよかったということを物語っている。これは、財務省が、「株価と土地の上昇による経済・財政の再生」という神話を信じすぎて、「経済を強くする政策」ための政策を一度も打たず、むしろ不熱心だったという怠慢の証左でもある。税収が減るという財務行政の失敗を消費製アップという姑息な手段により、国民にツケ回ししようとしているにすぎない。菅政権は、財務官僚に騙されてその尻馬に乗っているという図式である。
◆やすやすと財務官僚の小ずるい画策に乗っている菅政権が、「景気押し上げのための5つの基礎的条件」を揃えられないzという醜態をさらけ出している。「5つの基礎的条件」のなかで、大事なのは、菅首相を全面的にバックアップする財界トップがいるかどうかという点である。それは、吉田茂首相の宮島清次郎(日清紡社長、学習院以来の同級生)であり、池田勇人首相の財界四天王(宮島清次郎の弟子たち)であり、中曽根康弘首相の証券・金融、建設・不動産、鉄鋼の各業界指導者たちである。菅首相は、日本経団連の米倉弘昌会長と会談したとは言うものの、二人が肝胆合い照らす関係を築いているとは到底考えられない。何しろ「最低不幸社会」という陰気なキャッチフレーズは、いただけない。「第三の道」と分けのわからないことをほざいているけれど、は「カネと土地」が動かなければ、本格的に上昇することはありえないのである。頭はよく、口先ばかり達者でも経済・景気に素人勢揃いの菅政権が、日本の経済・景気を回復させることが不可能なのは、火を見るより明らかである。
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