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『パンドラ・アイランド〈上〉〈下〉』 大沢在昌

2024年05月10日 20時10分31秒 | ■読書
大沢在昌の長篇ミステリ作品『パンドラ・アイランド〈上〉〈下〉』を読みました。
大沢在昌の作品は先月に読んだ『新装版 涙はふくな、凍るまで』以来ですね。

-----story-------------
〈上〉
絶海の孤島・青國島。
小笠原諸島のさらにその先、のどかな南の島に、ひとりの男がやってきた。
元警視庁の刑事・高州康彦、41歳。
司法機関がないこの島での治安維持に当たる「保安官」として。
着任早々、海に転落して死んでいる老人が発見された。
泥酔した上での事故死と考えられたが、疑念を抱く高州は、島独特の習わしに翻弄されながら、その真相を追う。
会心の第17回柴田錬三郎賞受賞作。

〈下〉
老人の転落死、放火と事件が相次ぎ、ついに射殺事件が発生。
高州が「保安官」として赴任してから、南の楽園という幻想は砕かれ、青國島は事件の島として耳目を集めることになってしまった。
老人が死ぬ前に高州に語った「島の財産」とは。
次第に浮かび上がる島の抱えた過去、そして秘密とは。果たしてこの島で今、いったい何が起きているのか。
第17回柴田錬三郎賞に輝いたサスペンス大作、完結。
(対談/薬丸岳)
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2002年(平成14年)8月から2003年(平成15年)11月に『東京中日スポーツ』紙に連載された『海と拳銃』を改題して、2004年(平成16年)に刊行された作品……同年、第17回柴田錬三郎賞受賞した作品です。

東京から700キロ、小笠原の先にある一見平和でのどかな南の楽園・青國島……一人の男がこの島にやってきた、、、

高州康彦、41歳、元刑事……彼の仕事は“保安官”、司法機関のないこの島での治安維持が任務だ。

都会での生活に疲れ、妻とも離婚し、平穏な暮らしを求めてやってきた……そんな高州の願いは、泥酔して海に転落した草引の死によって打ち破られた、、、

「島の財産を狙っておるのか」 死の前日、彼の遺した言葉が高州の耳に蘇り、その死に疑問を抱く高州……島特有のしきたり、排他的な島の人々、さまざまなものが捜査の行方を阻む。

この平和な島で何が起きているのか! 老人の転落死の後、放火事件、そして射殺事件と事件が相次ぐ……高州の赴任以来、青國島の平和な暮らしは一変した、、、

捜査を続けるうち、島でアメリカ統治時代にコカの栽培をしており、それが「財産」になっていることを知る高州……そんな彼に収入役の草引、助役の木島らは苦言を呈する。

村長の井海、島の過去を知るアメリカ人医師オットー、高州に近づく娼婦チナミ……真実を知っているのは誰だ? 島の人間が守ろうとする“秘密”とは? 孤独な闘いのなか、しだいに明らかになる島の過去……事件の核心に迫る高州を待ち受けるものは……。

南海の孤島で“保安官”として平穏に暮らすことを望んだ元警視庁の刑事・高州が、老人の転落死に疑問を抱いたことから、平和な島の暮しは一変……南の楽園という幻想は砕かれ、キナ臭い島の過去、そして秘密に近付いていくことに、、、

というワクワクする展開が愉しめましたね……架空の島を舞台にしたことで、村に雇われた“保安官”という設定や島に隠された秘密等、やや現実離れした展開がリアルに感じられたし、手に汗握る展開や次々に明らかになる秘密も魅力的で、大好きな雰囲気の作品に仕上がっていましたね。

特に終盤の盛り上がり、真相が判明するまでの怒濤の展開は面白かったなー 愉しめました。
コメント
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