じゅうのblog

こちらでボチボチ更新していく予定です。

『玻璃の天』 北村薫

2024年05月13日 20時19分56秒 | ■読書
北村薫の連作ミステリ作品『玻璃の天(はりのてん)』を読みました。
北村薫の作品は3年前に読んだアンソロジー作品『ミステリー傑作選・特別編〈5〉自選ショート・ミステリー』に収録されていた『眼』以来なので久し振りですね。

-----story-------------
令嬢と女性運転手。昭和初期を舞台にした北村ワールド

昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。
犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る「玻璃の天」の三篇を収録。
-----------------------

2005年(平成17年)から2006年(平成18年)に文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に連載され、2007年(平成19年)に刊行された作品……1933年(昭和8年)の帝都・東京を舞台に、上流家庭の花村家の長女・英子とその運転手・ベッキーさんが活躍するベッキーさんシリーズの第2作で、第137回直木賞候補となった作品です。

 ■幻の橋
 ■想夫恋
 ■玻璃の天
 ■解説 岸本葉子

昭和8年、時代を見つめ謎に挑む令嬢と女性運転手……ステンドグラスの天窓から墜落死した思想家、、、

事故か、殺人か。英子の推理が辿りついた切ない真相とは……。

昭和初期を舞台にした北村ワールド……表題作のほか「幻の橋」「想夫恋」を収録したベッキーさんシリーズ第2弾。

上流家庭の花村家の長女で学習院に通い何不自由ない生活を送る令嬢・花村英子によって語られる昭和初期の帝都という時代背景を描いた緻密でリアリティのある描写、そして、英子の運転手で才色兼備で武道にも秀でたスーパーウーマン別宮みつ子(ベッキーさん)の活躍が印象的な作品でしたねー 物語の中で徐々に明かされるベッキーさんの正体も興味深い……第1作から読んでみたくなりましたね、、、

内堀銀行の娘・百合江からロミオとジュリエット状態の自身の恋愛について相談を受けた英子……お互いの祖父は兄弟だが絶縁中の百合江と恋人・東一郎の両家がベッキーさんの知恵で仲直りの運びとなるが、和睦のしるしに贈られた一枚の浮世絵が盗まれるという事件が発生し、その謎を解くとともに、過去の両家が仲違いした一件の真相も明らかにする『幻の橋』、

箏(こと)の演奏が上手なことで知られる公家華族の清浦綾乃と、「あしながおじさん」を読んでいたことがきっかけとなり親しくなった英子……その後、綾乃が老人めいた言葉を残し、姿を消してしまい、残された手紙に描かれた奇妙な暗号の解読に挑む『想夫恋』、

父親以上の切れ者と評判の、有名財閥の番頭の息子・末黒野貴明と、その友人で建築家の乾原剛造と知り合いとなった英子……乾原が設計した末黒野の自宅で開かれるパーティーに招かれるが、そのパーティーで講演した、自由思想・民主思想の排撃者である“荒熊”こと段倉荒雄が講演後、吹き抜けの天窓を彩っていた一面のステンドグラスを突き破って転落死するとう事件の真相を推理する『玻璃の天』、

どの作品も雰囲気がムッチャ好きで愉しめました……事件を通じて、ベッキーさんの出自が明らかになるんですよねー この先の展開が気になります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『女王陛下のアルバイト探偵... | トップ | 『アルバイト探偵 拷問遊園地... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読書」カテゴリの最新記事