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「君たちはどう生きるか」と「瞼の転校生」に通底しているもの

2024-05-19 | 番外編の番外編

先日、
映画「濱マイク」の聖地となっている横浜のシネマ「ジャック&ベティ」へ行ってひさびさに劇場鑑賞してきましたよ。
お目当てだったのは(監督:藤田直哉/脚本:金子鈴幸)による
「瞼の転校生」(まぶたのてんこうせい)
です。
ミニシアター系のこじんまりした劇場なのですが横浜のハイカラさとレトロ感を纏った伝統ある劇場なんですね。

80分というコンパクトな時間に、青春模様のきらめきが凝縮されていて
「鑑賞後の余韻」がとてもさわやかで良かった!
自分用の忘備録も兼ねて、感想を記録したいと思います。

ストーリはざっくりとこうです。

ストーリー: 旅回りの大衆演劇一座に所属する中学生の裕貴は、公演に合わせてひと月ごとに転校を繰り返しています。期間限定の学校通いのため、出会いに期待もせず、友達を作ろうともしない日々を送っていました。しかし、ある日、担任から不登校のクラスメイトへの届け物を頼まれ、そこで不登校なのに成績優秀な建と出会います。後日、ひょんなことから地下アイドル「パティファイブ」のライブに行くことになり、そこで建と再会します。
建が裕貴に興味を持ち始めたことで一気に仲良くなる二人。そこに建の元カノである茉耶も加わって、三人で過ごす時間がだんだん増えていく。
裕貴は二人に役者として舞台に立つ自分を観てほしいと思いはじめるが、一ヶ月が、まもなく終わろうとしていた・・・。 

見どころ:
・80分でテンポがいい
・大衆演劇の子供たちの過酷さ、役者一筋を目指す少年ぽさと同居しながらも揺れ動く進路への葛藤も等身大
・大衆演劇と地下アイドルのカルチャーの共通性
・友情、成長、葛藤・・・中学生という人生で一度しかない尊い時間をみずみずしく演じる役者さんの力量


はい、感想なんですが主演の少年のユウキくん役の松藤史恩(まつふじ・しおん)さんの演技が良かったです。
揺れ動く思春期の繊細な表情も残しつつも、父親の座長とのやり取りで「座長」と呼ぶ律義さというか丁寧さ、
学校と劇団内では全く違う表情を見せる、ときには座員への指導も優しい口調で接する様子なんかも、「大人じゃーん⤴」と感心してしまう。
そして何よりも舞台で演じる女形の美しさ、艶っぽさ、ほんとに見とれてしまうくらい。

全体を通してみたら、脚本が良かったですね。
大衆演劇は2部構成になっていて、お芝居の第1幕と舞踊・歌謡ショーの第2幕があり
その両方を満たすためのうまい見せ方、そのままつなげるというのではなくて、場面と構成にかなったシナリオの工夫がピカイチでした。

「友情と出会い・別れ」の横糸にしっかり通底しているのが
「親子の情」という縦糸。
親子というか去年みた映画の中で「君たちはどう生きるか」で描かれた
「母親の喪失」
っていうテーマがこちらもまっすぐなアプローチで示されていて偶然なのか同時多発的なのかは知らないですけど現代のご時世に響くテーマなのかな、と感じ入るものがありました。
劇中劇の「瞼の母」の意味するところ、瞼ってそういうことなのか、がわかったときにはホントにやるせない涙がうるっとこみあげてくるような気持ちになりました。

座員の中で気配りのできる礼儀正しいユウキくんが珍しく我を通してまでケンくんに見せたかったものはなにか。
紆余曲折あったものの別れが来る前にケンくんに渾身のお芝居を見せることができてほんとによかったと思います。

出会いと別れ、青春ストーリー、進路への葛藤、大衆演劇、地下アイドル、不登校、親子の情
これだけのテーマを盛り込んでおきながら、焦点がぼやけることがなくラストシーンへ向けて一気に収束していく風呂敷の畳み方が絶妙。
個人的には、地下アイドルパティファイブの浅香さんが「アグレッシブ烈子」のちょっとやさぐれたマナカっちを彷彿とさせてよかったのと
クラスメイトの茉耶さんとユウキくんの関係性「一緒に帰ろうか?」「早く!」のぐいぐいおせっかいで巻き込まれるところとか青春してるねー(´ー`*)ウンウンだったね。

瞼の転校生は英語タイトルでは
「Confetti(紙吹雪)」
っていいうらしいです。素敵すぎる!

ミニシアター系で
もう公開日程も終盤になってて観に行ける方も限られてくるとは思いますけれどいつぞやの機会に見れるように今後の動向をチェックしてみてはいかが?





※※※【5/19追記】※※※

横浜の劇場ジャック&ベティさん、
好評につき5/31まで上映延長が決定しました。
鑑賞時も満席盛況だったし年齢層も幅広かったですよ!
まだ間に合います!
チェックしといてよかった。詳しくはこちら↓

タイムテーブルから探す | 横浜の映画館・ミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」

ついでにオフィシャルページもこちら↓
映画『瞼の転校生』 | 2024年2月23日(金・祝)MOVIX 川口先行公開 2024年3月2日(土)ユーロスペースほか全国順次公開

予告編が見れます





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