さくさく

中居正広ナシでは1日が始まらない、終わらない。元気をくれるのは中居&SMAP。

毎日新聞「SMAP報道、批評精神を/「憲法のある風景」の記事審査」

2016年04月04日 06時05分31秒 | SMAP解散関連報道 記事紹介

久しぶりに この『SMAP解散関連報道  記事紹介』カテゴリーに、収納する記事を紹介いたします。


【開かれた新聞

委員会から SMAP報道、批評精神を/「憲法のある風景」の記事審査】
毎日新聞2016年4月2日 東京朝刊


コチラ  毎日新聞2016/4/2

~引用~
「SMAP報道、批評精神を
アイドルグループSMAPの解散騒動は社会の関心を集め、毎日新聞は1面、社会面などで大きく扱いました。見出しにSMAPのヒット曲のタイトルをあしらった1月14日朝刊のスポーツ面は、ネット上で話題を呼びました。新聞は、芸能ニュースをどのように伝えていくのがよいのでしょうか。SMAP関連報道を例に、開かれた新聞委員会の4人の委員から意見をいただきました。(意見は東京本社発行の最終版に基づきました)

常識覆す一般紙の扱い ジャーナリスト・池上彰委員
人気グループが解散することになりそう。普段なら一般紙が大きく報道することではない。SMAP解散騒動は、常識を覆しました。多くの人にとってニュースなら、大きく扱う意味があるでしょう。しかし、一般紙が扱う以上、そこには文明批評の視点が必要のはずです。あるいは「騒動」を冷ややかに見る視点も同時に伝えてこそ、バランスのとれた紙面になるでしょう。

 その点で、2月3日付夕刊で川崎浩・専門編集委員が、SMAPが「存在」することによって国民に平和な気分を与える「公的機関」となったと指摘したことは、見事な文明批評になっていました。これなら扱う意味はあります。

 スポーツ面の見出しにSMAPの曲名を使ったことは、娯楽として楽しめるもの。これはこれで、娯楽を読者に届けるのも新聞の大事な役割でしょう。

掘り下げる視点欲しい ノンフィクション作家・吉永みち子委員
社会的に大きな関心が集まっている芸能ニュースを新聞が取り上げることは、取り上げないより自然。要はどう取り上げるか。読者は、週刊誌やスポーツ紙、ネットなどで芸能界の裏側や、テレビ局が何を伝えないのかも含めて多くの情報をすでに持っている。その構図の上で、新聞は何を伝えたかったのか。騒動の経緯か、この事態を生んだ原因か、町の反応か。力のあるプロダクションとタレントやテレビ局の関係や、騒動の元とされるところへの独自取材を試みるなど、深く掘り下げる視点が感じられなかったのは残念である。

 川崎専門編集委員による「大衆音楽月評」欄の「『機関化』したSMAP」の指摘は、新聞ならではの視点で大変面白く読んだ。またスポーツ面の見出しも、正面切ってモノが言えない時代の表現手法として興味深かった。

 

見出しの可能性を追求 慶応大教授・鈴木秀美委員
「解散」が報じられた翌朝、毎日新聞のスポーツ面を開いて驚いた。SMAPのヒット曲のタイトルが見出しに躍っていたからだ。ネットでそのことが広く知られ、東京都内の駅売りは、前週比約3割増の売れ行きだったという。記事の内容ではなく、見出しに曲のタイトルがあしらわれているという理由で新聞の売り上げが伸びるなど、前例のないことではないか。SMAP解散への世間の関心度の高さやその広がりを察知し、見出しの可能性を追求したチャレンジ精神は素晴らしい。1月20日朝刊の「記者の目」で、ヒット曲見出しに込めた思いや、編集記者の基本に照らせば「変化球」だと承知しつつ、批判も覚悟の上の紙面づくりだったことを担当者が吐露したのも興味深かった。芸能ニュースに限らず、新聞編集の可能性を開く努力を続けてほしい。

 

芸能分野での強み何か 評論家・荻上チキ委員
ブラック企業が、駅前などで社員に「反省文」を読み上げさせ、それをネット上で動画配信し、炎上したという出来事がかつてあった。SMAPの謝罪番組についても同様の不快感を抱いた人は少なくないようで、放送倫理・番組向上機構(BPO)に「パワハラでは」との問い合わせが寄せられたという。視聴率は高く、結果として他局の番組から新聞に至るまで、謝罪番組への注目をお膳立てする格好となった。

 毎日新聞も大きく取り上げたが、独自取材よりも芸能メディアへの「後追い」「悪乗り」が目立った。まるでスポーツ紙のようで「毎日新聞の強み」をこの分野でどのように生かそうとしているのかが見えず、文字数の割に中身がないのが残念だった。各メディアには得意・不得意分野があるが、芸能報道ではどんな強みを示すのか問い直したい。

 

「騒動」追いつつ冷静に 前学芸部長・大井浩一
「SMAP」が解散するのでは−−1月中旬、衝撃的なニュースが一部スポーツ紙の報道で明らかになりました。メンバー5人のうち4人が、所属する事務所を退社する方向で協議中だという話でした。通常、芸能ニュースを大きく扱うことは少ないですが、多彩な活動で知られるグループだけに、幅広い読者が注目すると考え紙面を展開しました。

 結果的には、数日後にメンバー5人がそろってテレビ番組に緊急生出演。謝罪したうえで、活動存続を明らかにし、解散は「騒動」に終わりました。

 こうした現象を追うだけでなく、背景や、解散した場合の影響について冷静な見方も示そうと、識者の論評なども紙面に載せました。果たして読者の関心に応えつつバランスの取れた報じ方ができたのか。自問しながら、的確な芸能ニュースの報道に努めていきます。

 

「憲法のある風景」の記事審査 繊細なテーマ、取材対象者へ配慮不足

 1月4日掲載の新年企画「憲法のある風景」について、記事で取り上げた本人から、内容に事実誤認や発言趣旨と異なる表現があるなどとして抗議がありました。取材・執筆過程に問題はなかったか、委員に見解を求めました。


経緯
対象となる記事は、元日から掲載した連載企画「憲法のある風景 公布70年の今」の3回目です。憲法20条「信教の自由」をテーマに、イスラム教に改宗した日本人女性2人を取り上げました。見出しは「信じる私拒まないで イスラム教の服装、習慣 就活、職場で壁に」。イスラム教の女性が頭髪を覆うための布「ヘジャブ」を巡り、就職活動中や職場で起きた出来事などを紹介しました。

掲載当日、記事で取り上げた弁護士の林純子氏(取材当時は司法修習生)は自身のフェイスブック上で、内容に不正確な点があると指摘。林氏と記事に登場する東京都在住の女性と面談した一般社団法人「日本報道検証機構」からも1月18日、質問状が毎日新聞社に届きました。質問状などによると、林氏は▽就職活動でヘジャブ着用を理由に差別を受けたように書かれているが、実際には差別を受けていないし、不満もなかった▽信仰をやめるよう両親から「懇々と説得された」と書かれているが、結局、自分の選択を尊重してくれて感謝しており、表現に配慮を求めたが修正されなかった−−などと説明しています。

 また、匿名を条件に取材を受けた東京都の女性は「記事では職場の懇親会でアルコールなどを口にしないことを上司に指摘され『仕方なく告白し職場での礼拝とヘジャブ着用を要望した』とあるが、実際には好機だと思って告白した。礼拝は要望したが、ヘジャブ着用は要望していない」「苦しんでいるムスリムのイメージで描かれたが、実態と全く異なる」としています。

 一方、取材記者は、林氏に記事内容を確認した上で一部を修正。「修正できないところもある。了承してほしい」と説明し、林氏から「後は任せます」と言われたことから了解を得たと判断しました。また、東京都の女性に対しては、原稿の事前確認をしないまま掲載しました。後日、東京本社社会部副部長が両氏と面談し「不快な点が残る記事となったことについて申し訳なく思っています」と陳謝しましたが、両氏は「開かれた新聞委員会」での審査を要望しました。

委員の見解
池上委員 記者はどんな記事になるかイメージし、ストーリーをもって取材に行くのが一般的。ストーリーが崩れると、インパクトのない記事になってしまうこともあるが、相手の発言に基づいて変更することが必要だ。発言を記者の「許容範囲内」に変えるのではなく、取材対象の言い分を最大限尊重すべきだった。取材と執筆の詰めが甘かった。

 荻上委員 今回のように繊細なテーマについては、取材対象者に不利益をもたらす可能性があり、事前確認は必須。記事化の過程、内容の両面において取材対象者の信頼を傷つけたのは事実で、特定のストーリーにひきつけ、その内容に同意するよう取材対象者を説得したように思える。

 鈴木委員 取材内容をどう記事化するかは新聞社の判断。だが、今回のように宗教という内心の核心にかかわるテーマで、しかも宗教的に少数派のイスラム教徒を取材し記事化する上では配慮が不足していた。特に東京都の女性については事前確認の約束を守らず、記事に不正確な事実が記載されていたことなど毎日新聞に反省すべき点がある。

 吉永委員 記事のニュアンスの違いが、取材される本人にとっては重大な結果や周囲との摩擦を引き起こすことがある。今回の抗議が訴えていることは、取材者と取材対象者の信頼をどう保つかということ。対象者への配慮、表現の重大さなどを考え、読者と共有する場を模索すべきだ。

 

詰めの甘さ、否めず 社会部長・大坪信剛
連載「憲法のある風景」は、身近な暮らしの中にある憲法の価値、意義、課題を浮かび上がらせようと企画しました。

 記者は、ヘジャブの着用を司法研修所から認められたムスリムと、職場での礼拝を求めたムスリムを描くことで「『信教の自由』について読者に考えてもらいたい」とお二人を取材。記事は了解が得られる内容と思い込んでおりました。

 しかし、「記事のイメージが実態と異なる」とのご指摘を受けたことは、表現の確認が不十分だったと考えられ、取材班に詰めの甘さがあったことは否めません。「意図を十分くみ取って記事にする」基本を再認識するとともに、信頼関係を損なわない取材と対応に努めます。

 

開かれた新聞委員会とは

 毎日新聞の第三者機関「開かれた新聞委員会」は(1)報道された当事者からの人権侵害などの苦情にもとづき、取材や報道内容、その後の対応をチェックし、見解を示し、読者に開示する(2)委員が報道に問題があると考えた場合、読者や当事者からの苦情の有無にかかわらず、意見を表明し、その議論を開示する(3)これからのメディアのあり方を展望しながらより良い報道を目指して提言する−−という三つの役割を担っています。毎日新聞の記事だけでなく、毎日新聞ニュースサイトなどデジタル報道も対象とします。報道による人権侵害の苦情や意見などは各部門のほか、委員会事務局でも受け付けます。 」

 

「さくさく」姉妹版  「中居語録」はコチラ。


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