フロムYtoT 二人に残された日々

私と妻と家族の現在と過去を綴り、私の趣味にまつわる話を書き連ねたいと思っています。

1972.06 出会い

2020-08-10 21:16:44 | 【小説】花梨の樹 ~ 365日のラブレター

1972.6

 直人は久しぶりに早起きをして、大学の校門前で私と佐々木で立ち上げた同人誌の創刊号を売っていた。昨日は雨の降りしきる中、優一の下宿で、明け方まで神塚とガリ版で創った同人誌を刷っていた。

 明け方少しばかり睡眠をとって目覚めると、昨日一日中降り続いていた梅雨の雨が嘘のように晴れ渡って、雲一つない青空が広がっていた。ここ何日か雨が降り続いていて、下宿の窓から見える欅や合歓木や花梨の木や紫陽花や、今を盛り咲き誇る草花も薄暗くうな垂れていたが、今朝は初夏の日差しを浴びて色とりどりで鮮やかな色彩ゆで私に語りかけていた。

 7時過ぎから校門の前に立って8時半まで、我々2人と数名で創った1冊100円の同人誌は全く売れなかった。

「俺はもうそろそろ授業が始まるし、教室に行くよ」と佐々木が言った。

 直人は2時間目からの授業だし、もう少し頑張ることにした。

 

 9時少し前、校門前の朝日堂書店前の横断歩道から一人の女子学生が横断歩道を渡り私に近づいて来た。

 その女子学生はおかっぱ頭で、髪の毛が多くて、目の色が少し茶色で、目尻が大きく、そして少し垂れ目で、そう市松人形のような顔立ちをしていた。彼女は右足と左足を交差させるような辿々しい足取りで私に近づいてきた。

それが貴子と初めて出会った日だった。

 

「同人誌を創りました。読んでください。100円です。」

と言うと、君は微笑んで、100円をポケットから取り出した。

「ありがとうございます。読んだら、感想を聞かせてください。」

というと、(その時代はスマホもメールもないので)

「はい、わかりました。また機会があれば・・・」と微笑んで、君は音楽棟の方へ過ぎ去っていった。

 君が遠ざかって行く姿を見つめながら、君のあどけなさと微笑みが、直人の心に幸せと喜びの感情を満たしていった。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1999.11.04 「僕は少しも成長していないね」

2020-08-10 17:25:30 | 【小説】花梨の樹 ~ 365日のラブレター

1999.11.04

  昨日、20周年の結婚記念日を祝って、久しぶりに君と映画を観て、大名のレストランで食事をしたとき、僕が「僕は少しも成長していないね」と言ったたら、「成長していないと言うことが理解できるようになったことが成長した証じゃないかしら」と君に言われたね。そして、人生とは「自分が何者であるか」を時間をかけて理解していく過程なのだというようなことを言っていたね。確かにその通りだ。君はいつもオバチャンそのものだけど、時々、驚くようなことを僕に教えてくれる。

 ブーバーという哲学者が言っている。「愛」は単なる感情ではない。感情は自分自身が「所有」し、「自分自身のうちに住まう」ものであるが、「愛」は「生起」し、「自分自身が愛のうちに住まう」のであって、言い換えれば「愛は『私』と『汝』の間において存在する」のであって、「このことを知らないものは、たとえその人間が『体験』し、『享受』し、『表出』する感情を『愛』に数えようとも、『愛』を知ってはいない」ことになる。何故ならば「汝」に対する「愛」は、その根本において、「『汝』に対する『私』の責任」であるからである。「愛」は「汝」に対する「私」の全存在を傾けての応答であり、こうした応答(response)ー責任(responsibility)のないところには、「愛」は存在しないと・・・・・・。

 僕はこんな言葉を今でも大事にしている。要するに僕は、今も昔も変わりはなく、進歩もしていない。つまり、二十年前の僕と今の僕と何も変わっていないと言うことに失望もするし、安心したりもする。人間はそんなに簡単に変わることは出来ないんだね。君が二十年前に悟っていた現実を、今でも僕は何とかならないかともがいている。つまり僕は何も変わっちゃいない。成長しちゃいない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20051215  今日はクリスマスパティーでした。

2020-08-10 16:05:28 | 【過去】酔いどれサラリーマン日記

20051215 

今日はクリスマスパティーでした。

また、昨日に引き続き、酔っぱらっています。今日は水曜日ですから、3日間連続で酔っぱらっています。明日も、明後日も予定が入っていますので、引き続き、酔っぱらうと思います。というか、ほとんど毎日酔っぱらっています。

 二次会でダーツをしました。30年ぶりですが、燃えました。

 このクリスマスパーティーは、本店と私の支店の合同で、本店は今は2部構成ですが、3年ぐらい前は3部構成で、不肖私は当時の二部長でした。まだ私の残党も残っていまして、それはそれなりに楽しかったのです。

 その後、私の今の部下と、新しく転勤してきた内部担当課長の行きつけの店に行きました。
 ダーツの店と言うから、小洒落た店かと思ったら、じぇんじぇん違っていました。ただの居酒屋にダーツの機械がいてあるダケ!

 ダーツで勝ち残り戦をしましたが、最終的に私が勝ちました。ほんとうは私に勝ちを譲ってくれたのかもしれませんが、気持ちが良かったデス。ミナサンありがとう!

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする