デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

ターニング・ポイント (かんわきゅうだい58)

2017-01-20 15:50:25 | かんわきゅうだい
 

 前号「雪の降る街」「蝋梅」にQPからイメージ画像をいただきました。いつもながら見事なセンスと筆致に驚嘆します。折角!でもありますし、今回の「ちょっと硬い」本題に入る前に、この優しく穏やかな世界で少し息を入れていただけばいいかな...。

 今回のテーマは「ターニング・ポイント(分岐点)」。ひとり一人の人生に様々なターニング・ポイントがあるように『世界の現代史にも、夥しい人命が、時に地球の未来が左右される大きなターニング・ポイントがある』と映画監督O.ストーン氏は語ります。




 間違っていることは正すべきだ
 私が最初に観た彼の映画はヴェトナム戦争を描いた「プラトーン」、米国の良心の一端を垣間見る作品でした。また昨年NHKでも放映された「もう一つのアメリカ史」(全10回)も衝撃的であり画期的なドキュメントでした。その視点は「間違っていることは正すべきだ」というきわめてシンプルな、しかし勇気と決断のいる姿勢、行動でした。

 もしトルーマンでなかったら・・・
 日本への原爆投下には「戦争を終わらせるため」「百数十万の米兵の死者を未然に防ぐため」との原爆投下肯定論があります。ストーン氏は「ルーズベルトの副大統領選びにおけるトルーマンとウォレスの戦いこそターニング・ポイントだった」「もしトルーマンではなくウォレスが選ばれていたら、原爆投下も米ソ冷戦もなかった」と語ります。

 謀略で盛り返したトルーマン
 当時、米大統領ルーズベルトは重病のため副大統領選びは大統領選びでもありした。ウォレスは徹底した平和主義者で、圧倒的支持を背景に民主党大会で副大統領に選出されることが確実視されていました。しかしナチスの国会議事堂放火デッチ上げ事件のような「党大会場が火災になる」との謀略で党大会は延期・・・トルーマンが盛り返しました。



 原爆投下、核軍拡競争へ
 まるで昨秋の民主党大会におけるヒラリー氏とトランプ氏が争った米大統領候補選を見るようです。ともあれ圧倒的不利を覆しトルーマンが副大統領に選出されます。その僅か3月後にルーズベルトが死去しトルーマンが第33代大統領に就任。更に4か月後、日本への原爆投下を命じ、戦後の軍事大国化と核軍拡、米ソ冷戦構造を方向付けました。

 根拠なき推論による原爆肯定論
 原爆投下の肯定論を支えた「百数十万の米兵の死者を未然に防ぐ」は、米国本土が空襲されてもそれだけの死者は出ない荒唐無稽な推論ですが、当時の米国民の良心を納得させる論拠となり、今も「核軍拡による平和」信仰を支えています。ともあれ戦後、米ソを筆頭とする東西陣営は核軍拡を進め、一触即発のキューバ危機は世界を震撼させました。

 もしケネディが生きていたら゜・・・
 キューバ危機を切り抜けたケネディ大統領は、本格的な核軍縮に乗り出しますが、その緒につくや暗殺されました。ストーン氏はこれも「ターニング・ポイント」に挙げ、「もしケネディが生きていたら」と語ります。しかし後を継いだジョンソン大統領によってヴェトナム戦争がエスカレート、世界中に「紛争」と呼ばれる米国の介入が始まります。



 再びのターニング・ポイトン・・・レイキャビク
 ソ連に「ペレストロイカ(改革)」を掲げるゴルバチョフが登場した頃、米国ではレーガンが「力による平和」戦略を打ち上げます。この時期に開かれた米ソ首脳会談(1986年レイキャビクにて)のテーマは「核軍縮」、一時は「核兵器50%削減」まで進みます。しかし核戦略における米国優位を信じて疑わないレーガンは合意に躊躇、冷戦終結に至りません。

 幻に終わった米ソ核軍縮・・・を経て 現在!
 ストーン氏はレイキャビク会談は「地球から核をなくす最後のターニング・ポイント」と語ります。ソ連邦崩壊、東欧社会主義消滅により米ソ冷戦は自然消滅しますが、世界中の核兵器は温存されたままです。その一方、危険な小国が核をもち、ロシアの核(安全)管理能力は危ぶまれ、「力による政治」をめざす荒っぽい米国大統領が登場しました。



 ストーン監督の新作「スノーデン」
 昨夜、今月公開される映画「スノーデン」について語るストーン氏のインタビューが放映されました。米国による膨大な個人情報監視を告発したCIA諜報員スノーデン氏は、輝かしいキャリアと築き上げた幸せな人生のすべてを捨ててまでなぜこの重大な告発を決意したのか。「日本が米国との同盟を解消」する日に備えた米国の謀略も描かれます。

 大きなウソ、大きな真実、大きな不安・・・
 ナチスは「小さなウソはいつかバレて国民の信を失う。大きなウソは簡単には見破られない」と、大きなウソによって国民と軍隊を戦争に駆り立てました。何が大きなウソで、何が大きな真実なのか・・・私にはわかりません。わかりませんが、日本も世界も危なっかしい明日へと進んでいるように思います。それは私の 間違いなく「大きな不安」です。

   ナターシャ・グジー「いつも何度でも」   
   
   呼んでいる 胸のどこか奥で/いつも心おどる 夢を見たい
   悲しみは数えきれないけれど/その向こうで きっとあなたに会える
   繰り返すあやまちの そのたび人は/ただ青い空の 青さを知る
   果てしなく道は 続いて見えるけれど/この両手は 光を抱ける
   さよならのときの 静かな胸/ゼロになる身体が 耳をすませる
   生きている不思議 死んでいく不思議/花も風も街も みんなおなじ

   呼んでいる 胸のどこか奥で/いつも何度でも 夢を描こう
   悲しみの数を 言い尽くすより/同じくちびるで そっと歌おう
   閉じていく思い出のその中にいつも/忘れたくない ささやきを聞く
   こなごなに砕かれた 鏡の上にも/新しい景色が 映される
   はじまりの朝の 静かな窓/ゼロになる身体 充たされてゆけ
   海の彼方には もう探さない/輝くものは いつもここに
   ・・・わたしのなかに 見つけられたから


    https://www.youtube.com/watch?v=xQJog0rs7Eg&feature=player_embedded

    (この画像で視聴できないときは上のURLリンクをクリックしてください)



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24 コメント

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Unknown (風のフェリシア)
2017-01-20 21:48:41
いよいよ、「力による政治」をめざす荒っぽい米国大統領の誕生ですね。
私も「大きな不安」の中にいます。
世界はどうなるのでしょう・・・。
本当に大きなターニング・ポイントにいることを実感しています。

観たい映画がまたひとつ増えました。
「もうひとつのアメリカ史」はYOU-TUBEにあるようなので、そちらで観ようかな。

「いつも何度でも」は深い歌詞ですよね。
好きな歌ですが、息継ぎが難しくて、上手く歌えません。
カラオケ動画を止めたきっかけのひとつです(^^;)
返信する
Re:風のフェリシアさん (デ某)
2017-01-21 00:01:37
風のフェリシアさん
コメントありがとうございました

> いよいよ、「力による政治」をめざす荒っぽい米国大統領の誕生ですね。
ト荒ンプ大統領誕生まで1時間余りです
直前不支持率40%の報道に「なぜ大統領になれたの?」と改めて思います

> 本当に大きなターニング・ポイントにいることを実感しています。
私が生きていられる時間があとどれだけあるかわかりませんが、
2017年を起点とする世界を 自分なりに注視し 対峙したいと思います。

> 観たい映画がまたひとつ増えました。
> 「もうひとつのアメリカ史」はYOU-TUBEに・・・
観たいもの、読みたいもの、したいこと・・・生きている証しですね

> 「いつも何度でも」は深い歌詞ですよね。
主題歌となった映画「千と千尋の神隠し」は、今夜TV放映されていました
論理的ではありませんが、言葉一つ々々のイメージはしっかり繋がりますね。

> 息継ぎが難しく・・・カラオケ動画を止めたきっかけのひとつです
サプライズ!の You tube.でした
きっと!いつか! 復活される予感がいたします
返信する
Unknown (sachi)
2017-01-21 11:53:05
デ某さん

こんにちは。
結婚するまで、政治に興味が薄かった私も、子供たちが生まれ色々考えます。
EUの時も、まさかと。。。
トランプ大統領誕生、本当に不安です。
ですが、不安と言っていても仕方がない。
日本がどうアメリカと付き合うか。
防衛、外交と国民のために良い方向に行くよう、日本の政治家もあの手この手で。

トランプさんの一面も知らない私ですが、newを見るたびに話し方って大切だな~って感じます。

デ某さん、埼玉は今日は風がビュービューですよ。喉がイガイガしてます。
デ某さん、風邪引かないようにね。
返信する
イデオロギーなきビジネスマン (pukariko)
2017-01-21 21:19:32
こんばんは。
↑は今夜の池上さんのTV番組内の言葉から。

たった一人に世界中が振り回されていますね。
4年間こんな調子が続くのかな~。てか、4年もつのか?
まともなブレインが(いれば)、手綱を引くような気もしますが。
返信する
Re:sachiさん (デ某)
2017-01-22 00:49:20
sachiさん
こんばんは。夜遅く帰り返信が遅れ申し訳ありません
こんな硬いブログ記にコメントくださりありがとうございます。

> 結婚するまで、政治に興味が薄かった私も、子供たちが生まれ色々考えます。
政治(家)には、現在!以上に 未来!をこそ託しますからね
政治に無関心であることは 未来に無関心であることとニア・イコール・・・。
私はそう考えてきましたし、それはこれからも変わらないかな・・・。

> EUの時もまさか・・・トランプ大統領誕生、本当に不安です。
私はオバマさんが唱えた「change!」にさえ違和感をもっていました
まして時流に乗り維新!を唱える人々(党)の「change!」には疑問だらけ・・・。
英国のEU離脱もトランプ大統領の誕生も究極の「change!」に他なりません。
私は、言葉巧みに変革を唱えるより、
様々な現実をつぶさに(水平に)見ることこそ今!求められていることだと・・・。

> 日本がどうアメリカと付き合うか。
> 国民のために良い方向に行くよう日本の政治家も・・・
「どう付き合うか」に当たり前になりすぎてきたような気がします
「どう付き合いをやめるか」の視点も含めて「どう付き合うか」・・・。
トランプさんも「米国ファースト!」「米国民の利益ため」と唱えています。
小池都知事も「都民ファースト!」と、しきりに仰っています。
だけどトランプさんが言う「米国民」とはどんな米国民でしょう?
小池さんの言う「都民」とはどんな都民を指しているのでしょう?
そのことがこれから段々明らかになってくると思います。

> トランプさんの一面も知らない私ですが、
> newsを見るたびに話し方って大切だな~って感じます。
はい。私もそう思いました。
ツイッターの乱発など、大阪で大あばれ!し去られた政治家とソックリです。
乱暴も「スタイル」になり「ファッション」になると
知らぬまに いつの間にか みんなが毒されてしまうので気をつけなければ・・・(笑)

> デ某さん、埼玉は今日は風がビュービューですよ。喉がイガイガしてます。
> デ某さん、風邪引かないようにね。
ありがとうございます
明日、否、今日また介護帰省しますが、雪が多そうですねぇ
sachiさんこそ くれぐれもお風邪など召されず健やかにお過ごしくださいね
返信する
Re:pukarikoさん (デ某)
2017-01-22 01:06:11
pukarikoさん
コメントいつもありがとうございます

> (タイトルの「イデオロギーなきビジネスマン」 とは)
> 今夜の池上さんのTV番組内の言葉から
お昼の民放TVを視ていると「これでもか!」と放言評論家が登場しています
池上さんは数少ないマトモな方だと敬意を表しています。

> たった一人に世界中が振り回されていますね。
でも よく似た政治家はたくさんいますね、米国以上に日本に・・・

> 4年間こんな調子が続くのかな~。てか、4年もつのか?
就任前にゴルフクラブのセットをつけ届けた方がいたように
あんな調子でオベンチャラする人がいる限り4年でも8年でもモチ!そうです。

> まともなブレインが(いれば)、手綱を引くような気もしますが。
まぁブレーンの力というより 選んだのはまともな?米国民ですけどねぇ
まずはファーストレディさんあたりからミソ!がつきそうな気がいたします。
返信する
Unknown (六花)
2017-01-22 11:18:54
「いつも何度でも」詩も
ナターシャ・グジーの声も
自分の胸を透明にする。

そしてデ某さんの更新記事は
「私にも何かできるかもしれない」
と思わせてくれる。
語ろう あの時子どもだった時代を。
そして戦後のひもじいおもいが今に
繫がっていることをこれから先も 語ろう。
返信する
all or nothing ? (aimaco)
2017-01-22 12:40:20
寒中お見舞い 申し上げます。
今年最初の検査後、データ持って 別病院の主治医へ相談。 もう、お手上げ状態、何もできることないそう(泣) 。 仕方なく? 脳内は諦め、頸髄専門医に、新しい機械 ノバリス? を 紹介してもらうことに。無理なら頸髄だけ再オペ。 これ以上神経症状が出る前に、現状さえ維持できれば… と腹を括って? 今生きている意味を 再思考中。これ以上生かされても 他人に迷惑かける様なことは… とも思います。今でさえ、大事な話には通訳が必要で、なければ筆談… 達筆な方のは読めずに苦労します( 汗)。 ちょっと悔しいというか、まだまだ行きたいところもあるし、最後にぐずぐず言うのも嫌ですし、困りました。年明け早々から気が重い日々です。皆さんの写真や QP さんの絵には癒されています。 気持ちをアップしないと免疫力も落ちてしまう… やっぱり 50 年は飼い続けていた ペットがいないと ダメですね…
いつも頑張られている 皆さんを 見習わないと…
返信する
Unknown (mikihana)
2017-01-22 15:21:28
昨日は慌ただしくTVや新聞を見ることができませんでしたが
今日は私にしては珍しくチェックしました。

トランプ氏のアメリカ第一主義を批判する声も多いかと思います。
もし、もしなのですけれど
日本の近隣国で何かあって
大勢の移民がど~~~っと押し寄せたら
日本国民は彼らにどんな感情を持つんでしょ?
ウェルカムで迎え入れるこができるでしょうか?
「言うは易し」という言葉を思い出しました。

自国が崩壊しないように
しっかりしたトップを選ばないと危ないです。
それには自分も勉強しないと・・・。
メディアのイメージが先行しやすいので
それを見破る眼がないとと思いつつ
不安な気持ちが募ります。
返信する
Re:六花さん (デ某 )
2017-01-22 15:34:05
六花さん
コメントありがとうございました 


❭ナターシャ.グジーの歌も自分の胸を透明にしてくれる
本当に...心にしみ入る歌声ですね

❭デ某さんの更新記事は
❭私も何かできるかもしれないと思わせてくれる
そう言って頂ければ嬉しく光栄に存じます
私も 私に出来ることを何かしなければ‼ と思っています。

❭戦後のひもじい思いがい今に繋がっていることを..
総てが有機的に、そして総てが連綿と繋がっていることを実感し
年とともに 時に深く時に高く 意識を変えてくれます。

まだまだ生きている価値、生きている甲斐! を覚えますね。
六花さんの益々のご活躍をご期待申し上げます。
なれないタブ打ちで 多くを語りずらいのですが、
六花さんにはご理解頂けますよね!(笑)

ではでは いつものように したっけね~

  by デ某 ln 境港
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