北九州住みの私には蟹といえばやっぱり雪の降る街を幾つも超えて関西方面に行き彼の地で食すというのが理想。
なので蟹を食すツアーに参加した。
「ドケチな、もとい、節約家のあんたが〜本当に?
何だか怪しいぞ、写真を出せ」と言う声が聞こえてきそうだ。
けれど、目の前の蟹の足を2、3本引きちぎった所で写真を撮るのを忘れた事を思い出した。
足の欠けた蟹さんを撮るのは忍びなくて証拠写真は今回はない。
ドケチな、もとい、節約家の私は「会いたい人には会っておきましょう。行きたい場所には行っておきましょう。食べたいものは食べておきましょう」という何処かのディサービスに貼ってあるような言葉が心に染みるような年齢になった。
今の時点で会いたい人、行きたい場所は浮かばなかったが食べたいものに蟹が浮かんできた。
あれは十何年前だったか、ある人から蟹を食する会にお誘いがあった。
その方がちょっと素敵な方だった。
私は躊躇した。蟹を一緒に食するのにはお相手が良すぎた。
だっていくら専用のスプーンを使って食するにしてもちょっと気になるお方の前では手をベトベトにして身をほぐし、やがて、身をほぐすのも面倒になって齧り付く姿を見せたくない。
泣く泣く断ったことがあってその時のカタキとばかり今回は思う存分かじりついた。
あ~満足。
やっぱり、蟹は沈黙でも気まずくならない相手、若しくはそこそこ見苦しい姿を見せあっても気にならない相手と食すのが良しということのよう。チャンチャン。