キムラトモミの絵と版画 制作ノート

日常の中の非日常、目に見えない大切なものを
少しでも形にしたくて制作しています。猫のいるこの世界が好きです

ベロニカは死ぬことにした

2019年06月28日 | 読書メモ
アルケミストの作者 パウロ・コエーリョさんの文庫本を数冊ほど買い込みまして、寝る前にちょびちょび読んでおります

ベロニカが若くして自殺を図るところから物語がはじまります。

とてもやるせない...

意識が戻ると精神病棟に入院していて
ドクターに余命が6日と言われるんです。

その6日間を誰にも遠慮せず
生々しくベロニカは生きる事になるんです

周りの患者さんに感化され
あるいは周囲に影響を与え...

作者自身が入院経験があるとはいえ
物語の舞台である病院内の描写や看護師の接遇が気になり
素直に読めない箇所もありました。
自分自身がかつて、病院で務めていたし
悲しいことに沢山の患者さんとお別れもあったので
何か引っかかる物があったんですね。

精神医療のエビデンスが時代や国によって異なるでしょうし、医者によってもアプローチが違う訳ですし、無理のないことだとは思ってます。

ベロニカはスロベニア人という設定です。
彼女の置かれている
ヨーロッパにおける祖国の情勢とか
母子関係やら、自己表現やら、無意識の抑圧やら
彼女がたんたんと生きてたんたんと自死を選んだ
理由についても分かるようで分からない。

私はスロベニアが何処にあるかさえ知らない無知ですし💦

生きにくさ...というのは
他人に易々と理解できるものではない
ということはわかる気がしました。

残された
時間=自由を精一杯
大泣きをして
感情を出し切って
ベロニカは
幼い頃になりたかった
ピアニストへの夢を思い出して
弾きたいという熱い思いをピアノに向ける...

この辺りに、作者の言わんとする
人生の秘密が
隠されていたように思います。