三田誠広の『僕ってなに?』が芥川賞を受賞したのは77年、僕達の失敗は76年発表。
三田誠広の小説は、既に学生運動を正面からではなく、かなり客観的な醒めた目線で書いている。
戦後生まれの作家の人達は……いち早く学生運動の終焉と『その後』に向けた模索に入っている。
ススンダ人、オクレテル人ってのはどちらでも良いのだと思う。
訴えかけてくるのはその相半ばした時代の中でその人が『感じる思いの強さ』なんだと思う。
三田誠広の学生運動に関わりながら醒めた目線の僕ってなに?の主人公の態度。
一方、76年発表の森田童子の僕達の失敗。
鋭利なガラスの破片の様に尖った視線を自らに向けて突き詰めていく態度。
熱い闘いを終えたこの国の『その後』を各々の立場で各々が迷いながら模索していた事がこの対比でよく分かると思う。
中途半端な主義を持たない生き方を自分はしていた。
この二人の表現者の相容れない二つの要素が僕の中に半分ずつで混在していた様に思う。
コピー機の三田……の御曹司というブルジョアの出の三田とどちらかと言えば左がかった森田童子さんという環境や状況の違いもあるかもしれない。
テレビドラマ……高校教師の真田広之のシリアスに突き詰められた表情が息苦しかった。
世間の話題を他所に僕は二、三話でリタイアしたのを覚えている。
彼女の歌だけが、耳の奥にずっと残っていた……。
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事