信条の違いで
分かたれる小さな町
大きな権威や
利権が絡むと
わたしたちは脆い
今は静けさを取り戻したが
いつかまた
分かたれるのだろうか
そんな思案をしながら
町を眺めていると
考えの異なる者同士の
にこやかな囲みが見えた
なんだろう?
なにかを中心に輪になっている
それは
やっと歩きはじめたぐらいの
小さな子を抱いた若い父親の姿
この町ですっかり少なくなった
光景である
その児の命が
まわりをぱっと明るくしている
その無邪気な所作が
周囲の笑いを誘う
この数日でかなり冷え込んだが
信条のちがいなど
消し飛ぶような
大人たちのそのまなざしが
わたしにとって
小さなぬくもりとなった
それは昨日感じた
悲しみとは
実に対照的だったのである
(後述)