天空海闊

この一篇

   哲学

無意識的なものから意識的なものへ、

そこからもどって、多くの小道を通り、

私たちが無意識的に知っていたものへ、

そこから無慈悲に突き放されて、

疑いへ、哲学へと促され、

私たちは到達する、

皮肉の第一段階へ。


それから熱心な観察によって、

多様な鋭い鏡によって、

世界軽蔑の冷たい深淵が

凍える精神錯乱の

むごい鉄の暴力の中に抱き取る。

しかしそれは賢明に私たちを連れもどす、

認識の狭いすきまを通って

自己軽蔑の

甘にがい老年の幸福へ。

           ヘッセ
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ヘッセは休むことのない求道者で有り、その思索は
東洋思想の源流にまで及ぶ。

その鋭い嗅覚は全体主義の危険を早期に察知、
人間の英知と万象との調和を模索し続けた。

しかしその観察力が自らに及んだ時、この詩の様な
独特の境地に至る。

それでも彼の言葉には青春の残光が消えることが無い。
私がヘッセが好きな理由の一つである。
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