うちのだりあのさいた日に
酒屋のクロは死にました。
おもてであそぶわたしらを、
いつども、おこるおばさんが、
おろおろないておりました。
その日、学校(がっこ)でそのことを
おもしろそうに、話してて、
ふっとさみしくなりました。
(金子みすヾ)
この詩で思い出したことがある。
近所の初老の紳士は周囲からその大きな声
で、所謂怖もてである。
気に入らないと相手がだれであろうと叱りつける。
しかし、この紳士が犬を飼い始めたところ
案の定、しつけも非常にきびしい。
少しでも逆らうとリードで殴りつける。
そこまでしなくても良いのに・・・
私は何度も思ったことがあった。
ある日、やぼ用でその家に行ったところ
いつものあの大柄な犬の声がしない。
奥さんに聞くと、数日前に、間違って農薬を舐め
急死したと、涙ながらに言う。
不在のご主人の安否を聞くと、
気落ちしてこの数日食事が喉を通らなくなったのだと・・
私は少し意外な感じを受けた。
それほどまで可愛がっていたとは思えなかったのだ。
しかし、人は外側からは分からないものである。
散歩を殆ど欠かさなかったのもそうだが、
どうやら、特にしつけを厳しくすることで
「良い犬」として皆から可愛がられるとの想いがあり・・
それが飼い犬に対する精一杯の愛情だったのだ。
私は思わず胸が熱くなった。
コメント一覧
又じい
オリーブ
最新の画像もっと見る
最近の「詩」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2019年
2016年
人気記事