天空海闊

ミストラル

月が窓からのぞきこみ

いつか子どもは眠っている

みちたりた私の胸を

もうひとつの月影の 唄は浸す

おどおどと入って来た母親は

私の顔に 真実の幸福を見たのであろう

ねついたわが子を 私の両手に

まかせてしまった

           
          (ひとりぼっちの子)より





*(人は)この世界にあっては、まるで影のように
頼りない存在です。しかし、私は人がそのような世界で生きていることに
意味があるように思います。

他の何者にも換えられない存在への情愛・・・

ふっと消えてしまいそうな者への慈愛・・・

それらを抱きしめ、慈しみ、全力をふりしぼり保護しようとする姿・・・

何があっても死ぬことが無い世界で、はたしてこれほど深い情感が生じるであろうか?

全く苦悩の無い世界で、はたして、これほどの細やかで多彩な情感が生じるであろうか?

当初は完全不滅であったという世界観は、おそらくこの世界(現世)のことでは無いように思えるのです。

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