昔からの葦が茂る川辺
雨粒の波紋に一艘の小舟が浮かぶ
後ろに工場の煙突が不釣合いに立つ
やがて雨足が強くなり川面が煙ってくると
それまでみえていた工場もかすんできた
猟師が急いで網を引きあげると
小舟はゆったりと動き出し
しずかに視界から消えてゆく
こうして雨音だけの静寂の世界に身を置くと
人生の機微にこころが打ち震える
互いに音も立てずに消える存在だとしても
雨の彼方の彼岸の地では悔やむ事はない
川辺の向こうにも生活がある
父親が開かれた窓から、
ゆったりと雨を眺めている。
雨の日は時々家にいた。
最初遠くを眺め、それから
家の軒先から滴る雫をみつめる。
時々口笛を吹きながら見る。
機嫌の良いしるしであり、
そんな日の雨と口笛が
とても好きだった。
今でもゆっったりと雨を楽しむのは
父の残した財産である。
*雨は不変のものと変化してゆくものが
同一の空間にあることを感じさせてくれます。
(豪雨による被災地の方にお見舞い申し上げます。)
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