天空海闊

山頭火2句

うれしいこともかなしいことも草しげる


猛暑で畑をほったらかしにしていたが、
さすがに草が伸びた。
雑草だらけは嫌だ・・と思いつつ、
良く見ると、地味ながら葉や花の
形、色合いが実に多彩で面白い。
虫たちもユニークで見ていると飽きない。
又、刈る気が失せそうになる。

人生と少し似ているような気がする。
悲しいできごと、
つらいできごと、
忘れたいとも思う。
しかし、それを取り去ると
私が私で無くなるような気がする。
楽しいことだけではない、
つらいことも含め、今の自分がある。

忘れることが救いとも言うが、
本当に忘れることは恐ろしくもある。





笠をぬぎしみじみとぬれ


雨が少なく身も心もカラカラであった。
久しぶりの雨・・・
玄関をでると暫し打ち叩かれていた。
何とも云えぬ心地よさ・・

自然の営みに自分をさらけ出す時、
己の不甲斐なさ、
無力さを想う。
しかしそれ以上に、
大きな慈悲を強く感じる。

雨を、風を、過ぎ行く雲を、
永遠に肌で感じていたい瞬間である。

人はやはり人で在るとき、それこそ
至福ではないかと想う一瞬である。


*過って、雨の中にたたずんだ山頭火の
胸に去来したものは何であったろう?
妻子を捨てた過去であれ、
野たれ死にの予見であれ、
全てを甘受しようとする、切ない覚悟
がそこにあった。
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