謝ってから、山さんに不安ながら大丈夫でしたかと聴くと神様が笑ってくれていると言ってくれた。何十年ぶりに笑ってくださったのだろう?哀しかっただろうな。色んな気持ちが込み上げてきて長い間ごめんなさいという気持ちと笑ってくださった事への大きな安堵感で涙が出そうになった。
山の神様は今まで何処にいらっしゃったんですか?と山さんに尋ねると、ずっとずっと神様はここにいたと教えてもらった。
村の人達がお宮を壊し、鳥居をのけ、草もボウボウになって祀られることもなくなってしまったその地に神様はずっとずっといた。
人間は快適に家に住んでいるのに神様の棲むところにこんな失礼な事を人間がしていたなんて申し訳なさすぎる。
私には神様はみえないけれど、この山の状況が何も変わっていないのに笑ってくれたことが嬉しくて、真心が伝わったのかなと安堵もあり、とは言えお宮も何もかも無くなってしまっている今の状況が申し訳ないと心が痛んだ。
私達の想像を超える遥か昔から、もしかしたら数千年とかいう年月、神様はこの村を護り続け、愛し続けてきたからこそ、とても哀しんで怒り、そして時を経てきっと何十年かぶりに笑ってくれたんだと思う。その神様が笑ってくれたということは今の状況が申し訳ない気持ちはあるけれどもやはり、何よりも嬉しく思えた。