雄一郎の半生
興信所の調査には、難問が山積み
旦那様の依頼で、奥様の素行調査
の依頼が入った時のお話。
対象者の奥様は仕事をしているが、
どうも様子がおかしいという。
旦那様が仕事で留守にして居る
時に多分、誰かと電話を掛けている
らしいというのだ。そこで、まず、
奥様の素行を何日か追ってみた。
仕事帰りには買い物をしたり、
子供の用事を済ませるくらいで、
異常はない。そこで、旦那様に
協力頂き、自宅の電話に電話の
盗聴器を付けることにした。
当時は、携帯電話などまだまだ、
普及していない頃なので連絡
するには、公衆電話や自宅の
固定電話を使用していたのである。
電話盗聴器は、感度が悪く電話を掛けたり、受けた場合の
音声を感知し自動で会話の録音
をするものだったが、盗聴した
会話にはノイズが入り、聞き取り
にくい会話が多かった。そこで、
相手の会話は聞けないが
部屋に盗聴器をセットすることに
なった。これは周囲の音に反応し
録音するタイプで会話は部屋内
のみだが、比較的鮮明に録音
されていた。
一月ほど盗聴をしてみて、どうやら
奥様は、会社と連絡をして
いるらしいことが分かった。
今度は、盗聴から行動調査に
切り替えて、尾行する調査員の
数も増やした。
暫くして、奥様の怪しい行動が
始まった。仕事帰りにいつもとは
反対の方向に車を向けた。
暫く尾行をすると、公園の駐車場に
入り、白いワンボックス車の横に止め
直ぐに、その車の後部座席に
乗り込んで直ぐに、出て行った。
こちらも後を追う。こちらは車3台に
女性の調査員を1名補充し4名で
尾行していた。交代で車を入れ
替えながら尾行していくと、山際の
ラブホに入って行った。
こちらは尾行中にもビデオ撮影を
しているが、ホテル内の状態を
確認するために、女性の調査員と
ペアを組んだ調査員をホテル内に
入らせて、ワンボックス車の駐車
を写真撮影し、身元の割り出しを
行う。当日はこの後は1時間30分
程で車は、出て来たので、正面から
運転手の顔をビデオ撮りしている。
ワンボックス車は会社の所有で
いつも、複数の人が利用できる
様子だが、本人(対象者)の顔が
分かっているので、帰宅時の尾行
を行った。すると会社の隣街に
住んでおり、妻子がいる依頼者の
妻の会社の社員であることが
分かった。情報をまとめて依頼者
へ、詳細を報告し調査は終わった。
依頼者は頭を抱えて「やはり」と
いった深刻な表情だった。
調査のお話はこれくらいで
次回は2番目の妻のお話。
次回につづく