雄一郎の半生
母は、糖尿病が悪化して、
脳血栓があり、言葉が発声出来なく
なった他に身体も不自由になっていった。
病院の入退院が始まって、看病に
時々は行かなくてはならない。
しかし、元妻のN子は全く看病など
することはなく、湯飲み茶碗も
洗ってやらない。
自分が病院に行った時に、湯飲みを
見たら内側がぬるぬるしていて
驚いた。「こんな湯飲みでお湯を
飲んでいたのか」と、
そればかりでは無い。自宅に
陶器店で買っていた大きな壺が
あって、その直径5センチ程の小さな
穴から小銭を貯めていた。
たまには1000円札や500円硬貨
なども入れ、時々壺を振りたまり具合を
確認していたが、ある日に振ってみると
どうも、音がおかしい。
中をライトで照らしてみると、
札が全く無い。
元妻に尋ねると「知らない」を繰返す。
「では、お金は誰も知らないままに
無くなった。と言うのか」と言っても、
知らぬ存ぜぬの一点張り。元妻は、
手癖が悪く、いつも嘘を
平気で言うやつだった。
自分の銀行カードを勝手に作り
カードローンを利用してお金を
引き出したり、その他も全く信用
出来ない。自分も人間不信に
なっていた。
仕方なく、長男が大学、次男が高校に
入る年に離婚を決心した。
次回につづく。