雄一郎の半生
自分の仕事もバブル崩壊と共に
依頼が減り景気が悪くなっていった。
時期を同じくして、調査会社の代表も
身体を壊して入院となり、本人も会社を
続けていく事に消極的になっていた。
そこで、自分には独立して他の地域で
調査会社を行えという。
事務所や開業までの費用は全て、
代表が用意してくれると、突然
言い出した。どうして支店にしない
のかと尋ねてももう、代表は会社を
辞めたいと思っていたようだ。
自分には、代表の様に警察や、
弁護士、怖い方々とのつながりも
無いので迷った。以前に同じ
調査会社に勤務していた人達が
他の地域に会社を興したが
ことごとく、閉業しているという
事実があった。
なので辞退した。
「さぁ、これからはどうしようか?」
思案のしどころだった。
収入がなくなると、とたんに
元妻N子は、今までにも増して
自分の洗濯物も洗わない。
それどころか、自分が
することなすことに、いちゃもんを
言い始める。例えばこんな事も。
子供達が成長して、自分も含めて
トイレのトイレットペーパーホルダー
が当たるようになり手前過ぎたので
足に当たらないように、移動して
取り付けた。するとバカN子は、
子供達にまで、「移動して不便だとか、
移動なんかして。」などと言い含める。
なので、長男からも理由を聞かれずに
「移動して・・・。」等と言われる。
また、N子は結婚当初からたばこを
吸っていた。子供が生まれる時期には
何度も、止めるように言ったが、
聞こうとはしなかった。
私が小言を言い始めると、
次男を連れて家の部屋に立てこもった。
その中は、たばこの煙で照明や壁の
色が変色するほどになっていた。
金は盗むし、言うことは聞かない。
母の面倒はみない。
近所からは村八分にされる。
子供達には、全て、父親が悪いと
言い含めていたので、特に次男は
私に反感も持っていた。
勿論私の食事の支度や、
洗濯なども一切しない。
あきれ果てて、やむを得ず
「出て行け」と言った。
母の金品の返還を伝えたが、
知らないの一点張り。らちがあかない。
離婚の慰謝料を請求し裁判で白黒を
着けようと思ったが、大学に長男を
次男は、高校へ進学する時期当り
子供達の将来を考えて、
止めることにした。
離婚届けを渡して、自分で役所に
行くように言った。
次男は、幼い頃からN子に
べったりの甘えん坊だ。絶対に
渡さないつもりで居たが、次男も
いうことを聞くような子では無くなって
いた。長男も大学には進学させて
やりたかった。しかし、全ての
預貯金は、N子に遣われていた。
母も病院に入院中で費用が掛かる。
家族はちりぢりに。
自分は5人家族から1人となった。
誰も居ない部屋で慟哭した。
次回につづく。