ホイッスルバード あいざわぶん

人の情け

三年前の正月の出来事が頭にあった。
バイク旅で熊本県で過ごしていたのだが、歯茎が腫れてしまった。
そこで考えたのは(旅先にも健康保険証を持って行こう)ということ。
だから今回、それを忘れぬように真っ先に財布の中に入れたのだ。
で、安心し、キャッシュカードを入れるのは忘れたのだ(笑)。

興部町の民宿に着くなり、スマホで検索した。
翌日には稚内市に行くのだから、もしかしたら有人のサラ金がある
のではないか、と考えたのだ。で、個人経営らしきサラ金があった。
電話をしたら、かなりの爺様とわかる人が出た。
私の要望を話すと、爺様の説明が長~く続いた。
結論は簡単で、運転免許証や健康保険証で金は貸せない。
絶対に必要なのは「年金も含めた収入証明」ということ。
だから、遂に、私はお金を借りられないと決定した瞬間だった。

なので、頭を切り替えなければならない。
〇直ぐ稚内と留萌の宿泊先に解約を伝えること。
〇稚内には向かわず、興部から旭川を経由して札幌に戻ること。
〇帰りのフェリーを一旦解約し、二日早い予約をし直すこと。
そうすれば、残金(約1万3千円)で山形の妹まで辿り着けそうだ。

早速、稚内の納沙布岬の日本海側にある温泉民宿に電話した。
事情を簡単に説明し、解約の話を始めたら、「後払いでいいから、
来たらいいんだよ」と、思いがけない結論に・・・。
途端に、あの警官や福祉事務所の言いっぷりが思い出された。
人間によって、こうも対応が異なるのである。

気を取り直して、留萌のホテルに電話した。
想像した通り、電話に出たのは勤め人で、「現金で払えない人を
個人の判断で泊めることは難しい」とのこと。まっ、当然である。
なので丁重にキャンセル(二日前なので無料)をし、旭川のネット
カフェまで運転して泊まろう、と決めた。

稚内の温泉民宿は一泊二食付きで税込7.800円である。
その7.800円があれば稚内以降の宿泊先をカプセルホテルや
ネットカフェにしてしまえば、仙台港に到着した時点で3.000円
は確実に残りそう、と計算が出来、安堵の溜息が出たのだった。

さて、稚内の温泉民宿は「北乃宿」さんである。
7.800円と格安なのに料理が御馳走揃いだった。
温泉は松山と同じでアルカリ泉。
晴れてさえいれば間近に利尻島が見え、利尻富士の気高さに
誰しもが圧倒されるだろう。

そして写真の如く、宿の周りには野生エゾシカが群れている。
約2.5mの至近距離でも牝なら威嚇してこなかった。







【お知らせ】
北海道と東北三県の旅話はまだまだ続くので、明日・明後日も
文章を更新します。
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