ホイッスルバード あいざわぶん

ぶん、警察官に説教す!

フェリーから海にスマホを落とした女性のことを書いた。
彼女の失敗を「大したことじゃないから」と慰めたのは、その夫が
偉そうに咎めたからだ。
たまたま同室で数十時間を過ごす私としても、和やかに過ごした
かったのである。

さて、今回は、吾が失敗談を・・・。

金曜の午前8時。私は網走市のホテルに居た。
食事を終えて(そろそろお金を下ろさなきゃ)と気付いた。
網走から稚内までのオホーツク海道は約330キロ。
途中の興部(おこっぺ)町で一泊するが、二日間で良さそうな店
を見つけたら妹夫婦に帆立貝を送ろうと思ったのだ。
財布の中の現金を見たら、二万円とちょっと。
金曜でもあることだし、今日中に「ゆうちょ銀行で下ろさなきゃ」と
思ったのだ。
ところが、独り言など言わない私から「あ゛っ、嘘!」と声が出た。
キャッシュカードを入れ忘れてきたのを、旅に出て8日もしてから
気付いたのだ。
もう、帆立貝どころではなくなっていた。

山形の妹に会うまで2万円で済む筈がないのは計算をしなくても
わかることだった。
だから、何処かから数万円を借りるしかない。
身分証明書はあるし、きっとサラ金から借りられるに違いない。
今にも降り出しそうな雲を見ながら、次の大きな町である紋別市
に向かって出発したのだった。

昼過ぎに紋別市に近付いた頃には雨が降っていた。
市街に入ると紋別警察署の前に出たので、(ここで場所を訊こう)
と躊躇わずに入って行った。
レインウェアを着たまま建物に入り、簡単に用を告げたら、二階
の個室に案内された。

個室に入って、改めて私の用件を話した。
〇実際に社員が勤務しているサラ金を知ってしますか。
相手は、定年退職間際と思しき警官と、30代と思しき警官。
どうやら社員が居るサラ金は無いようである。
そしたら、若い方の警官が、「市の福祉課に電話してみましょう」
と言うので、言われるままにお願いをした。
その辺りから、私は少しずつ変な感覚になっていった。
それは、若い警官の「話し言葉」が原因である。
電話をしながら、時折短い質問を私にしてくる。
「いま、幾ら持ってるの」など。
そして、福祉課の人と10分以上も話し、結論を聞かされた。
 ・・・ 二万円持っているのだから、帰れるでしょ ・・・
という福祉課の結論を私に伝え、若い警官がこう言った。
「ということだから、帰りな」と言われ、私はカチンと来た。

 あのねぇ、私は確かにサラ金のことを訊いて、諦めたから
 あなたが提案する福祉課の事をお願いはしたが、旅行を
 続けたいから借りる方法を望んでいるわけよ。
 それがさ、如何にも私が悪い事をして今ここに居るように
 されてさ、「帰りな」とぞんざいに言われているわけよ。
 俺をどの時点から浮浪者・犯罪者と思ってるのさ!

と私が言っている間中、定年間際と思しき警官が、「確かに
今のはちょっと・・・ね。まあまあ落ち着いて」と中に入った。
若い警官は私の言い分を聞かされてハッと気付いたようで、
数秒間黙ってしまった。

 まぁ、いいや。借りられないことだけはわかったから、その
 お礼は言う。お手数をお掛けしました。どうもありがとう。

30分近く署内に居たのではなかろうか。
玄関を出たら、雨が止んでいたのがせめてもの救いだった。
で、30分の出来事を私は反芻していた。
住所・氏名を訊かれたのは警察本部に照会するからだろう。
もしかしたら私が「指名手配者」かもしれないからね。

それから興部の民宿に着くまでの3時間、(明日からどうしよう)
という思いばかりが頭を支配して、エゾカンゾウが咲き乱れて
いる岬に遭遇しても全く楽しめなかったのだ。

長くなったので、この続きは明日に。
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