きのうの事は おぼえてないが
きのうのように おぼえているよ
あの日の 彼女 いまは 妻
あの日の 娘は 三十路すぎ
あの日 厄年 今年で55歳
おやじは 呆けた 施設にはいった
おふくろ 病気で 入院している
そっちは どうだ? うまくやってるか?
こっちは こうさ どうにもならんよ
物価があがって 給料あがらず ガソリンあがって
しかめっ面して 旗揚げゲーム 勝者はみあたらず
あの日と 同じ会社に勤め
あの日と かわらぬ業務をしている
あの人 元気にやってるかしら?
あの人 偉くなったらしいよ
あの人 行方がわからない
あの人 ひとりで逝っちゃった
あの日の金曜日 ことしは火曜日
あれから14年 はや14年 まだ14年
割れたガラスは 割れたまま 痛んだ建物やっと補修
土曜日足場の工事がはじまる そして俺は55歳
ほっといたって 年はとる 目出度いわけがありません
拗ねてみたって かわいくねぇっぞ!!!
いやだ いやだっと 日々をゆく
14年前は 大きな おおきな 地震があった。
翌日休みの金曜日 14時46分頃 震度5弱
会社飛び出し 揺れてるビルを 眺めてた
すぐにメール 娘は自宅 彼女は渋谷でバイト中
“いつもの時間に終わるから 途中で寄るから待っていて”
街中 大渋滞 246号動かない
表参道 裏道 根津美術館付近でなんとか合流
あんまり動かないもんで 諦めて 九段あたりで車を止めて
飲み物買おうっと コンビニよれば なんにも無し
日の出 朝焼け なんとか帰宅
休日土曜日 実家に集まり どうしたもんかっと草臥れて
ベットに飛びこむ お昼すぎ
14年 たちました
“ 黙祷 ”
