母が私を身籠った時に「女腹」と嫌味を言った祖母だったが、
私はその祖母にたいそう可愛がられた。
祖母には娘がおらず、また孫も女の子は私だけだった。
私は、見かけはお世辞にも可愛いとは言えない子供だったが、
初めての女の子だ、かわいい
とかしづかれた。
祖母とはよく縁側で日向ぼっこをして、
ひだまりの中で色々な話をして過ごしたのを思い出す。
私にとっては、温かく優しい印象しかない祖母だが、
母にとっては、恐ろしく忌まわしい存在だった。
幼い頃より母から
ありとあらゆる祖母の母に対する仕打ちを聞かされていた。
ことあるごとに母に嫌味を言う
嫌がらせのようなことをされる
近所の人に「うちの嫁はだらしない」「どうしようもない嫁」と母のことを吹聴する
兄嫁と比較して母を見下す
等々
家族にヒエラルキーがあるならば、嫁である母は常に最下層だった。
祖父母には何を言われても逆らえず、
いつもおどおどして、肩をすくめて小さくなっている母の姿がそこにはあった。
同じ市内にある実家に帰るのも、
買い物以外で外出をするのも、
祖父母にお伺いを立てなければならなかった。
昭和の時代。
結婚し「嫁」となった母に、人としての尊厳や自由はあったのだろうかと思う。
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