H氏にメールで、タイシルクの女性と結婚したい旨を伝える
そして、以前選んだ綺麗なタイ女性たちとの見合いはキャセルして、タイシルクの女性一本で見合い結婚を勧めてもらいたいと文面で伝える
これで、何もかも決まった と自分の中で、サバサバとした気持ちでメール送信を終えて、仕事に向かう
そのあくる日には、H氏から返事があった
彼のメールの文面にはこう書いてあった
Oさん の突然の決断そして変節、ただ、ただ驚くばかりです(笑)
でも、この女性の良さをわかっていただいて僕としては嬉しいばかりです
きっと、彼女はOさんと結婚して、Oさんの優しさに触れ、Oさんを助け、あなたの子供を生み、育み家庭を守っていくことでしょう
良い女性を選ばれました さっそく、コンケーンのスタッフに彼女とOさんのお見合いの設定をしてみるように伝えましょう
しかし、この女性一本で見合い結婚という突き進み方は、ちょっと冒険すぎるかもしれないですね
気持ちはわかりますが、Oさんの人生のかかった選択ですから、もっと視野をひらげた選択も僕としては考えてみてはと思います。
彼女がOさんを選ばない選択もあるかもしれませんしね
それに実際、彼女に会ってみて、Oさんの気持ちも心変わりした時に、わざわざタイまできて、手ぶらで帰ってしまうというのも気の毒ですしね ここは、もう少し見合いする女性を何人か追加してもらう形で、複数のタイ女性とお見合いしてもらう方がベターだと思います
と彼のメールの文面には書かれていた
なるほど・・ と思うも、俺の今の気持ちからしたら、どうしてもタイシルクの女性という選択しか見えてこないし、彼女一本という形という姿勢のほうが、彼女に対して自分誠意、気持ちを伝えるには、そのほうが良いと思うのだが・・
しかし、H氏の言い分もよくわかる
今の俺は、写真の中での彼女に恋をして、結婚を望んでいるのであって、実際の彼女に会ったわけでもなく、声も聞いたことがない
彼女の姿形も見たことがないのである すべて、今の俺の彼女に対する恋心はイメージだけのものにすぎない
もし、彼女一本でお見合い結婚を勧めていって、タイで彼女に会って、そのイメージが崩壊してしまった状況を想像すると救いがたい結果(タイにまで行って手ぶらで帰る)になってしまうのは明らかなことだった
H氏の言うとおりに、何人かの彼の結婚サイトに載せられているタイ女性を選んで、見合いを希望することにした
今度は以前のような綺麗な若いタイ女性をえらばず、自分にとって現実的に年齢、自分にとって似合う性格とか、そんなタイ女性の資質を条件として選ぶことにした
どっちしても、この選ぶ女性たちはアテ馬だから、滑り止めみたいな意味で、という気持ちも俺の中にはあったし・・・
そういう気持ちで、二人の女性を彼のサイトから選んだ
一人は年齢三十五歳 タイ女性という結婚を俺のような五十前の年齢の日本人がえらぶ選択として、三十五歳の女性という選択はまず年齢的に選ばない選択だと思うが、俺としてはあえて、それを選ぶことで、自分の以前の卑しい気持ちを正している気持ちがどこかであったと思う
それと、この女性の笑顔の写真もどことなく好感が持てるものがあった、綺麗な女性ではないものの、性格美人という印象があり彼女を選ぶことにした
もう一人は、二十七歳の背は低いが、衣服販売員をしている女性でポッチャリした、ちよっとインド人のような顔立ちをした女性を選んだ
そして、H氏のサイトのコンケーンの現地の女性スタッフがお勧めする 日本人と結婚を強く望んでいる
例のビデオで見たお尻の大きな二十一歳の女性を・・
俺としては、あまり気乗りはしなかったものの、とりあえず見合いする候補としてタイシルクの女性を含めて四人選んでみた
どうせ、本命はタイシルクの女性の女性だ 俺の中の気持ちに揺るぎはない
そう思うと、タイシルクの女性以外の選んだ見合い候補の女性も色あせて見える・・
そういう思いのまま、選んだ見合い候補の女性の内容をメールでH氏に送る
メールの文面に俺はこう付け加えた
僕としては、どうしても気持ちの中で、今の心境ではタイシルクの女性しか選ぶ気になりません
どうか、その気持ちを汲んで、話を勧めてください お願いします
と書いて送った
H氏から返事があったのは翌日だった 返事にはこう書かれていた
Oさんのタイシルクの女性に対する思いの強さは本当なものなんですね 僕としては、その気持ちを青樹するように努めていくだけです
まかせてください
コンケーンの現地のスタッフから彼女にOさんのお見合いしたいという情報を伝えると、彼女もぜひOさんとお見合いしたいとのことでした
あとはOさんがタイ入りしてくれれば、すべては叶いますよ タイ入りの準備を進めてください よろしくお願いします
それと・・これは・・彼女について、ちよっとした挿話なんですが・・・
と H氏のメールの文面が急になにか躊躇した不安な気持ちが見え隠れしているのが、わかった
彼は何を俺に伝えたいのだろう?と思い
彼の文面の続きを不安な気持ちで読み続ける
文面にはこう書いてあった
・・・彼女は虫を食するのです しかし・・それも・・・
と、その短いH氏の文面を俺は見ただけで、俺の中の何かが壊れていく予感があった・・・
その反面そんな思いを打ち消したい、何かが壊れていくと言うものを何とか塞き止めたい・・・それは俺の彼女に対するささやかな欲動とか愛おしい思いから来るものであるが・・・
そんな思いがとっさに頭よぎって、俺はこう思った
彼女は・・虫を?・・・食べる?・・それはどういうことだろう? タイの田舎の習慣だろうか? せめて、蛆虫でなければよいのだが・・・
と
そう冷静に虫の中でも、蛆虫という虫を選択する自分が、なんとなく可笑しかった
俺はH氏のメールの文面の続きを食い入るように追い続ける・・
続く