ではOさんは今から西方親鸞会の最初の会員さんです とH氏は言う
僕らはホテルのロビーを後にして、H氏に誘われて、彼のおなじみの店である福島にあるバーで二人で飲んでいる
彼はいう
西方親鸞会に入会されたとしても、何の強制的な義務が発生する訳ではないので、その点は安心してください
ただ、できるだけ、この活動を広めていくことで、なんとか会員数を増やしていきたいし、会員さん、門徒さんの協力で、この教団を維持発展していきたいので、その事ご協力お願いします。。
僕もこれから、この教団がどうなっていくのか、まだ試行錯誤で、始まったばかりなので、なんともいえませんが・・・
最初の西方親鸞会の会員さんのOさんがうちのシステムを使ってタイ女性との結婚にいきなり失敗してしまったということだけは、絶対避けなければならないことです。
そのことの自覚をもってOさんはこれから、タイ女性との結婚をめざしてもらいます。責任重大ですよ
そういう緊張感でOさんは西方親鸞会のシステムをご利用してください
タイ語も学んでもらいますし、失礼ながら身嗜みもちゃんとしてもらいますよ
タイ女性だからといって、日本の女性のように理屈っぽくないから、大丈夫ということではないですよ
タイ女性は口臭の臭い男性を特に嫌がります。歯医者さんにいって、歯石もとってもらいますし、無償ひげも剃ってもらいますからね
もっと若々しく、自分を高めていくようにしてくださいね 御自分よりも若い女性を奥さんにされるのだから・・
そういう御自分の配慮は特に大事です
これから僕が事あるごとにOさんに注意していく事になると思います。キツイことも言うかもしれませんが、 我慢してください。
タイ女性と結婚して子供を育む為です 僕がかかわっている限り、できるだけの事をさしてもらいます。ともに頑張りましょう
そう、H氏は笑顔と厳しい顔を織り交ぜながら、おもむろに俺に言った
西方親鸞会の最初の会員といわれるだけで、自分の中に緊張感を感じる・・・
たしかにこのタイ女性との結婚はいい加減な気持ちではできない とH氏の話を真剣に聞き入る
彼は続けて言った
僕の注意事項を守っていただけなければ、このシステムでのタイ女性の結婚はあきらめてもらいます。 わかりましたね!
と彼はキッパリ言った
その彼の顔は真剣そのものだ
そんな緊張感な話が終わると気分を転換するかのように、彼はに俺にマティーニというカクテルを勧める
彼曰く
僕はマティーニが好きなんですよね。マティーニは映画では良くでてくるし、
マティーニで人生をダメにしてしまった人もおおいでしょうね。
Oさんのようなウブな中年男性にはぜひとも体感してもらいたいものです
と笑顔で彼はいった
ウブな中年男性・・なるほどよく言ったものだ と 彼の言葉に内心苦笑しながら俺は思いをはせる
俺は、いつも飲みにいくのは全品280円の居酒屋でビールなのか発泡酒なのかわからない酒しか飲む経験しかない
こんなお洒落な高級な雰囲気のバーも行ったことがないし、ましてマティーニなどのお酒なんか飲んだこともない・・
カルチャーショックみたいな感覚でこの高級な店を・・
まるで未開人が初めて文明社会を見て驚嘆したような驚きの表情で、この店にたたずむ俺の状態を見ると・・
H氏から見たらウブな中年男性にしか見えないのだろう
ウブな中年男性・・・
そういわれて、一口マティーニに口をつけてみると、おそろしいほどの、まるで口全体がアルコールで痺れるような感覚、
まさにこれは劇薬だ!
こんな酒を女性に勧めたら、そりゃあ恋愛映画のように女性は酔わされて知らず知らずに男に抱かれてしまうものかもしれない・・
そんなマティーニをお互い飲みながら、会話がどんどん酔っ払ったものになっていく・・
ウブな未開人中年たる俺もだんだんと・・もう何年もこの店に通い続けた常連になったように気が大きくなってくる・・
彼との会話は弾む
彼と話していると彼の話題と言うものにいろんな幅広い教養があるのに感心してしまう
たとえば、クリシチョナムルティというインドの宗教的哲人の話を彼は熱っぽく語る
その哲人のことなら俺も知っていたので、すっかり哲学、宗教談義で意気投合してしまう
浄土真宗にもクリシチョナの思考と同じものが流れていると彼は言う
他力自力 彼の真宗に対する思いというものは並々ならぬ気持ちがあるようだ
僕の家系は、父方母方ともに、宗教家が多くいるんですよ・・・
続けて彼は言う
神道、禅宗などです。僧祖母は御獄教のある宗派の開祖です。父方にも、神道の教会を運営する祖母、そして実の父は禅宗の僧として出家しています。
父以外は他界していますが、これは血筋ですので争えません。
僕自身も人生のどこかの時点で、求道者として宗教にかかわる事はあるだろうなあと漠然と考えならが生きてきました。
建築・土木工事、国際結婚、アパート経営の仕事などをしてきました。
とくに国際結婚の仕事は人の人生に深くかかわる仕事だけに、いろんな日本人男性を日本とは違う国の立場から観察する必要もありそういう目で日本人男性や日本社会をみておりますと、さまざまな問題を痛切に感じますね。
タイでの国際結婚の事業をおこなっている時のタイでの出家の経験、そして、そこで見る日本人男性の資質の問題・・・
実際、僕のやっているオーキッドのタイ国際結婚事業での成婚された夫婦といのは、男性側のそういう資質によって何組かの夫婦が破局してしまうケースがありました。
そういう光景トラブルというものは僕が携わっている責任、関係で僕自身、とても精神的につらいものがありましたね・・
それはなんとかならないものか?
結局自分の思考のすえにでた結論みたいなものが、昨今の日本の国の抱える問題が信仰心の欠如から来るのではないか?
と思慮した結果であるんですね
彼は熱く語り続ける
私達一般人は、仕事や生活に追われています。日本国の経済の状況に人々の生活は翻弄されています。
経済至上主義は勝者と弱者と生み、弱者は負け組などと言われ努力や能力が足らないのだから、それを受忍しないといけないかのような世知辛い風潮となっています。
そのストレスは並み大抵ではなく、多くの禍を生んでいます。
無差別殺人、虐待、いじめ、DV、ニート、引きこもり・・・・
日本人ほどの、勤勉で会社に尽くす人達が人格の毀損を伴うほどの敗北感を味わうストレスがたまる社会にいきている私達に・・
さらに、悟りや無我の境地や絶対神を体感するための努力(修行・苦行・読経・座禅・瞑想)をしないといけないというのは・・
これ、まさに親鸞聖人の生きられた往来に飢餓で行き倒れる人や屍があった時代と程度は変われど構造はまったく同じだったりするんですね。
今、飢餓で倒れている人に、「修行が足らない」などと言ってもなんの救済になりません。
解雇されて、経済的にも精神的に辛い思いしている人に、「修行が足らなかったのだ。」と、言っては可哀想というものですね。
ストレスの多い現代人こそ、「南無阿弥陀仏」の名号のみですくわれるという教えが相応しいのですよ・・・
と彼は言った
そういう自分の生い立ちと思い、信仰心からくる使命感みたいなものを彼は語ると本当に彼はそのことをやりたいという思いがこちらにも伝わってくる・・
俺自身、この人の気持ちとか考え方とかを知ると、本当にこの人との縁というものが嬉しくて仕方がなくなってきた
俺も自分の生きる場所、働けれる場所、帰依できるものと言うものを探し求めてきた
この人の話を聞くと、この人と仕事をすることが自分の探し求めてきたことなんだと思えるようになってきた
どんどんと、マティーニが俺の身体の中で回りだしてきてるのがわかる、この世のすべてのものがくるくる回りだす・・・・・
俺はいつのまにか泣いているようだった・・
続く