四年前、映画館で観た時とは違った新鮮さを感じました。
この家族は皆他人。世間一般では誘拐罪とされる拉致?された子ども達3人【松岡茉優も子どもと換算すれば】を除く祖母役樹木希林、その息子を演じるリリー・フランキー、その嫁である【実際は内縁】安藤さくらは、それぞれ異なりつつも似通った過去を持ち合わせてる。
2Kの古くて粗末な家に住む祖母の年金を軸に、父も母もそれなりに働いてはいるが、生活は苦しく、息子に万引きの手法を伝授。
スーパーで両手の指を交差させる仕草は、緊張を解き、万引きを成功させるためのおまじない。
そして、無事品物をゲットし、家へ持ち帰る。
小さな家には、キャストが勢揃い。ジャンクフードやビールが並び、まさにその日暮らしを感じる生活感。よくこんなロケ先探せたね。庭も台所も押し入れも風呂場も老朽化。底辺の貧しさだが、悲壮感はない。
寒い夜、いつもベランダに閉めだされている幼い女の子を哀れに思い連れ出し、一家の仲間入り。
小学生の息子も赤ちゃんの頃、パチンコ屋の駐車場で車の中に放置されているのを見かねて連れ出した。
大学生役の松岡茉優に関しては、祖母の元夫の再婚相手の孫。
両親からネグレクトされ愛情に飢えていた彼女を呼び寄せ暮らす。したたかな祖母の意図は何だったのか?
不思議な関係の万引き家族。祖母が突然死したことで物語は急展開し、偽装家族では葬儀も出せず床下に埋葬。
常に一家の戦力となって万引きを繰り返していた長男は思春期を迎え、自我と善悪が芽生えた事で足がつくよう、わざと捕まり怪我をする。
長男が病院に運ばれた事から、残った一家は夜逃げを試みるが、あえなく逮捕。
各々の取調べで、家族の正体が明らかとなる。
偽装家族、犯罪家族ながら不思議な絆に結ばれて悲壮感はない。
昨日の放送は、是枝監督の最新作「ベイビーブローカー」の宣伝も兼ねたものかな。
子どもを取り巻く環境と、社会風刺を通じて、家族について改めて考えてしまう作品でした。
キャストが強豪で、皆が主役に思えてしまいましたよ。