江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「大川小学校〜津波裁判を闘った人たち〜」を観て

2023-05-15 | 江戸川区教組
数年前の江戸川区教組の夏合宿で、大川小学校を訪問し、佐藤敏郎さんにお話を伺いました。

裏山に登れば助かった命であることを現場に行くと実感できました。
なぜ裏山に避難しなかったのか。そこを明らかにすることが、大切だと思っています。


大川小学校のことを扱った映画が始まったので、さっそく観に行きました。

唯一生き残った当時教務主任だった遠藤さんには、真実をご自身の言葉で話していただきたいです。
話してくださる日がくることを心から願っています。

亡くなった子どもたちにとっても、ご遺族にとっても、生き残った子どもたちにとっても、真実を知ることが必要なことだと思います。

なぜ山に逃げた方がいいという教員や子どもの意見が通らなかったのかが知りたいですし、どうすればよかったかをみんなで、亡くなった子どものためにも考えられたらいいと思っています。

命はお金で買えません。
亡くなった方々は戻ってきません。
でも、大川小で起きたことを次の世代への教訓として残すことはできます。

遠藤さんは、どうすればよかったと今考えていますか。


残念ながら、今の教育現場は、自由に意見を言うことができないということがよくあります。
そして、明らかにおかしいと思うことに対して、おかしいと意見を言っても通らないことがあります。
上意下達で色々なことがなされ、子どもの意見や教員の意見が聞かれず、教育委員会や管理職の意見、意見が強い教員の意見が通るということがあります。

だから、みんな意見を言わなくなるし、自分で考えなくなります。
こういう職員室の現状と大川小学校で起きたことが、無関係とは思えません。


私もかけがえのない人を亡くしたことがあるため、ご遺族が、亡くなった子どもたちの亡くなる直前の状況、亡くなった時の状況をどんな些細なことでもいいから知りたいと思う気持ちも、自分はそこにいることもできず、何もできなかったという思いもわかります。

裁判という手段を取らなければならなかったことがどれだけ大変なことか。
この映画を通して、わが子を亡くし、色んなつらい思いを抱えながら、子どもの命の意味、生きた意味を考え、真実を知るために裁判を起こしたご遺族の思いを少しでも共有できたらと思います。


教育委員会や大川小事故検証委員会が、子どものことを考えて動いていないことが、この映画からはっきりわかりました。

生き残った当時子どもの只野哲也さんの言ったことを無視したり唯一生き残った教務主任からのメールを校長が削除したり、生存者からの聞き取りメモを処分したりしたのは、事実を隠蔽する行為です。

事実を誠実に調査し同じことを繰り返さないための教訓を得ようとする立場に立ったらありえないことです。


遠藤さんには、出てきて本当のことを話していただきたいと同じ教員として思っています。
これは遠藤さん一人の問題ではなく、すべての学校の問題でもあると思うからです。
事件当日の記憶に残っている事実とご自身の思いを話していただきたいです。

そして、事件のことをきちんと話した後には、子どもたちとの思い出もたくさん話していただきたいです。

亡くなった方は何も語ることができません。
大川小学校でどんな活動をしていたのか、大川小学校の教員だった遠藤さんが一番子どもたちの学校にいた時のことを知っているのではないでしょうか。
一人一人の子どもたちとの思い出を話していただければと思います。
私がご遺族の立場だったらそう思います。


忙しいと色んな大切なことが考えられなくなってしまいます。
本当に大切なことは何かを改めてこの映画を観て考えました。

子どもの命を中心にすえた学校教育を私たちは本当にできていると言えるのか。
立ち止まって考えさせられる映画でもありました。


犠牲になったみんなの命が、今生きている私たちやこれから生まれてくる子どもたちの道標になるよう、何を教訓として残すかという作業は、本来であれば、子どもたちの命を預かっている側の仕事です。

ご遺族を誹謗・中傷することは、あってはならないことです。


この映画は、東京では、ポレポレ東中野で上映中です。
教育現場のみなさんには、ぜひ観ていただきたい映画です。



<大川小学校のことを知って考える>

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