江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

あらためて安倍政治の危うさを考える

2015-11-28 | 随想
安倍内閣のセールスポイントは「アベノミクス」に代表される経済政策であった。
その失敗は誰の目にも明らかになってきたが、懲りもせずに「新3本の矢」なるものを掲げ国民に媚びを売ろうとしている。

このキャッチフレーズは、なかなかのものである。
「希望を生み出す強い経済」
「夢を紡ぐ子育て支援」
「安心につながる社会保障」
素直に受け取れば、こんな政治姿勢で臨んでくれる政権には応援をしたくなるかもしれない。

しかし、既にこの新しい矢は撃つ前から怪しさいっぱいである。
その実現過程の具体的策が全く稚拙だからだ。

全てが東京オリンピックの2020年を目標に掲げているが、今という現状をどこまで見極めているのか甚だ疑問である。

GDP600兆円達成するには今後3%程度の成長率で進まなければならないが、アベノミクスのデフレ脱却さえ達成していない中で、円安の恩恵を受けた輸出産業の成長や国民の消費拡大で今以上の経済の活性化が期待できるのだろうか。
いや、表向きはともかく内心アベノミクスがうまくいかなかったことを認識したのか、「一億総活躍社会」なるコピーを掲げて低賃金不安定労働の場に人々を駆り出そうとしている。
非正規労働者が増大して生活が一層困難になっている現実は見ようともしない。

出生率1.8は50年後に総人口1億人を維持するためだというが、1.4の現在でさえ保育園の待機児童が多く存在し、子どもの貧困化はとどまるところ知らない状況で増えているのを見ようともしない。
将来に明るい夢を持って生きようとする子どもたちが、奨学金返済地獄に陥り絶望に暮れている事実も伝わっているはずなのに…。

介護離職ゼロを目指すなら、今までの在宅介護中心とした方針を見直し施設介護の充実へ向けた具体策をきちんと示すべきだ。
戦後何十年間も自民党の票田としていた農村部でさえ、村落共同体は崩壊し多世帯家族も大幅に減少した。
農業政策の貧困とも関連してTPPに舵を切った自民党は、「日本的な伝統」云々で封建遺制的なものに固執する価値観が皮肉にも崩れていく現実を見ようとしない。
介護を私的な事柄として家族に委ねる時代は終わったと認識しなくてはならない。


この様に「新3本の矢」もバラ色のおもちゃの矢にすぎないことが明らかであるにもかかわらず、安倍内閣の金の使い方は悪どさを更に増している。

低年金者支援に3万円を支給する!?
年金支給時に毎回ならまだしも、一時金で、それも参議院選挙の前に?
年金を運用して8兆円も損出を出したとも言われる大博打の後始末もせずに、思いつきで税金をばらまくことが許されるはずはない。
民主党政権が実施した「子ども手当」の画期的意義を理解できず、曲解して政治宣伝した自民党が今やろうとしているものこそ愚劣極まるバラマキである。
これが、「一億総活躍社会」の具体策だというから笑ってしまう。

立憲主義を否定する安倍晋三は憲法53条を無視して国会も開かず、その間に各省庁の国家官僚たちが着々と自分たちの思惑を固める作業をしているはずだ。
そして、通常国会を開く頃には、本来は政治的な論議をふまえて企画されるべき実務的な事柄が既成事実として作られているだろう。
あの民主党鳩山内閣を普天間移設問題で崩壊させた官僚たちだから、何を企んでいるかおおよその予想はつく。

今こそ、あらためてアベ政治のデタラメさを徹底的に追及すべきである。


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