
新聞で初めて知った作家です。新田次郎文学賞に選ばれた副題つきの書名「群青 日本海軍の礎を築いた男」にはあまり興味を惹かれませんでしたが、植松三十里(うえまつみどり)と云うペンネームの由来を知って、すぐ図書館に予約を入れました。
松を三十里植えれば何かものになる思いから来ていると説明されていました。
凄いなぁ~。努力が苦手な私にはまるで雲の上のような存在です。そんな女性が選んだ主人公は徳川幕府最後の海軍総裁矢田堀鴻。「彼は勝海舟などに比べ知名度もなく『逃げた海軍総裁』と汚名を着せられているけれど、逃げたのではなく、列強を前に屋内の混乱を最小限にする選択をしたのだ」と彼女は新聞で語っていました。 そういう彼の生き方は、篤姫で浮上した薩摩武士『小松帯刀』にも似ているようです。 表舞台に出ず縁の下の力持ちで支える存在には心惹かれるものがあります。
書評が新聞で紹介されるとまず順番待ちになるのですが図書館に予約は入っていずに、信じられないことに2日で手元に届きました。文章が読みやすく、時代物が苦手な私にもすっと入っていけるのはたぶん作者が女性だからでしょうね。
群青は英語でultramarineですって!福山雅治の歌詞で先ほど知りました。
もうすぐ総選挙。せめて、よく考えて投票しよう。
私も最初は「えっ!」と驚きそんなことって周りにはなかったわよと否定したくなりましたが、現実には私が知らなかっただけで、似たような境遇の人が居たのかもしれないと考え直すと結構堪えられないものがふつふつと湧き上がってきたのです。本中に描かれていた東京に住む庶民のように、オリンピックを迎える昂揚感を煽られていたのは感性として残っていましたから。
物騒さではなく、違う形で一石を投じる最終章を作者に期待して読み続けたのですが・・・もっと気のきいた打開策があれば、とっくに誰かがやっているでしょうね。
地道に確実な人を選挙で選ぶしかないのでしょう。
でもはるか遠くに感じられるこのごろ。
それに比べ、続けて読んだ同作家による「家日和」は個人的な解決法とも云えるのでしょうか?日常を描いた数編の短編集で好きな作品でした。肩肘張らない主人公達に慰められます。良かったら読んでみて!
モンゴル映画「トゥーヤの結婚」DVDを午後に見終える予定ですが、これもA新聞で高い評価を得ていた作品ですよ。