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各種ガンへのビタミンDの効果について その二 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-11-05 14:04:38 | 健康・病気
前回に続いて、ビタミンDのガンへの研究についての最近の進歩について考えて行きたいと思います。

PuMedによると、●多発性骨髄腫において、25(OH)ビタミンDは、骨髄腫に伴う末梢神経障害を軽減しました。●前立腺ガンでは、1,25(OH)ビタミンDは、c-MYC(転写因子)とEMT(上皮間葉転換)遺伝子を阻害しました。なお、これらは前立腺ガン系統系統での蛋白質反応の拡大を促進しました。●頭と首の扁平上皮ガンでは、化学的放射線療法による25(OH)ビタミンD値の低値は、皮膚のdematitis(皮膚炎)とmucaritis(粘膜炎)を生じせしめた。●膀胱ガンでは、1,25(OH)ビタミンDは、膀胱ガン細胞系統に及ぼすcisplatinの効果を向上させた。●骨肉腫では、1,25(OH2ビタミンDとcalcipotriol(ビタミンD3の合成誘導体)の併用は、NMD(神経筋疾患)、ROS(システムレビユー)、それにEMT(上皮間葉転換)経路にインパクトを与えることにより、骨肉腫の転移とその成長を抑制しました。●ノールウエイ女性での研究によると、結腸・直腸ガンでは、ビタミンD3の高摂取は、近位にある結腸・直腸ガンの17%程の、より低いリスクを示しました。また、25(OH)ビタミDの適正量維持は、散在する結腸・直腸ガンの、よリ低いリスクを伴っていました。●結腸・直腸ガンでは、1,25(OH)2ビタミンDは、自動的脱アセチル化によって、HCT116とHT-29結腸・直腸ガン細胞系統のSIRT1を活性化し、抗増殖性反応をもたらしました。●VDR(ビタミンD受容体)とp53(p53抗体)の両蛋白質は、ビタミンDが結腸・直腸ガンを阻害するメカニズムとして、マウスでのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体脂肪酸のβ酸化を促進する遺伝子を誘導するため、相互作用を示しました。●ビタミンD3とneferine(オートファジイ調整因子)の併用投与は、HCT-116結腸・直腸ガンでは抗増殖性作用の相乗効果があり、低投与量では、副作用を軽減する効果がありました。●VDRFOK1(ビタミンD受容体遺伝子FOK1), Poly-A変種、それに25(OH)ビタミンDにおいて、これら変異体と25OH)ビタミンDの低値は、扁平上皮ガンと関係があります。●1,25(OH)2ビタミンDは、mTOR(リン酸化酵素)阻害とオートファジーの活性化により、A431ヒト扁平上皮ガン細胞系統と異種移植片扁平上皮ガンマウスのモードを利用する扁平上皮ガンを抑制しました。●非小細胞性肺ガンでは、CYP24A標的DNA核酸分子は、1,25(OH)2ビタミンDの抗増殖性作用を敏感にしました。更なる研究が待たれます。

専門用語解説
P53遺伝子が変異すると発ガンリスクが高まります。P53抗体は、ガン抑制遺伝子のP53遺伝子の変異に対する腫瘍マーカーで、早期ガン検査に利用されいます。

References
Gerbenon Serophin. The impact of VitaminD on cancer. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. Vol231, July2023





各種ガンへのビタミンDの効果について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-11-03 20:55:29 | 健康・病気
ビタミンDとガンの関係について、以前から多くの研究報告が発表されています。近年、ビタミンDとガンの関係に関する研究が著しく増え、多くのタイプのガンに対する有益な抗ガン作用が続いて報告されています。人口統計的研究では、ガンを予防するビタミンDの補給を勧めています。また、研究によると、ビタミンDは、免疫学的機能、抗転移作用、それに腫瘍発生などを調整します。

PuMedによると、ビタミンDとガンに関する研究での最近の進歩について、次に報告します。
●乳ガンでは、25(OH)D(ビタミンD3の変換型)の欠如は、より高いガンの悪性度に結び付きます。より若く、肥満している乳ガン患者はその影響を受けやすい傾向があります。●卵巣ガン患者では、高い血清25(OH)D値のヒトは、卵巣ガンのリスクが37%ほど低いです。●膠芽腫(悪性度の高いガン)では、1,25(OH)D(活性型ビタミンD)とVDR(核内受容体)アゴニスト(作動薬)の摂取は、プログラムされた細胞死と細胞オートファジイーを誘導し、ミグレィション(移動)を阻害しました。●黒色腫では、規則的にビタミンD3サプリメントを摂取した黒色腫患者は、黒色腫が成長するリスクが更に低下しました。●黒色腫では、25(OH)Dの低血清値は、BRAF/メチルエチルケトン阻害薬や免疫療法での治療のあるなしに関わらず、生存率の低下を伴っていました。●1,25(OH)Dは、アポトーシスを促進するPTEN(ガン抑制遺伝子)だけでなく、カスパーゼ(アポトーシスに不可欠な酵素)の活性化の発現をもたらしました。

専門用語解説
ビタミンDが肝臓で水酸化され25(OH)ビタミンDになり、生体内のビタミンDの主たる貯蔵形態であり、食品のビタミンDが肝臓で25(OH)ビタミンDに変換されます。なお、血清25(OH)ビタミンD値が20.ong/mL未満ならビタミンD欠乏で、20.0~29.9ng/mLだとビタミンD不足だと言われています。また、1.25(OH)2ビタミンDは、ビタミンDの代謝産物であり、活性型ビタミンDと呼ばれています。VDRは核内受容体の一種で、骨粗鬆症などとの関連が報告されています。25(OH)ビタミンDがVDRに結合すると、ビタミンD依存性蛋白質の遺伝子発現が制御されます。
続きは、次回の当ブログで紹介します。


References
Gerbenn  Serophin. The impact of vitaminD on cancer. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. Vol231, July2023