栄養医学ブログ

健康・病気に特化した栄養医学ブログをアップロードしたい、と考えています。

マイクロプラスチック、ナノプラスチックと健康障害について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2025-02-12 18:07:16 | 健康・病気
われわれの周りでは、プラスチック製品が巷にあふれ、それらが太陽光を始め、いろんな刺激で劣化し、やがてマイクロプラスチックの微細な粒子や更に小さいナノプラスチックの極微粒子となり、河川や海洋に流されたり、地中にしみこんだりして、魚介類や食品に蓄積され、それらを人々が体内に取り入れ、長年にわたってわれわれの体内に蓄積し、いろんな健康被害をもたらすと、多くの研究で報告されています。今回はこれらに関して考えて行きたいと思います。

"Nature、spring、2023"誌によると、マイクロプラスチックは至る所で見られ、その極小の微粒子は、我々の体の中でさえ存在します。このことは、我々の健康にどのような意味をなすのでしょうか。食物線維、フレーク、球状の食品(spheres)、泡状の食品(foams)などを、毎日、我々は、プラスチックの微粒子を食べたり、飲んだり、吸うたりしています。それらの微粒子が一度体に入ると、一体何が起るのでしょうか、この疑問は、多くの科学者や臨床家の多くを悩ませている問題です。

"Nature,06march 2024"誌によると、3年間の研究では、重要な血管に刺さったマイクロプラスチック微粒子は、心臓発作、脳卒中、その他の疾患、それに死などをもたらします。プラスチックは、食品包装製品、タイヤ、衣類、水道管などに用いられています。人々は、結局、環境中にマイクロプラスチックを落としたり、流したりし、それらを摂取したり、吸入したりします。このことが、長年にわたり、人々の健康を蝕んでいることは、多くの疫学的研究や基礎研究で明らかになりつつあります。今一度、人類は、この問題に真剣に立ち向かう時であると、筆者も同様に考えています。

References
Stephanie Datchen. Microplastic  everywhere. Nature Spring 2023
Landmark study links microplastic to serious health problems. Nature, 06 March 2024




宿主の内的防衛力とガンとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-12-31 15:34:54 | 健康・病気
もしも、ガンの進行性侵襲の進行に対し、宿主(ヒト)の内的防衛メカニズムがあらゆるガン患者において、最高の効力まで強化されることが可能であるならば、治療の一般的形態に対する反応において、著しい改善がもたらされるに違いない、と考えられます。もしも、宿主防衛力が弱く、この弱さを治療者が無視するならば、ガン治療の限界は明らかで、治療のチャンスは遠のいていくと考えられます。 

いろんな治療法が研究され、早期発見の場合、外科的治療で再発を防いだり、再発しないように免疫療法で再発を抑えている場合もありますが、その根底には、食事療法やビタミンC、ビタミンD, 生姜やターメリックの摂取、それに菜食を中心とした食事療法(マックス・ゲルソン療法)などで宿主防衛力を高めておくことも予防や再発に貢献していると、研究は示しています。ガン細胞は、もともと宿主の細胞でそれがガン化したものである事を念頭に、現在のガン治療に加えて、上記、宿主防衛力を常日頃高めておくが、早期発見と共に重要と考えられます。今回は、Cameron博士とPauling博士、それにGerson博士の論文を参考にさせていただきました。両博士に謝意を述べたいと思います。

References
Cameron, E. Chemi-Biol, Interactions. 9(1974)
Gerson,M.(1858) A cancer therapy:Results of fifty cases.Totality Books.2nd edition. 432pages


マウス腹水ガンでの細胞分裂活性に及ぼすビタミンC+ビタミンB12(シアノコバラミン)の阻害作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-02 11:49:09 | 健康・病気
M.E ポイドイック博士らの研究によると、移植マウスガンの腹水ガンタイプのザルコーマ37、クレブスおよびエールリッヒ腹水ガンなどにビタミンC+ビタミンB12の混合物を治療に用いると、ガン細胞分裂が阻害され、著明な副作用も認められませんでした。なお、これらのビタミンは、同量を単独投与すると、ガン細胞の分裂、あるいはガン細胞の維持には明らかな阻害作用は見られませんでした。また、これらのビタミン混合物で治療したマウスから採取した腹水を染色し、顕微鏡で調べてみると、ガン細胞は少しも発見されず、リンパ球、単球、好中球などの増多が著明であった。また、後の実験では、ガン細胞は見つからず、単球と大食球が多かった。なお、リンパ球、単球、大食球などは、細菌、ウイルス、ガン細胞などを食べてしまう働きがあります。

in vitroでの研究では、ビタミンCとビタミンB12の混合物は、ザルコーマ37組織、エールリッヒ腹水ガン組織、L1210白血病組織では、細胞分裂を阻害するが、非腫瘍性L929線維芽細胞の分裂には影響を与えなかった。次に、in vivoでの研究では、5日連続でビタミンC+ビタミンB12の混合液で治療した後の細胞分裂数と細胞容積(ml)は、エールリッヒ腹水ガン、ザルコーマ37ガン、クレブスガン共に、対照に比べてガン細胞は認められず、ガン細胞分裂も認められず、それらのガン細胞は崩壊の段階にあるようです。しかし、リンパ球、好中球、単球は認められた。実験の終わりには、それぞれガン細胞は認められず、単球と大食球が腹水液中に見出された。

ビタミンCとビタミンB12を種々の投与量で与え、治療した担ガンマウスの細胞分裂指数では、両ビタミンは別々に投与されたけれども、混合製剤としてビタミンCとビタミンCカルシウムを340mg/kg、それにビタミンB12を20mg/kgを投与された。少量投与では、ビタミンCもビタミンB12もそれぞれ細胞分裂では、明らかな効果は認められなかった。しかし、ビタミンCを800mg/kg投与すると、細胞分裂は阻害された。また、ビタミンCを1,600mg/kg投与すると、マウスに対し有害であった。これらの結果から、ビタミンCとビタミンB12の混合物が宿主のマウスの免疫能を高める可能性が示唆されます。なお、それぞれのビタミン投与では、ビタミンCの800mg/kg投与群が、エールリッヒ腹水ガンのガン細胞分裂数が少なく、ビタミンB12の20mg/kg投与群は、対照に比べガン細胞分裂数にほとんど変化は見られなかった。これらの結果から、ビタミンB12の混合投与と単独投与では、ビタミンB12の効果は異なることが考えられますが、更なる研究の積み重ねが求められます。

References
M.Eポイドック.Experimental Cell Biology.Vol47. 210~217 1979 


肝硬変、外科手術、気管支ケイレン、月経困難症、アレルギー疾患とビタミンCの関係 日本ビタミンC研究会

2024-08-21 10:36:22 | 健康・病気

肝硬変で広範な肝臓細胞の損傷を受けたアルコール飲料大量摂取者は、対照に比べて白血球ビタミンC値が著しく低く、平均ビタミンC値は65.6ナノモル/10の8乘Wbcで、対照は100ナノモル/10の8乘Wbcであった。また、手術患者は、手術後ビタミンC値の著しい減少が見られ、手術後のビタミンCの測定値と白血球の間には、著しい相関が認められた。外科手術は、ビタミンC要求量の増大を伴い、手術後3日で循環ビタミンC値が42%ほど減少しました。これらの発見は、アルコール大量飲用者、手術患者にビタミンC補給の必要性を提起しています。

リンチ博士らの研究では、気管支ケイレン患者にビタミンCを500mg/日投与すると、ヒスタミンが原因のこの疾患を治すと報告している。シャルマ博士らの研究では、モルモットの排卵期にはビタミンCが枯渇し、妊娠8週から胎盤ビタミンC値が減少し始める。また、正常な月経周期の婦人の胎盤は、PGF2α/PGE2比が約0.6で、月経困難症の婦人では、この比は0.9から1.3の間であった。また、月経困難症の婦人の白血球ビタミンC値は正常な婦人より低かった。これらのことから、ビタミンCは、これらの比をコントロールし、アデニール/グア二レイトシリダーゼのシステムを形成すると考えられます。

ウイルソン博士らの研究では、ビタミンCが壊血病時の食欲低下を改善し、アレルギー疾患時の味の識別の改善に関係しています。なお、脳でのビタミンC値が危険値以下に低下した場合、食欲も減退します。そして、組織ビタミンC値が減少した時、細胞の電気ポテンシャルも減少します。また、細胞の電化ポテンシャルは、アレルギー症状の進行に伴い減少します。食欲は、神経のフィードバックメカニズムによりコントロールされ、その活性化は、ビタミンCが枯渇した組織の細胞電気ポテンシャルの減少により決まります。

References

A, Hunk. VitaminC. Hans Harber Publisher. 1982


ビタミンC、ビタミンEと心臓疾患、脳血管疾患との関係について 藤井毅彦 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会

2024-08-12 11:08:00 | 健康・病気

ガンの恐怖と共に、心臓疾患、脳血管疾患も人類にとって、戦争と共に恐怖の原因となっています。今回は、栄養素のビタミンとこれらの疾患との関係について考えて行きたいと思います。

Stone博士によると、一日にタバコを一箱吸う喫煙者は、年齢に関わらず非喫煙者に比べて、脳・心臓疾患の罹患率と死亡がが約2倍であり、また、不飽和脂肪酸類は、酸化されると動脈硬化の原因である過酸化脂質になります。ビタミンC(還元型ビタミンC)と天然型ビタミンEは天然の抗酸化栄養素で、食品とサプリなどで十分これらを摂取すれば、脳・心臓血管系疾患に対し防御力を高める、と報告されています。ビタミンEのほうがもっと重要であるけれども、ビタミンCもまた重要です。ビタミンCとビタミンEを肝臓や腎臓に負担をかけない適正量摂取するなら、早老の予防になるし、現代人のように多価不飽和脂肪酸の多い食事習慣の人では、これらのビタミンは、特に多く摂取する必要があります。血中悪玉コレステロール値の高い人は低い人に比べて、脳・心臓血管系疾患の発生率が高い、と報告され、動物性脂肪のの高摂取は血中悪玉コレステロール値を高めます。なお、ジンター博士とスピットル博士らは、ビタミンC(還元型ビタミンCのこと)の摂取量を増やすと血中悪玉コレステロール値を下げる、と報告しています。

また、別の研究では、ナイアシン(ビタミンB3のこと)の摂取量を増やすと、血中悪玉コレステロール値を下げる、と報告しています。コードキン博士は、冠状動脈・心臓疾患の発生率と砂糖の消費量の関係を研究し、1年に73kg以上の砂糖を摂取する人は、1年に27kg以下しか摂取しない人に比べて、どの年齢でも冠状動脈・心臓疾患に罹る率は、16倍高いと報告しています。

References

Earl Mindel's Vitamin Bible, 1982

Stone,I. (1972) The healing factor:VitaminC against disease. Grossetand Dunlap. New York