栄養医学ブログ

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ビタミンDの安全性と投与量について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-27 10:43:55 | 健康・病気
ビタミンDには抗ガン作用が報告され、注目されている栄養素ですが、脂溶性のため体内に貯留しやすく、注意して摂取しなければいけない、といわれています。Cedric F Garland博士らの研究によると、1,000IU/日までのビタミンD投与量(カワイ肝油4個分)では毒性が生ずる可能性はなく、少なくとも30ng/mlから45ng/mlの血清25(OH)D値は、正常な副甲状腺ホルモン値を維持するのに必要であり、かつ、少なくとも400IU/日のビタミンDの補給は、若者や中年成人での正常な副甲状腺ホルモン値の血清25(OH)D値を維持するのに必要です。また、少なくとも600IU/日の摂取は、70歳より上の高齢者において正常値を維持するのに必要、と報告されています。

The National Academy of Science-Institute of Medicineによると、2,000IU/日のビタミンD摂取量は、安全な上限摂取量であり、基準となる推薦摂取量は、これより更に低値であります。 また、骨の脱ミネラル化、高Ca血症、高Ca尿症、あるいは、腎不全を伴った腎臓結石などは、一般的には、一日あたりの投与量が、慢性病になる基準値を超える10,000IU/日である時にまれに見られます。更に、腎臓病や肝臓病、それに心血管系疾患などの持病を有する人は、ガン予防のためには、摂取量を減らすかどうか医師への相談が必要で、ガン治療には、栄養摂取必要量以上のビタミンDが必要なため、臨床医のモニターは必要です。なお、ビタミンDは、ビタミンCと違って、摂取量に気を付ける必要がある栄養素、と考えます。

References
Cedric f Garland, et al. The role of vitaminD  in cancer prevntion. Am J Public Health. 2006 Feb 96(3): 252-261

ガンへのビタミンD3とD2の効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-25 16:53:39 | 健康・病気
ビタミンDのガンへの作用については、多くの観察に基づく研究や二重盲検試験が実施され、報告されています。Paulette D. Chandler博士らの研究によると、2,5871名の被験者での無作為二重盲検臨床テストでの分析では、ビタミンD3を投与すると、正常な体重群では最も強い進行ガンの発生リスクの減少、体重オーバーで肥満している被験者群では、進行ガンの発生リスクが見られ、コホート研究では、進行性ガン(転移性、あるいは致死性)の発症が減少しました。博士らのこの発見は、ビタミンD3(卵黄、肝油などに含まれる栄養素)はがん診断を受けていない成人では、進行ガンが進行するリスクを減少さす可能性があることを示唆するものです。このビタミンD3の防御効果は、治療していない、BMIの上昇していない被験者群では明白です。

また、JAE Manson博士によると、観察に基づく研究では、ビタミンDは、初期の進行ガンに対してより、ガンによる死亡に対して、より強い防御効果をもたらすことを示唆しています。

Medical Frontiersによると、日本の研究者等は、ビタミンD2の骨強化作用のメカニズムを解明し、ビタミンD2のガンに影響する可能性は、さらに明らかになりつつあります。ビタミンD2は、ある種のタイプのガンに有効なことが明らかになっています。研究者等は、ビタミンD2(椎茸などに含まれる栄養素)の豊富な椎茸の調理法を紹介しています。日本には、椎茸が豊富に採れ、茸類からもビタミンD2を摂取できます。更なる研究が待たれます。

References
Paulette D. Chandler, et al. Efect of vitaminD3 supplements on development of advanced cancer. Oncology Nov18, 2020
The power of vitaminD: From  Osteoporosis to cancer.  Medical Frontiers. January15,2024
JAE Manson, 2019.  VitaminD supplement and prevention cancer and cardiovascular disease

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疾病のビタミンCによる予防・治療の補助的効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-14 16:47:37 | 健康・病気
ビタミンCと体質については、体質的に脳機能が繊細な人は、ビタミンCやビタミンB群の必要量が、繊細でない人に比べ多く、その人が、これらビタミン類を十分接摂取していない場合と持続的ストレスに晒されている場合、うつ病や統合失調症、それに強迫性障害の発症の危険性が生じる、とHoffer博士などは研究・報告しています。

また、アスピリンなどの医薬品の頻回摂取は、アスピリンなどが体内のビタミンCを多くを破壊するので、医薬品などを摂取する場合、同時にビタミンCを多く摂取して、体内のビタミンC値を正常値に維持できるようにすることが、健康保持面で必要、と報告されています。

アスピリン以外の鎮痛薬、抗生物質、消炎剤、トランキライザーなども体内のビタミンCを破壊する、と報告されています。したがって、これらの医薬品を摂取する場合、ビタミンCの粉末の摂取が推奨されています。

次に、ビタミンCには、体内のインターフェロン産生促進作用、アナフィラキシイーの原因のヒスタミンを抑制する作用などもあります。なお、体外からインターフェロンを投与すると、強い副反応が生じますが、ビタミンCによる体内インターフェロンは、副反応は報告されていません。

ガン治療の補助療法として、ビタミンCとビタミンA、ビタミンDの併用療法が米国やカナダで実施され、効果を高めるだけでなく、ビタミンAやビタミンDなどの副作用を緩和する、との報告もあります。さらに、抗がん剤の副作用を軽減するとの臨床研究もあります。また、ビタミンCナトリウムやビタミンC粉末と、手術、免疫療法、インターフェロン療法との併用は、さらに効果的、と報告されています。ナトリウムイオンが良くない腎臓病患者や動脈硬化症患者には、ビタミンCナトリウム点滴には医師との相談が必要で、逆に、ビタミンCの経口投与が腎臓病や糖脈硬化症を併発しているガン患者には、適切かもしれない。ガンの食事療法にこれらビタミン類を加えることは、ガン患者のの免疫能を高める点で、補助的因子として重要である、と考えられます。

References
Stone, I. (1972)The healing Factor: VitaminC against Disease. Grosset and  Dunlap
George E. Berkley. Cancer: How to prevent it &How to help your doctor fight it. 1978 by Prentice-Hall, Inc



健康増進とビタミンCの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-14 11:59:24 | 健康・病気
野菜や果物に多く含まれている栄養素のビタミンCは、健康維持と深い関係があります。日頃、野菜や果物を常食している人は、健康状態が良好との報告があります。もちろん、他の食品(栄養素)とのバランス栄養も重要です。野菜や果物、プロバイオティクス食品の摂取が少ない場合、胃腸が不調になり、臭気のあるガスが出ます。そこで、ビタミンCを多く含むこれらの食品を常食すると、胃腸の調子も良くなり、ガスの臭気も無臭に近くなる、と報告されています。この原因として、腸内の善玉菌が増え、悪玉菌が減少したため、と考えられます。そこで、ビタミンCとプロバイオティクス(乳酸菌など善玉菌のこと)多く摂取することにより、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らして、腸内細菌叢を正常化します。なお、このガスの悪臭の原因としては、アミノ酸のトリプトファン代謝異常産物のインドールやスカトールが原因です。この代謝異常産物は大腸ガンの発症とも関係している、と考えられています。

次に、ビタミンCとウイルスや細菌が原因の風邪との関係は、風邪を引きやすい人は、ビタミンCの要求量が高いと考えられます。また、どんなに風邪がはやっても、全然風邪をひかない人が少しだがいる。そんな人は、別に食生活で十分量のビタミンCを、他の人に比べて摂取していない。それでも風邪をひかない。このような人は、ビタミンCの必要量が少しでよいと考えられるが、数では少ない。なお、遺伝的体質でビタミン類の必要量に差があることは以前から報告されています。このような事から、人でのビタミンCの必要量も、ある程度まで分るのではないか、と考えられます。また、ビタミンCと甘み嗜好に関しては、熱帯のジャングルの谷間では甘い果実類が多く、熱帯雨林に住む古代人はそれらを多く摂取し、ビタミンCも多く摂取することになります。よって、大昔は甘い果物類や自然食品を多く摂取すれば、ビタミンCも多く摂取した事になります。そうした食生活上の習慣が、体質遺伝的に現代人に受け継がれており、俗に甘党といわれている人々は、その能力が強く残っている、と考えられます。しかしながら、加工食品の氾濫する現代の食生活では、甘党体質の人が甘い菓子類や加工食品を多く摂取したからといつて、いろいろな栄養素やビタミンCを多く摂取できるとは限りません。その点が、現代の加工食品の落とし穴で、十分健康を維持できるとは限らない。その証拠に甘い加工食品は、ビタミンCが含まれていないか、含まれていても、その含量が少ないようです。よって、現代人は、意識的に、外部からいろんな栄養素やビタミンCを十分摂取する必要があります。

現在の食品加工技術の進歩は、ビタミン類、食物線維、ミネラル類、抗酸化栄養素などを加工の段階でいくらか捨てており、昔の熱帯ジャングルの住人が自然食物から摂取していた約2g/日のビタミンCを摂取しない場合、現代人は、生活習慣病や感染症を防ぎきれない可能性があります。
References
Ewan Cameron, et al. Cancer and VitaminC. 1979by Linus Pauling Institute  of  Science and Medicine
Stone, I. (1972)The healing factor: VitaminC against disease. Grosset and Dunlap


大腸ガンと食生活の関係について、栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-13 10:41:33 | 健康・病気
大腸ガンになる危険性は食生活と関係があるという、エビデンスが数多く報告されています。多量の肉、多量の蛋白質、多量の動物性脂肪、多量の精製炭水化物、大量の食品添加物、それに、少量の食物線維、少量のプロバイオティクス食品の日常的な摂取習慣や不衛生な調理環境が相互的に作用し、大腸ガンの発症に繋がる、と多くの疫学的研究では報告されています。

食事の重要性において、食事は大腸内の微生物相(善玉菌、悪玉菌のバランス)、胆汁酸、中性ステロール、そして腸内細菌、酵素活性などに影響を及ぼします。そして、これらの変化が大腸の発ガン物質、補助発ガン物質の産生に影響を及ぼします。そして、これら産生物質のニトロソアミン、2級胆汁酸、それにコレステロール代謝産物は、大腸内で発ガン物質と補助発ガン物質になる可能性があります。

ところで、米国では、大腸ガンの危険率が高いと言われているが、カリフォルニア州南部、アリゾナ州、フロリダ州の住民は大腸ガンの危険性が低く、北西部、中部の住民は高い危険率を有するが、これらの地方の住民の大腸ガン危険率は2分の1です。なお、これらの地方での肉類と食物線維の消費量は両地方では同じであった。ところが、カリフォルニア州南部、アリゾナ州、それにフロリダ州の住民の大腸ガンの危険率は低いのは、これらの州は柑橘類(オレンジ類)が豊富で、その消費量も中部、中西部に比べて格段に多い。

なお、柑橘類を常食、多食すると、糞中のニトロソアミン、2次胆汁酸、コレステロール代謝産物などの産生を阻害します。そして、ビタミンCはサイ
クリックAMPを増やし、その細胞反応の結果であるポリープの退縮をもたらす、と考えられています。なお、フロリダ州は、米国北東部の大腸ガン高危険地帯からの移民が住んでおり、大腸ガンの危険率がの低い地方として、疫学的研究のモデルとなっています。

そして、柑橘類は、ビタミンC、βーカロテン(ビタミンAの前駆体)が豊富に含まれ、これらのビタミン類は、すでにガンに対する予防効果が報告され、ビタミンCが大腸ガンの前駆状態であるポリープのDNA合成を阻害する、とHenry博士は報告しています。更なる疫学的研究を期待しています。

References
Henry C. Ricoh、James X. Haltmann. VitaminC preventing Colorectal cancer.: Cyclic nucleotide , and  citrus fruits. Journal of  theoretical biology. Vol83, Page675~686, 1980