人類は未だに絶えず感染症に苦しめられています。現在は抗菌剤が発見され、その恩恵を受けた人も数多くいると思います。今回は、野菜や果物に含まれている栄養素のビタミンCの宿主抵抗性とその抗菌作用、抗ウイルス作用について考えて行きたい、と思います。
ほとんどのガンは潰瘍化し、その結果、二次細菌感染を起し衰弱することが、ガン疾患全体で重要な役割を演じると報告されています。白血球のビタミンC値は、白血球の食細胞力に影響し、感染に対し宿主抵抗力を高める事が知られています。ビタミンCが、全種類の一般的発病性微生物に対し、直接食菌作用と直接的制菌作用を有する根拠が存在します。Klenner博士らは、大量のビタミンC投与により、ヒトの種々細菌感染の治療にかなりな程度有効であったと、報告しています。Anderson博士らは、ビタミンCが抗ウイルス作用、抗菌作用、抗ストレス作用を有する事を報告しています。Stone博士は、彼の著書で、ウイルス性疾患に対し、動物とヒトは、ある程度、ビタミンCの摂取を増やすことにより防げると報告しています。Jungehelt博士は、ビタミンCが、ヒト血中濃度において一定の値に達すると、灰白髄炎ウイルスを不活化すると報告しています。その他、多くの研究者が、ビタミンCの抗菌作用と抗ウイルス作用を報告しています。なお、ビタミンCの摂取は、朝、昼、晩に分け、食後に白湯で飲みます。なお、腎機能の低下しているヒトは、ビタミンCの量を減らすか、野菜や果物での摂取が賢明です。
References
Cameron, E. Chemi-Biol. Interactions. 9(1974)
スコラム博士らによると、経口摂取によるビタミンCは、低ビタミンC血症の長期入院の老年病患者118名で試験され、ビタミンCを1g/日、28日間投与された。これらの患者は、プラセボに比べて、臨床上の改善、体重増加が認められた。彼らの年齢は59歳から97歳の間で、ビタミンCとプラセボはどちらも外観、味とも区別がつかなかった」。
約1ヶ月後のビタミンCとプラセボ投与後の臨床症状の変化は、活発さでは、ビタミンC群で13名、プラセボ群では8名、周囲に対する関心では、ビタミンC群では8名、プラセボ群では5名、食欲では、ビタミンC群では5名、プラセボ群では2名、活発さと関心度では、ビタミンC群は15名、プラセボ群では8名、活発さと関心度、食欲では、ビタミンC群が26名、プラセボ群では18名で、それぞれ改善が見られた。また、体重増加では、ビタミンC群は33名、プラセボ群は23名、平均体重変化(kg)は、ビタミン群は+0.54kg、プラセボ群は-0.24kgであった。これらの結果から、低ビタミンC血症の老年病患者へのビタミンCの効果が期待されます。そして、ビタミンCが老人への福音となることを期待しています。
References
c.J. Scrum The Lancet. 24 March , 1979
前回のこのブログで述べたように、心臓血管系疾患の罹患率の低下のためには、砂糖を減らし、適正量のビタミンCとビタミンEを摂取すべき、とPauling博士は述べています。ただし、その代わりに人工甘味料の摂取は、逆に、発がん性リスクがある可能性が報告されているので、控えるのが賢明です。また、人での心臓血管系疾患の発症率が高いのは、多くのヒトがビタミンCの供給を食物のみに頼っていて、そのため、体内ビタミンCが常に必要最低限以下の状態にあり、この摂取量では一般に長い期間にわたって強いコラーゲンを産生し、維持していくのに不十分な量です。循環系は、局部的にビタミンCを消耗させるような多くのストレスを受けるので、ビタミンCを大量に供給してやることが必要、とStone博士は述べています。なお循環系を作り、これに強さや柔軟性を与えている主な材料は、蛋白質の一種のコラーゲンです。冠状動脈疾患の患者には、ビタミンCを十分摂取するよう勧めています。
ウイリス博士は、ビタミンCを大量に静脈注射(点滴)すると、動脈硬化の治療や動脈内膜の出血と血栓予防に役立つであろうと述べている。またスピットル博士は、動脈硬化が長期間にわたるビタミンC欠乏の結果生じるので、ビタミンCが欠乏すると動脈の悪玉コレステロールが増え、動脈硬化をもたらすと述べている。また、エバンス博士は、心不全の患者にはビタミンCを十分与える必要があり、脳血管系の健康を保つためには、身体の他の部位にもまして、ビタミンCとビタミンEが必要であり、ビタミンCの摂取量が適切な水準以下であると、脳出血の原因になります。人は、遺伝的に低ビタミンC血症であり、その遺伝的ハンデイをカバーするため、大量のビタミンCが必要です。また、脳出血の治療でも、ビタミンCの大量摂取は、その発作後の生存と回復のために新しい時代を拓き、また、脳出血も、その患者に見られる脳の局部的壊血病をなくすことによって予防が可能です。心臓病や脳卒中を予防するためのビタミンCは、3-5g/日を何回かに分けて食後に白湯で飲めばよい、と考えられます。
References
Stone, I. (1972) Thehealing factor : VitaminC against disease.Grosset and Dunlap,Nw York
Cameron, E. Cancer and VitaminC. Linus Pauling Institute of Science and Medicine.1979