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田舎ぐらし(124)

ー 春、ご近所風景 ー

 

 ご近所といってもそこは田舎のこと、一番近い家まで50メートルは離れている。
住人はそろそろ定年かという年頃の旦那がいるお宅ばかり4~5軒。農家だからみんな田や畑を持っていて、休日にはトラクターで土をかき回す。なぜ土をかき回すか。理由はふたつある。ひとつは稲や野菜を植え付ける準備。もうひとつは畑が雑草だらけになっていると見た目が悪いから。田舎の住人にとつて世間体はとてつもなく重要な要素である。

 ご近所4~5軒と親しく口を聞いた記憶はない。ゴミを捨てに行った折、話好きのオバサンとたまたま鉢合わせをして話し込むくらいである。かえってウォーキングの途中で隣の部落の人たちと話すことが多い。

 引っ越してきた当初、自治会に入る、入らないで悶着があった。現状はどうなっているかといえば、自治会費は払っている、総会には出ない、ゴミ置き場は利用させてもらっている、ゴミ置き場の掃除は割り当てに従ってやっている、そんなところである。

 自治会との関わり方は人それぞれ。
まず、自治会は任意の組織だから入る、入らないは住人の勝手。
 次いで、会員の中には会費は本家の方で払っているから、分家の自分は払わないという人がいる。会費から寺へ寄付している分は宗旨が違うから払いたくないという人がいる。

 思うに、昔はなんでも近所が世話を焼いた。結婚式は自宅の座敷でやったし、子どもが生まれる時は産婆さんが家にやってきた。よその家の葬式でもだれに連絡したらいいか回りがわかっていた。“ 勝手知ったる他人の家 ” 。

 今、向こうの家で葬式を出したことさへ聞こえてこない。みんな業者がやる。おのずと近所づきあいもなくなる。村八分などもう死語だろう。

 どちらがいいと計りにかけるようなことではない。ある時1人が選んだやり方が、それじゃぁうちもと、2人になり、3人になり、今では10人中9人になっただけの話である。

 

 

 

 

 
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