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田舎ぐらし(199)

 ー子は父・母どちらのもの?ー
 
 
  「そのまま使えるカット・イラスト」
            池田書店 より転載

 新聞の読者投稿欄に次のような投稿が載った。
「久しぶりの休日、家族で動物園に行ったが、子供たちは何となくよそよそしい。・・・お弁当を囲んでも、私だけ疎外感から遠くを見ていた。」
 
 投稿者には男の子がいた。
「時を経て、息子は父になった。・・・孫は何かにつけて「ママ、ママ」と息子につれない。息子が悩んでいるのが痛いほどわかる。」 (「」内は・・・を除き原文のまま。)

 投稿を読んで、子は父、母どちらのもの? という疑問が湧いた。答えは “ 母のもの ” である。もちろん、精子と卵・・・という話から始めると父母のものということになりそうだが現実はそう単純ではない。

 なぜ “ 母のもの ” かというと、子どもはおぎゃあと生まれて以来、小、中学校、ひょっとしたら高校、大学を出るまでほとんどの時間を母親と一緒にいる。母親にとってはお腹を痛めた可愛いわが子であり、猫可愛がりに可愛がり甘やかす。

 子供にとっても、母親はご飯を作ってくれる。着替えをさせてくれる。転べば起こして抱っこしてくれる。小遣いをくれる。当然気難しい顔をしている父親より母親になつく。
 
 しかし、父親も子どもに教えたいことが山ほどある。こういう子になってほしい、これだけは教えておかなくてはという強い思いがある。注文を取ってこなかったらクビになること、育休などは教室の中だけの話であること等々、いろいろ話してやりたいが子どもと話す時間がない。

 家の中では父親の知らないうちに強固な母子関係ができあがっている。それは心地よい甘えの関係である。

 こうして、子どもは就職する間際まで、実社会を知らない母親の手の中で成長し、就職するや否や突然魑魅魍魎の跋扈する実社会へほ放り込まれる。当然使える状態ではない。電話の取り方さえ知らない。典型的な幼形成熟である。

 こうなると、一体父親ってなんだ?と頭を抱える御仁が出てきそうである。悩むことはない。ただの種馬だと思えばいい。

 種馬なら種をつけたらお役御免であるが、人間の場合は家族の食い扶持を稼ぐという苦役が課せられる。さらに定年になっても、お年玉をせびられる。死んだら遺産を当てにされる。

 かの御仁は再度自問する。一体父親ってなんだ?。ただの農耕馬だと思えばいい。

 

   
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