ー 失 敗 博物館 ー
柿の苗木 (左)
世間には物好きがいるものだと思う。世に出したもののさっぱり売れなかった製品、つまり失敗物を一堂に集めて見せるという御仁のことである。
それを見に行く人間も余程の変わり者かヒマ人にちがいない。
ともあれ、この展示会は2017年に、サミュエル・ウェストという臨床心理士がスエーデンで初めて開催し、以来世界各地で開催されているという(ウィキペディア)。
これを知ったのは確か先日のNHK、「キャッチ世界のトップニュース」だったと思う。今年はニューヨークで開催され、150点の失敗作が展示された。
ところで、主催者は余程サービス精神旺盛な人とみえて、会場の一角になんでも失敗したことをメモに書いて貼っていいですよというボードが置いた。そうすると、赤や青のメモが所狭しと二重三重に貼り付けられた。
その中に、「MAN」と書かれたメモが結構あったらしい。
男に生まれたことが失敗だったと言っているんだ、と解釈して知り合いのご婦人にそう言うと、「違う。男に失敗したと女が言っているんだよ」と即座に修正された。
どっちだろうか。なにしろ、男と女、こぜりあいが多い。登山でいえば知り合って結婚式という山頂に着くまでは夢見心地で、あとはひたすら下るばかり。どうしてそうなるかは分かっている。お互い、相手を知らないからである。正確には知ったつもりでいるからである。まして3年先に相手がどう変わるかなど考えてもいまい。
結婚は人生最大の博打と言っていい。
昔流行った歌に、♪ 私だけがあなたの〇 丈夫で永持ちいたします テナコト言われてソノ気になって 〇〇にしたのがオオマチガイ 炊事洗濯まるでダメ・・・ ♪ というのがある(歌 植木等 作詞 青島幸男)。
丁と賭けたのに半と出たらどうするか。柿の苗が葉を落としたきり2年経っても芽を出さないので、ある時そばに行って「これ、抜いてしまおうか」と言ったら、その春、新芽を出した。余程びっくりしたにちがいない。
あくまで柿の話である。