― 銀行商売、この商品はもうかる? ―
先日、銀行から持ち帰った「遺言信託」というパンフレットを開いてみた。
中身をかいつまんで言うと、あなたが遺言を書くのを手伝ってあげます。それを公正証書にしましょう。そしてそれをうちに預けてください。そうすれば、あなたが亡くなった時、私どもが遺言執行人になって遺言書のとおりに遺産を分けてあげますというものらしい。
さて、頼む側としてまず知りたいのは手数料である。仮に遺産はその銀行に預けている3000万円の預金だけだとしよう。パンフレツトによれば、
・ まず申し込み時に手数料として330,000円。
・ 途中、遺言書の内容を変更したら55,000円。
・ 公証人に払う手数料が23,000円。
・ 遺言執行費として所定の0.33%を乗じると99,000円。
ただし、遺言執行費の最低報酬額は1,100,000円となっている
から99,000円ではなく1,100,000円。
ここまで合計 150万8000円ー
ほかに不動産や他の銀行等の預金、株式などがあればそれぞれ価額等に応じた遺言執行費。さらに戸籍謄本の取り寄せ費用、司法書士に支払う手数料等々。
以下は個人の感想である。
まず、こんなにかかるのかと驚いた。とりわけ仰天したのはその銀行に預けている預金についても残高証明書の発行手数料をいただきますまと言っている点である。
遺産分割の仕事をするわけだから、残高証明書が必要なのはわかる。しかし相手は自行のお客、預金して下さっているお客さまなのだからせめてこれくらいは無料にするのが商売の常道というものではなかろうか。
蛇足ながら、遺言信託を理解するためには相続と信託の勉強はみっちりやっておく必要があると思う。 そうでないと、目の前に次々と出される書類にその意味もわからないままハンコを押す破目になる。
ここには相続と信託という二つの土俵があって弁護士先生でも、裁判官殿でも判断に迷う場面が出てきそうな気がする。
これは単純ミスであるが、以前住宅ローンの申し込みをした際、うっかり火災保険金を質にいれる契約書にハンコを押したことがある。
火災保険金を質にいれるということは建てた家が火災にあった時その保険金を銀行が持って行ってしまうというということである。
ハンコを押した以上、銀行を責めるわけにはいかない。こちらの迂闊を恥じるばかりである。