ー 有料老人ホーム ー
夜明けを自宅から見るか、それとも・・・
千葉県・浦安の介護付き有料老人ホームを見学した時見た光景が忘れられない。
見学者一同がロビーに来た時、スーツ姿の紳士がカバンを手に出口に向かって足早に歩いて行くのが見えた。ここに来るまで手押し車の年寄りばかり見てきた目にはひどく新鮮に映った。そばにいた案内の職員に訊くと、あの人は入所者で、ここから会社に出勤しているのだという。
なるほど元気なうちに住まいを施設に移していれば、施設から通勤ができる。介護が必要になった時自宅を改装したり、利便性のいい場所に引っ越す必要もない。住み換えは一度ですむ。家族の負担もない。
さて、その本は “ 呑気な人々 ” ということばで始まる。「未来の年表」である(河合雅司 講談社現代新書)。
中をめくると、2024年には団塊世代の全員が75歳以上になり、その数は2121万人になるというくだりがある。国民の6人にひとりである( 68頁 )。
さらに、「老老介護」、「介護離職」、「認知症患者700万人」といったあまりお目にかかりたくないことばが続く。
また、ここ数年、なくなってしまう自治体が出てくると言われているが、人口規模が12万5000人を下回ると有料老人ホームの立地が苦しくなるという ( 91頁) 。
まるで冬枯れの野に放り出されたような気分になる。ついでながら、その時の恰好は素足に下駄ばき、足元を小雪まじりの風が吹き抜けて・・・とやったらマゾっ気あり過ぎ、と笑われるだろうか。
( 次回は ー 田舎の住み心地 ー )