ー 四面楚歌 ー
産経新聞 令和5.1.1
元旦の新聞の第一面には驚かされた。
自由民主主義国を青、独裁国ないし独裁もどき国を赤に色分けした世界地図を載せている。見ると、日本は周りをすっかり赤に囲まれている。お隣で青いのは韓国と台湾だけ。
学校では人間はみんな自由だと教わった。人に迷惑をかけないかぎり、何を言っても捕まることはないし、人に迷惑をかけないかぎり、好きな仕事ができると。
民主主義はいいことだと教わった。投票さえすれば、税金をいくら払うか、どう使うか自分の意見を反映させることができると。
中学の先生は「新聞に政治家の漫画が載っているうちは大丈夫だ」と教えてくれた。
独裁国になると、どうもそうではなさそうだ。お上の気にいらないことを呟こうものなら、有無を言わさず召し取られ、“ 小伝馬町 ” あたりに押し込められたその後で, 鳥も通わぬ “八丈ケ島” 。運が悪けりゃ “ 鈴ヶ森 ”か “ 小塚つ原 ”。
どうしてこんなにも周りに赤っぽい国 が増えてしまったのだろう。教育水準が低いのか、お上のやることに無関心なのか、あるいは欲がなくて、お上が誰であれ、最低限死なない程度に食えていればいいと考える国民なのか。
日本だって安閑としておられない。
政治に無関心である。その証拠にあちこちの町で何回も町長の無投票当選が続いている。つまり、一人しか立候補しないから立候補した人間が町長になる。町長はケースによっては町を思い通りに引き回すことができる。
よく「親の顔が見たい」という。ここでの親は選挙民である。因果応報。赤くなるのも青くなるのも民次第。