「歴史は金では動かない」
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を、なぜか飛び出す立体映像でリメイクしたという怪作。
んで、写真にあるのが飛び出すメガネw 懐かしいな~。
劇場内ではいい歳こいた大人たちが、この眼鏡を掛けてゾンビ映画を観ていましたよw
で、肝心の内容なのだけど……予算も演技も演出もみんな1960年代にタイムスリップして、さらにつまらなくしたかのような作品。
唯一、オッパイ(お約束通り殺られる)だけが21世紀でしたw
あ、でも、ちゃんと飛び出てました。どうでも良いようなもんばっかりが。
なんか、宣伝文句では血や内臓が飛び出すとか書いてあったのに、そもそも、そういうゴア描写もほとんどなかったです。
殺害シーンもかなりソフトな作りでした。こういうところも60年代っぽいのかもね。
んで、ストーリーなんだけど。
リメイクというよりは、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』へのできる限りのリスペクトをした映画というカンジの作り。
冒頭、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』とまったく同じ……と思いきや、作中で“映画として”公開されていた『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をテレビで映したシーン。
この映画の中では、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』はフィクションとして扱われているのだ。
だけど、その『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をなぞるようにして、墓地にヨタヨタとゾンビがやってくる。
ん~、これは……かなり、ビミョー。
今時、ゾンビがヨタヨタ現れたって何も怖くない。でも、原題へのリメイク、あるいはリスペクトだと思えばこれもありなのか。そう考えると、ヘタな芝居もリスペクトに見えてくる。
その後、原題に近づくような遠ざかるような、微妙な距離感を置きながらも、確実にゾンビとの戦いが始まっていく。
ただ、原題と異なっているのは時代は21世紀で、登場人物たちはゾンビの存在を知っていること……なのに、なぜか腕をかまれて死亡→ゾンビ化にみんなが驚いてる! あんたら、ついさっきまでテレビで『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を観てただろwww
んで、テレビといえば。
原題では、追いつめられた極限状態の中、テレビニュースで外界の情報を知る。自分たちが家に立てこもってゾンビに襲われるという状況下、外では警官がゾンビを狩っているのだ。
そして、警官隊が家までやってきて、外界との接点ができたと思った瞬間、警官の銃弾によって最後の生き残りが殺されるという、なんともいえない無常観が残る。
このようにしてテレビの存在が、家と外界をつなぐ窓の役割をしていたわけだが。
今作では、テレビが映りません。なぜか、ラジオを付けようともしないし、インターネットに接続しようともしません。
で、助けにやってくる警官隊の代わりに、ショベル一本でゾンビを撃退する火葬場のオヤジが登場。
こうして家は、地元の火葬場という何ともローカルな外界と接点を持つ。
彼がキーパーソンなのは登場直後からわかるんだけど、
なんと彼は、自分がこのゾンビ騒動の首謀者であり、自分は新たな生命の創造主なのだと、とくとくと語り出すではないか!
んで、最後はオヤジもゾンビに食われ、みんな死んで終わり。
この映画は地方の農場と火葬場という、ごくごく狭い狭い世界で閉じてしまい。
謎のゾンビ騒動は、トンチキなオヤジの戯言ですべてが明らかになってしまう。
なんて、チープな世界観。
原題はアメリカ全土という広大な世界を背景に持ち、そもそも「なぜ」を知らされることなく主人公たちが全滅することに大きな衝撃があったのにね。
そのことごとく、すべてチープ化してしまったのだ、今作は。
とはいえ、原題をリスペクトするあまり、すべてにおいてスケールを小さくしたのだと解釈すれば、そういうもんなのだと思えるのだけど。
金を掛けずとも歴史を作った『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のなんと偉大なことよ。
とはいえ、ゾンビ映画ファン同士で、こうやってツッコミを入れながら観る分には楽しめる一作だと思います。
飛び出るしね。
『超立体映画ゾンビ3D』(映画館)
http://www.zombie-3d.com/
監督:ジェフ・ブロードストリート
出演:ブリアンナ・ブラウン、ジョシュア・デローシュ、他
点数:5点
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