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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

海洋天堂

2011-09-12 20:47:23 | 映画-2011年

「当然ながら、無影脚は出ません」
ジェット・リーがノーギャラ、ノーカンフー・ノーアクションで主演するっていう、妙に偏った(?)入れ知恵ばかりされた映画、ってのが私の第一印象でした。
でも、ノーカンフー・ノーアクションのジェット・リー映画っていう予備知識は、この映画を見るにあたって重要かなと思います。
それでもなお、この映画を見たい、ジェット・リーを見たい、っていう人に向けた映画だと思います。
カンフーがなければジェット・リーじゃない、っていう人に向けて撮られた映画じゃないです。

んで、見終わった感想ですが……う~ん、まあ、アクション映画じゃないしね、ってカンジでしょうか。

以後、ネタバレを気にしないで書いていくのでご注意を。


自閉症の子どもと、その父親ということで、どうしても『レインマン』的な印象を持ってしまいがちですが。
施設に入っている自閉症の兄を弟が連れ出したところから物語が始まる(そして、最後は施設に戻る)『レインマン』とは違い、『海洋天堂』では息子が入所できる施設を探すのが命題となっています。
しかも、ジェット・リー演じる父親が末期癌に侵されており、残された時間もわずか。
その少ない時間で施設を探し、死後、子どもがある程度自活できるようにと腐心していきます。

映画冒頭から親子の入水自殺(結果的に未遂)があり、末期癌に追い立てられるジェット・リーには終始死の臭いが付きまとってます。
なのに、息子はその死の予兆を悟れないっていう、もどかしさ。
そのもどかしさを乗り越えようとする父親の愛情(時に感情が爆発することもあるけど)が、この映画の美しさの一つでしょうか。
また、この親子を取り巻く人々(近所の雑貨屋のおばさんや水族館の館長とか)も、基本的に善人でいい人ばかりです。
(父親の人徳もあるのかもしれませんが)

と、まあ、非常に美しい人間愛、それにマッチした映像と音楽なのですが

その反面、障害を持つこどもが天涯孤独になってしまったら、現実にはどうすればいいんだろう? という、シビアな問題もはらんでいます。
先にも、父親のもどかしさについて触れましたが。
ぶっちゃけ、これは個人でどうこうなる問題じゃないだろうし、だからこそ劇中の父親の姿が胸を打つんだろうな~、と思いました。
その一方で、肉親の情と隣人の善意だけに頼らざるを得ない、というのを良しとしていいのかどうか…?

そういう、いろんなものがないまぜになる映画なんですが、あんまり情に訴える演出はされていません。
どちらかというと、父と息子の様子を淡々と追っていきます。
この淡々とした演出が、かえって心地よかったです。
泣かせることが目的ではなく、二人の絆を見守っていくって感じがします。

とはいっても、やはりジェット・リーが主演なのにカンフーが無いのはな~、というのも正直な感想ですw

海洋天堂』(映画館)
監督:シュエ・シャオルー
出演:ジェット・リー、ウェン・ジャン、他
点数:5点


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