アンの「ややこしいこと言わんといて」

ええかげんなややこしいおっさんが日々の分泌(文筆)物をたれ流します
臭~さいぞ

「朧月夜(おぼろづきよ)」

2013年05月28日 19時26分16秒 | お気に入り

「朧月夜(おぼろづきよ)」つながりで

ラジオで誰かのエッセイを俳優の小林薫が朗読してたのをあまりに良かったので憶えてんね

終戦で中国からの引き上げ船での話
船は客船ではなく貨物船

船底にぎゅうぎゅう詰めで座らされ、財産も、身内も無くし、食うや食わずで身一つ、命だけ持って日本に帰る人達の話

そんな中、蒸し暑さと空腹で疲れはピークに達したころ、些細なことで帰還兵どうしが喧嘩を始めた

そのうち、1人がナイフを取り出し、どちらかが大けがするのが必至の状態になってしまった

さーその時

1人の女の人がこの「朧月夜」を歌いだした

  菜の花畠(ばたけ)に 入り日薄れ
  
  見わたす山の端(は) 霞(かすみ)ふかし

  春風そよふく 空を見れば

  夕月(ゆうづき)かかりて におい淡(あわ)し

どんな思いで皆はこの歌を聞いたやろう
戦争にも負け、何もかも無くし、残ったのは、命だけ
まさしく絶望のど真ん中

でも皆はこの歌で故郷の景色を思い出したんとちゃうかな
しかも、明るい昼日中の太陽と違って、お月さん、それも朧月。

何となく、気持ちが優しくなるよな。
故郷に帰って、1からやり直そーと、かすかな希望が見えたんとちゃうかな

最初は1人歌い出したのが、2人3人と歌い出し、全員が歌ったそうな

結局、喧嘩をしてた兵隊も情けなくなって泣き出して、誰も怪我せずに済んだらしい

しかし、あらためてこの歌、綺麗な歌詞と素晴らしいメロディやな
心が洗われるよーな
豊な気持ちになるよーな

さあっ 皆も歌いましょか

  ♪ 菜のは~な ばたけ~に 入り~日 薄れ~ ♪
 
  ♪ 見わた~す山の~は かーすーみ ふかし~ ♪