ピカソ以降の巨匠といわれるフランシス・ベーコン展を豊田市美術館で観賞。
フランシス・ベーコンと言う画家を知る人は少ないと思います。僕自身も名前はおぼろげに知ってはいても、その作品の印象はなく、今回の展覧会に出かけました。
ベーコンは、アイルランドで生まれイギリスを拠点して活躍した画家で、ピカソの影響を受けて、海外では高い評価を受け近年、ポンピドゥーやプラト、メトロポリタンなどの有名美術館がコレクションし、オークションでは、ピカソ、モネ、ウォーホルに並ぶ高値で取引される人気画家だそうです。
今回の作品は、彼自身が評価に値する1940年代から死の直前の99年までの33点の油彩画を中心に展示された回顧展で、時代別に構成され、自身の絵画に対するコメントがそれられたベーコンを知る上で、重要な展覧会となりました。
作品は、具象でありながら感覚的な作品で、その歪められた人物像は、見る人の「神経組織を攻撃」するとベーコン自身が述べているように、観賞ではなく、人間の本質的な苦悩を体現する体験的なアートにあふれています。その体験は、時に危険なもので、彼自身が絵画の作品保護のために用いられているガラスを、彼の作品と対峙する時の攻撃に耐える楯や防御壁のような印象を持ちました。
ベーコンが生きた時代、抽象画全盛の時代にあって、具象画にこだわり描かれた作品は、美を感じる絵画でもなく、想像する絵画でもなく、ベーコンの哲学を体現する絵画だと感じました。