先日、一宮市三岸節子記念美術館で開催中の「没後10年三岸黄太郎展」を鑑賞しました。
三岸黄太郎は、三岸好太郎と節子の長男で、画家として活躍した二世画家です。黄太郎は、父好太郎と同じ読み名(こうたろう)で、画家を志し23歳で単身フランスに渡り、母節子と共に20年に渡りヨーロッパ各地を巡り絵を描き続けてました。また、31歳に若さで亡くなった父をの後、節子のマネージャー的存在として、節子を支えていきます。
同じ名前を冠する父と子を不思議に思ってましたが、今回の展覧会でその謎は解けました。黄太郎は、生前パリを愛した好太郎が実は巴里と名付けていたのですが、好太郎の突然に死による出生届が行われなく、節子が好太郎の好きだった黄色をとって黄太郎と命名したのだそうです。巴里から黄太郎に変えたのは不明ですが、後にヨーロッパを旅しフランスを愛した黄太郎が彼の代名詞ともいえるイエローを用いていることから、親子の不思議な絆を感じました。
今回の展示は、黄太郎の油彩画を中心に70点余りの作品で構成され、デフォルメされた家や木々、高原の風景が赤や青、そして好太郎の愛した黄色の色鮮やかな原色により印象強く描かれ力強さの中に静謐さを感じる作品が並びます。その作品は、偉大な父と母のDNAを併せ持ちながら、黄太郎独自の絵画表現を感じました。
常設展示では、節子と好太郎の作品も展示されていますので、親子の作品を比較しながら、三岸家族の絵画の世界を楽しんでみてください。