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今回の絵画レビューは、メナード美術館で9月24日まで開催中の35周年記念特別展「今井龍満展」です。
今井龍満は、パリで活躍した今井俊満のご子息で31歳で画家デビューした遅咲きのアーチストです。今回の展覧会は1999年から現在に至る作品を展示した初の回顧展になります。
今井龍満は、父の元で制作補助をしながらパリで生活を共にし、父の急逝により2008年画家としての制作活動をスタート。ポアリングと言う輪郭線を画面に垂らし込む技法で注目を浴び現在に至る気鋭の画家です。
父俊満の存在は業界では、知られた存在でアンフォルメル運動と言う抽象表現主義の世界で活躍していました。長男の今井アレクサンドルは父と同じアンフォルメル運動の画家として知られていますが、弟の龍満は、当初画家としてデビューすることは考えてなかったようです。制作補助時代に描いていた動物画が画商の目に留まったことが機縁となりポアリングの技法で独自の世界を表現していきます。
今回の展覧会はデビュー前の作品から新作のDragonを含む70点の作品に加えメナード美術館所蔵の西洋絵画コレクションの中から今井自身が影響を受けた画家や好きな画家たちの作品も展示され一部自身の言葉も添えられています。
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ポアリングの技法で描かれた絶滅危惧種やめずらしい動物に犬や猫、動物園や水族館で観られる身近な動物たちは、カラフルな色彩と偶然がもたらす揺らぎを感じる線描でもたらす摩訶不思議な世界がコミカルで愛らしい姿で出迎えてくれます。おそらくは、誰の目にも新鮮さと生きるエナルギーを感じることでしょう。会場にはメナード美術館のコレクションから画家自らが選んだコーナーもあり作品との相互関係も楽しめます。偶然によってもたらせらる偶然を生きるものたちの展覧会ぜひご鑑賞ください。
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上段右のポストカードはコレクションで一番好きなファイニンガーの作品、下段の2枚は画家の好きなエゴン・シーレとアンリ・マティス。別館では、ポアリング技法の制作ビデオが鑑賞できます。