先週に観賞すみの映画「風たちぬ」でしたが、映画評は、昨日のプロフェッショナル仕事の流儀・宮崎駿スペシャルを観てからにと思い、今日に至りました。
個人的には、アニメ作品にはあまり興味がなく、宮崎作品もテレビ放映で観るくらいですが、その作品のクォリティーは誰もが認めるところで、ファンタジー作品の人気には納得できます。
しかし、今回の作品「風たちぬ」は、実在の人物がモデルとなり、原作がベースにあることで今までとは、異なる視点で宮崎作品を観てみたいと思いました。
2時間を優に超える大作は、大正から昭和、そして日本が戦争へと向かう激動の時代が淡々と描かれていて時間を忘れるほどでした。
おそらくそれは、主人公堀越二郎の存在が大きく、彼の時代のインテリ的風貌と物腰がこの作品の空気=風を作っているように感じました。
映画を観終えたとき、堀越二郎の爽やかさと彼と生涯を共にしていく菜穂子の純白の儚さが強く印象に残り、ゼロ戦設計者である堀越を描き、果てには喫煙シーンを揶揄する問題作など忘れるほどの清廉さを感じました。そのため、宮崎駿監督のこの映画への思いがどこにあるのか自問自答していました。
そんな中、放映された「プロフェッショナル・仕事の流儀」を観て、シーンを思い浮かべるたびにその答えが明白になりました。
戦争の時代を生きた人々の理想と現実の矛盾。それが宮崎監督が述べた「堪(たふ)る限りの力を尽くして生きる」この言葉に集約されていました。
さらに「大事なものは、たいてい面倒臭い」と言う言葉で、理想と現実、善と悪が表裏一体となった時代でも、全力を尽くして生き抜いた姿が感動を呼ぶのだと思い知らせれました。