映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、2015年のサンダンス映画祭グランプリ作品の「ぼくとアールと彼女のさよなら」です。
映画祭と言えば、カンヌ、ベネチア、ベルリンの三大映画祭が有名ですが、近年注目を浴びているのが、インディペンデント作品200本以上が上映されるアメリカのサンダンス映画祭が近年注目を浴びています。
インディペンデント作品とあって一部の劇場でしか公開されず、劇場公開もままならない作品も多いですが、昨年日本でも公開された「セッション」は、2014年にグランプリを受賞し、オスカーにもノミネートされました。今回の作品は、2015年グランプリ作品で、観客賞も受賞しながら日本公開されず、今回DVDとして日の目をみました。
内容は、高校のルームメートのレイチェルが白血病になり、主人公のグレッグと親友で映画仲間のアールが、レイチェルのために映画を制作すると言う内容です。
こう言うと一般的には御涙頂戴的な感動の青春映画ってイメージですが、グレッグとレイチェルの関係は、家が近く親が近しいだけで、会話さえもしたことがない関係。グレッグは、母親に頼まれていやいや励まそうとします。
ぎこちない会話から始まるジョークを交えた展開とグレッグとアールの名作をパロディにした共同作品、レイチェルを取り巻くルームメートと教師、母親など個性的な人間が入り乱れる中で、病がすすんでいく中で、レイチェルとグレッグの変化する心模様が淡々と描かれていくのですが、アート的な空気を持ったシーンの連続に不思議な感覚を抱きながら作品にのめり込んでいきました。
ラストシーンのグレッグとアールにより完成した作品をグレッグとアールで観賞するシーンは、今までにない青春映画とは一味のも二味も違う演出でした。
青春映画のストリーを映画というテーマに紡ぐ斬新なアイデアの中で進むユーモアを交えた甘く切ない恋愛青春映画をぜひ楽しんでほしいです。